第51話 第2ステージ 会場の下見
入学試験第1ステージから3か月が経ち、僕らはエルプーリさん付き添いの下、明後日から開催される第2ステージに参加するため、前回と同じ町に来ていた。
この3か月間はとにかく二人で模擬戦を行い、技量・体力共にかなり向上した。
それと前回の反省を生かし、僕とリンキーは乗馬訓練も行った。
その成果もあって今回の旅はかなり体力がある状態で町に到着することができたのだ。
それから大会の2日前に到着したのには訳がある。
それは大会前日に試験会場が公開されるためである。試験会場の下見をしておくと何かと戦いにおける作戦が立てられるのだ。
そんなわけで下見を明日に控えた僕らはエルプーリさん行きつけのお店に夕食を食べにきていた。
「いよいよ、最終試験が始まるね。二人とも対策は出来たかい?」
「うん!僕は6回戦うことになるけど、全部全力で戦うことにしたよ」
「オレは1回だけになりますが、おそらく相手はクーフになるので余裕です」
「リンキー、そうやって余裕とか言ってるけど、この3か月、僕の訓練内容を執拗に聞いてきたよね?本当は余裕ないのに見栄張らない方がいいよ?」
「何言ってるんだ、クーフ?オレはクーフが決勝まで上がれるよう戦い方をアドバイスしてただけだぜ?それにな、クーフの性格や得意な魔法系統を考えれば対策なんて簡単だ。
あとは会場がオレの得意な魔法に適してるかどうかってところだけだな」
「うっ・・・。またそうやって優等生アピールを・・・。」
「二人とも過度な緊張をしていないようで安心したよ。
ただね、緊張感というのは有りすぎても無さ過ぎても力を発揮することはできないからしっかりと集中して臨んでほしい」
「「はい!」」
僕らは美味しい食事をとりながら明日の会場がどんなところかを予想し合っていると別の客が入店してきた。
「いらっしゃいませー。何名様でしょうか?」
「3人だ。席は空いているかね?」
「はい、こちらへどうぞ」
「あら?リンキーとクーフ君?それに村の神父さままで。
こんなところで会うなんて奇遇ね、何をしているの?」
「え、お母さん?お母さんの方こそ、何でここにいるの?
オレとクーフは魔法学園の入学試験を受けてるんだよ」
「・・・魔法学園。あなたも受けていたのね。知らなかったわ。
私はまあ、その、入学試験のサポートで、き、きているのよ」
実はカリンさんは僕らが10歳になる前に仕事が忙しくなるとの事でそこから村には来ていなかった。
なのでリンキーが魔法学園の入学試験を受けることは知らなかった。
「カリンさん、お久しぶりです。サポートってことは治癒師か回復師をされるんですか?」
「私は会場設営のサポートをするだけだわ。クーフ君、あなたも入学試験受けているのね。知ってるとは思うけど、一人しか受からないわよ?」
「はい、僕とリンキーはそれを承知の上です。」
「そう、ならいいわ。私もあなたたちを応援しているから頑張りなさい」
「「はい(うん)!」」
「では私は仕事仲間と食事をするからこれで。
入学試験が終わったら一緒に食事をしましょう」
カリンさんはそそくさと同僚の方たちが待っている席へいった。
「ねぇ、リンキー。カリンさん何だかよそよそしくなかった?」
「うーん、まあ同僚の前で母親らしさを出したくなかったんじゃないか?
お父さんから聞いた話では職場でもかなりのイケイケらしいし」
「イケイケか・・・。あの効率厨とスパルタのイメージで仕事していたら、確かに久しぶりのリンキーとの再会でも気持ちを抑え込んじゃうかぁ」
「そんなに気にしなくていいよ、どうせ終われば一緒に食事することになったしよ」
「そうだね、家族水入らずで楽しんできてよ」
「何言ってるんだ?クーフも一緒に食事に参加するに決まってるだろ」
「え、いいの?」
「多分オレ1人だと決勝での戦い方でダメ出しされると耐えられないかもしれないからな・・・。」
「あ・・・、そういうことか。えっと、それって僕もダメ出しされる可能性あるよね?」
「・・・辛いことは2人で分け合えば半分になり、嬉しいことは倍になる。一緒に頑張ろうぜ!」
「うぅ、それ言われると行くしかないよね?まあダメ出しされないようお互いに全力で頑張ろう!」
「そうだな!」
「ははっ、2人とも少しは緊張感が出てきたようで安心したよ。
私も君たち二人の戦いぶりを楽しみにしているよ」
「「ありがとうございます」」
こうして僕らは意図せず、緊張感ある雰囲気を作ることができた。
その日は宿に帰るとすぐに眠りについた。
そして翌日。
僕とリンキーは会場の下見にきた。
「リンキー、会場ってすごいね。こんなに広くて色々あるんだね」
「あぁ、これはどの場所で戦うかでかなり有利不利が分かれそうだな」
会場は東京ドームのようになっており、観客席に囲まれるようにしてフィールドが設置されていた。
そのフィールドには池や雑木林のゾーン、池へと流れ込む小さな川があったり、砂漠のような砂地のゾーン、大きな岩が点々とあったり、小さな家も一つ建てられていた。
「観客席がたくさんあるけど、お客さんを入れたりするのかな?」
「うーん、どうなんだろう。観客入れた方が儲かるからいるんじゃないか?」
「じゃあ僕の魅力に気付いてファンクラブができちゃうかもしれないね!」
「まあ“最後”まで勝てたら、できるかもな」
「ふっふっふ、そんな軽口叩いてると恥じかいちゃうよ?
僕はリンキーのことはよーく知ってるんだからね」
「ははっ、期待しておくよ。じゃあ帰るか」
「そうだね」
その日の夜。
僕は昼間に見た会場で自分が戦う姿をイメージしていた。
イメージトレーニングで大切なのは上手くいくイメージと何かあった時を想定して対処する方法を3通りくらい考えておくことだ。
そうすればイレギュラーなことがあっても焦らず、対応できるからね。
こうして僕は1時間ほどイメージトレーニングをしてから眠りについた。
だが、翌日の初戦から想定外をさらに超える想定外で結局は焦ることになるのであった。
次回からやっとバトルシーンです。




