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第4話 父さんのスキル


「そういや、父さんのスキルって何なの?」


「ん?俺は農耕と強スタミナの2つ持ちだ」


「農耕?強スタミナ?ってなに?」


「うーん詳しくはわからないんだが、これまでのスキル取得者からの話では農耕は作物の育成が得意になり、たいていの物は枯れることなく、育てることができるものだと言われている。強スタミナは疲れ知らずってやつだな。強スタミナに関してはスキルを授かった日からいつもの2倍ほど動けるようになったぞ!だから多分、名前の通りスタミナがあがるスキルなんだろうな」


「スキルって自分でどういうものかわからないものなんだね」


 そうなると、スキルは授かっただけではあまり使えないかもしれないのか。

ならスキルなくてもそこまで深刻な問題ではなさそうだな。それよりも魔法のほうが重要だ。

というか父さんの農耕スキルでもっとおいしいもの作れそうだけど。



「まあスキルの詳しいことがわからなくても、これまでの経験してきた人の話があったりするからな。」


「父さんは芋以外には何か作ったりしないの?」


「そうだな、うちは貧乏だから他の作物を試して、うまくいかなかったときのことを考えると余裕がなくてな。だから今は芋の生産量を増やすことが優先だな。」


 なるほど。ほかの作物に投資するには資金が少ないのか。そういや前世でもお金に余裕がないと投資するなんてできないし、まずは資金を貯めてから資産運用するのが定石だったもんな。納得。


「そっか。なら僕がお手伝いたくさんして、父さんがたくさんお芋作れるように頑張るね。」


「お、えらいな。頼んだぞ。だが、今はとりあえず休まないとな。もう歩けるだろう。一度、立ち上がってみろ。一緒に家に帰ろう」


「歩けるけど、できればおんぶして欲しいなあ。」


「まあ仕方ないな!今日だけだぞ」


「わーい、やったあ!」


よし、これでまた可愛い子ポイントゲットしました。ぷぷぷっ。



 そうして、父さんにおぶってもらって帰っていると畑仕事をしているキール兄ちゃんを見つけた。

キール兄ちゃんは僕の10歳年上で今は13歳、体格は父さんに似てガッチリ!というよりマッチョ系だ。といってもまだ13歳なんだけど。

 そしてどうやら多感なお年頃らしく、なぜか僕のことを少し避けているように感じる。



「あ、キール兄ちゃんだ。ねえ、父さん、キール兄ちゃんに声かけてもいいかな?」


「いいぞ。もう少しで休憩するだろうからな。」


「キール兄ちゃーん!」


「(げっ、クーフじゃないか。また父さんに甘えてるのか。あの人たらしなところ苦手なんだがな)

 おう、父さんとクーフじゃないか。まだお昼ごはんの時間ではないよね。何かあったのか?」


「実はな、クーフが魔法を発動しちまったんだ。」


「魔法?父さん、魔法教えたの?」


「いいや、無自覚で使っていたようだ。誰からも教わらずに魔法を使えたクーフは天才なのかもしれん。」


「そ、そうなんだ。(天才とか親バカすぎないか。)

 あれ?でもまだクーフは5歳になっていないよな。スキル授からなくなるんじゃないの?」


「あぁ、そうなるな。そこでキールに相談があってな、クーフはもうスキルを授からない、だから魔法の練習をさせることになってな、それで魔法の練習をするときには近くで見てやってほしいんだ。」


「(げっ。また面倒なことを。)

 う、うん。わかったよ。それでクーフは何の魔法が使えるんだ?」


「俺も直接は見てはいないんだがな、どうやら、身体強化魔法のようなんだ。」


「身体強化?クーフ、魔法を使ったときはどうなったんだ?」


「えっとね、体が軽くなってめちゃめちゃ速く動けるようになったよ。」


「速く動けるか。ふうん、そうか。いま使えるか?」


「さっきね、僕は魔法使ってる途中で、足がガクガクして倒れちゃったんだけど、もう使っても大丈夫なの?」


「ああ、魔力切れを起こしたのか。ならあと1時間以上空けてからだな。お昼ご飯のあとに一度見せてくれ。」


「はーい。わかりましたぁ。」


「(この媚びてるような感じ苦手なんだよな。)」


「そういや、キール兄ちゃんは魔法使えるの?あとスキルは何持ってるの?」


「(質問は1個ずつにしてくれよな、まったく)

 魔法は生活魔法なら全般使えるよ。あとスキルは超集中だ。」


「超集中?使うとどうなるの?」


「使うといつもより成果があがるぞ。ただ集中力があがっても、その他の能力が上がるわけではないから、疲労度は多くなるぞ。だからよっぽどでなければ使わないな。」


「そうなんだ。なんか超集中で魔法使うとすごい魔法が使えそうだね!」


「んーやったことはないな。一気に魔力を消費して魔力切れでぶっ倒れるかもしれないしな。まあそうなったらそうなったで、母さんがヒールのスキルを持ってるからそれで回復してもらえばいいんだけどな」


「えっ!母さんは回復のスキルなの!?すごーい!じゃあ僕が魔法を使いまくっても母さんに回復してもらえればずっと魔法使えるね!」


「おい、クーフ。それはダメだ。イザリアは俺の大事な妻だ。スキルは使えば使うほど良いとの話があるが、超集中のスキルのようにスキル以外の箇所へ影響が出ることがあるんだ。

 だからスキルの使い過ぎは良くないとも言われている。俺の農耕スキルは特に影響がないらしいが、強スタミナはスタミナはあがっても筋肉が強くなるわけではないから、少しずつ体を適用させながら使わないと、極度の筋肉痛になったりもするんだ。特にヒールは使えるものがあまりいないから他への影響がどうなるかはわからない。」


「そうなんだ。勝手なこと言ってごめんなさい」


 にしても父さん、かなり母さんのスキルについて神経質になってる気がする。何か前に母さんのスキルで悪影響でもあったのかな。

んーいま聞いていい雰囲気でもないし、父さん普段は腕組んだりしないのにいまは腕組みしてるから、心理学的に言うと心を閉ざしてるポーズになってるんだよね。また機会をみて母さんに聞いてみようかな。


「じゃあクーフ、キールはまだ畑仕事があるから先に家に帰って休もうか。俺はクーフを家に送ったらまた畑拡大のため、新規開拓地へ戻る必要があるからな。」


「はーい。わかったぁ。もう歩けそうだからここからは歩いて戻るよ。」


「そうか、じゃあ行こうか。キール仕事の途中ですまんな。しばらく休憩したらまた畑仕事頼むな。」


「父さん、ありがとう。お昼ご飯食べたら、クーフはオレがみておくよ。」


 そうして、僕と父さんはお家に帰ってきて、魔法が使えたことと魔力切れを起こしたことを母さんに報告すると母さんからとても心配され、ヒールされまくるのであった。


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