王太子「俺はお前との婚約を破棄するしお前の書いた小説作品も『読んだことがある』というカテゴリの中に入れて2度と見なくて済むようにしてやる!!!」伯爵令嬢「………(汚物を見るような目)」
ムーンライトでも同じ名前で活動しています。
「レティシア=ブラウン伯爵令嬢、俺はお前との婚約を破棄する!!!!!」
高位貴族の集まる卒業パーティー会場の中、
みんなの前で、
この国の王子様が高らかに言い放った。
「ついでにお前の書いた小説作品も、『読んだことがある』というカテゴリの中に入れて、
2度と見なくて済むようにしてやる!!!!!」
更に、高らかに言い放った。
「「「「「「「………え…………?」」」」」」」
その瞬間、趣味も社交も好みの異性も何1つ合わない会場のみんなの気持ちが、1つになった。
彼は、一体何を言っているのだろう………?
『号外:王子という名の地位ある馬鹿息子、突然のメタ発言で自分の馬鹿を晒す』
そんなタイトルの新聞記事が出回るかもしれない危険性を含む王子の奇行に、誰もが驚きを隠せない。
どうするんだこの空気。
こーいう種類の怪我対応の保険には誰も入っていない。
本当にどうするんだ!
しかし、無常にもこの世界には、3分で帰宅するスーパーもパン的なヒーローも存在しないから、みんな正義に邪魔をされずにのびのびと続きを読めるのである!!!!!
「どいつもこいつも、なんだそのポカーンな顔は?
もしかして、知らないのか?
『読んだことがあるカテゴリ』を。
………ふん、仕方ないな。
では、この俺様直々に『読んだことがある』というカテゴリ、略して『呼んだことがあるカテゴリ』について、事細かに説明してやろう!」
地位ある馬鹿息子のだいぶ痛めな発言に、誰もが、なんかちょっと触りたくないと恐れおののく。
しかし、
「聞け、皆の者!
王子様な俺の命令は、絶っ☆対!!!」
「きぃやぁーーー!!!!!!」
空き地の土管の上で1人リサイタルをしているジャイ◯ンのように叫ぶ馬鹿王子に、
そこだけはカッコいい!(?)と、謎の性癖を持った女子達が黄色い声を上げる!!!
それを聞いた会場の7分の6がドン引く………が、
【俺の有益小細工☆ブクマのススメ】
というタイトルの、馬鹿王子による謎のプレゼンは続いていく。
ちなみに会場の大人が誰も止めないのは、トップが腐っているからだねヤッタネ!!!!!
「さあ、みんな! ブクマを付けよう!!!
良いと思った作品にはもちろん、悪いと思った作品にも、だ!
特に、悪いと思った作品に関しましては、『読んだことがある』というカテゴリを作って、
『2度と読みたくない作品を間違ってもう1度読んでしまい不快になる』
ということを無くすためにとても良いと思います」
後半、なぜ敬語なのか。
それはともかく、猫も杓子も『読んだことがあるカテゴリ』。
世はまさに大『読んだことがあるカテゴリ』時代。
乱世か、それとも最近流行っていると意図的に思わせたいだけなのだろうか。
そうすることで、ムーンライトで小説を書いているが総合評価が低いという嫌われ者(そこの自覚はある)な地位ある馬鹿息子(ここの自覚は無い)な王子は、ワンチャン自己救済が出来るかも、とか思ったのだろうか。
女受けしねぇ短編ばかり書きやがってつまんねーんだよムーンライトじゃなくてノクターン行けよ!
だの、
エロ表現がなんか違うんだよエロくないんだよR15に帰れよ!
だのと、ただでさえ知人に言われて凹んでいるのに、
更に被りネタまで出した日にはお母さんに怒られてしまう!!!(?)
そんな何を言っているのかよくわからない水面下の事情を置いてけぼりにして、
地位ある馬鹿息子は意気揚々と語り続ける。
「そもそも、ここの作者がなぜブクマを公開しないのか……?
それは、人様の作品を1位から3位というようにブクマ分けしているからだ!!!」
余計なことを言わんでも(書かんでも)良いのに……と、残念臭が蔓延するパーティー会場。
それに気づかない馬鹿が、更に口上を述べる。
「あと、俺様がなぜ『感想』と『レビュー』を『受け付けない』にしているのかというと、ムーンライトに出した作品の内容を多数の読者に鬼ほど怒られるだろうことがわかっているからだし、
ムーンライトでコソコソと活動しているのは、性別を偽っているからだ!」
またもや言わんでも(書かんでも)いいような無駄情報の垂れ流しに、婚約破棄されたご令嬢の目も死んでしまっている!
間違いない、あれは汚物を見る目だ!!!
「うおおおおおおぉ!!!!!!」
いつもは頭が良いことを鼻にかけて周囲の男達から煙たがられている仮面の笑みがトレードマークな美人令嬢の稀に見る人を蔑んだ様な崩れた表情に、
エロい!(?)と、ヤバメな性癖を持った野郎どもが野太い歓声を上げる!!!!!
それを聞いた会場の7分の3がドン引く中、
【俺の有益小細工☆ブクマのススメ】
の説明は、まだまだ続いていく。
「わかるぞ、俺にはみんなの気持ちがわかる………!
本当は2度と読みたくない作品を『2度と読まねえ』とか『ゴミ作品』とかっていう名前のカテゴリを作成してそこにガンガンぶっ込みたい、
でもそんな事したら万が一ブクマミスでブクマ公開になってしまった時に『えぇ……この人、こんなカテゴリ作ってるんだ……うわぁ……』とドン引かれてしまうかもしれない。
それを『読んだことがある』というカテゴリ名にすることによって、
ブクマミスしたとしても『ふーん、この人この作品を読んだことがあるのね』とマイルドに受け取ってもらえるかもしれない。
そんな、『この作品マジでキモい』という事実に出くわしても読み手も書き手も共に精神的ダメージを極力負わなくて済む、という究極奥義。
それが『読んだことがあるカテゴリ』なのだ♡」
なにが、『のだ♡』だよカマトトぶるなと思わなくもないが、言っていることは一理ある………のかもしれない、と、みんなは混乱した。
長丁場の末、脳の疲労により会場の思いが少しずつ肯定に傾きつつある中、
それら全てを、1から10まで全て台無しにする王子の声が、
またもや高らかに響き渡った。
「う◯こちん◯んおっぱ◯乳◯ア◯ル◯姦クリ◯◯ス勃◯尿◯攻めらめぇ♡シ◯シコ♡◯ンパン♡んほ◯おぉ♡♡あっはあああぁーん♡♡♡
これを正確に叫べば、きっと今後はムーンライトで活動しても、R15作品とか言われねーぜ!!!!!」
なんだったのだろう
書かされた人も読まされた人も
例えば共倒れする可能性が少しでもあるのならば
きっと
『読んだことがあるカテゴリ』とは
あったらあったで、使うのかもしれない
使わないのかもしれない