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スタート 0.3  作者: プーリ
疑惑
3/53

 他支部の先輩の成績なんて、本当にどうでもいい。ご飯を御馳走になったことも、宿舎で部屋が一緒になった事もない。

 同情的なものが、なにも無い。

 なんなら、介錯のように、きっちりプロのレーサーとして中川先輩が諦めのつくくらいのターンで、レース中に突き放してやろうと思う。

「インタビューありがとうございました!ではまた、優勝戦前に来ますね!」

 記者の返答に笑顔で答える。

「今節のレース終わったら、ライブ行くんですよ。物販ぶん回さないといけないんで、負けられないです」

 支える家族もいない自分にはアイドル「ストレートフラッシュ」の応援と、実家にいる犬が唯一の息抜きといってもいい。

「SNS見てますよ。ストフラの事ばっかり書いてますね」

 驚いた。とはいえ、記者の取材力なら選手のSNSを見るのはもはや当たり前なのかもしれない。

 自分がやっているSNSとはいえ、見られているのは少し恥ずかしい。

「見てるんですね。さすがです。これ、どうです?」

そう言いながら、記者にレースで使う手袋を見せる。

「サイン?」

 レースで使うケブラーという防刃加工のされている手袋に落書きやメッセージを書いている選手はたくさんいる。

 手袋の「頑張って!」や、家族からの「1着取って」、文字も書けないほどの小さな子どものぐちゃぐちゃな文字もレース前に目に入れば、気合も一段と入るだろう。

 だが、悲しいことに自分には書いてもらう子どもも彼女も機会も何もない。

 ところが、自分の応援しているアイドルのストフラのサイン会に参加する機会が先日あった。

 もちろん、ここぞとばかりに手袋を持参してサイン会に挑んだ。

 いつもステージ上で見るストフラの高原ちゃんとは違い、こんなに近くで見れるなんて…と感動していた。

 レースよりも緊張している自分の番になり、高原ちゃんに満を持して話しかけた。

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