第3話 身体強化魔法発動!?
某アニメの気を溜めるように全身にオーラを纏うイメージをして気合を入れた。
すると僕の体は蒸気のようなオーラに包まれ、体が軽くなった気がした。
そして、その勢いのまま僕は水撒きを開始した。
「おー!!!なんだこれー!!めちゃめちゃ体が軽い!というか動きが格段に速くなってる!プラシーボ効果最高―!!」
調子に乗った僕はそのまま水撒きを5分ほどしていると突然、転んでしまった。
「痛ったーい!あれ?足がガクガクして立てないよ。」
転んだあと、僕の足は痙攣し、立てなくなってしまった。
そして立てなくなってから数分後、父さんが遠くから駆けつけてくるのが見えた。
「クーフ!どうした?何があった?」
そして僕は諸々の事情を説明した。
「お、おまえ、魔法が使えるのか?い、いや使えるようになってしまったのか。」
「え、魔法?」
「恐らくだが、クーフが使ったのは身体強化魔法だ。通常は教えられないと魔法は使うことはできないはずなんだが。」
あ、前世の知識がもしかしてなんとなく魔法発動条件になってしまったのかな。まずいな、その辺のこと聞かれないうちに適当に話を逸らしてごまかそう。
「そ、それより何で父さんは僕が倒れてると思って走ってこれたの?」
「うん、それはだな。感知魔法を使っているからだ。この魔法は、一定の範囲で魔法の発動があれば感知できるんだ。それでクーフが居る辺りに何か魔物でも現れたのかと思って新規開拓地から急いで帰ってきたんだ。」
「魔物!?僕の魔法は魔物みたいなものだったの?」
「いや、俺の感知魔法の精度はそこまでなくてな。発動されている範囲を広げることはできるんだが、その魔力がどういったものかは判別できないんだ。判別するには魔法学-感知魔法-判別の原理を学ぶとできるらしいんだが。まあ学んでも理解できないこともある。とりあえず原理のことはおいといて。
それで魔力判別ができない俺は魔法が使われたことがそのまま魔物発生だと思ってな、しかもクーフの居る辺りだったから、つい魔物に襲われたんだと思って戻ってきたんだ。」
魔法学?感知魔法?判別の原理?なんだその難しそうな学問は。この世界の魔法は多岐に渡る魔法学みたいなのがあったりするのかな?まあこの辺りは追々調べていこう。それよりも。
「ねえ、父さん。僕の足、ガクガク震えて立てないんだけど、どうなっちゃうの?」
「ああ、それなら心配ない。前に魔法には体力が必要といっただろう?いまは魔法の使い過ぎによる魔法酸という疲労物質が体にたまっている状態だ。しばらくしたら元に戻るから心配するな。
ただ、それよりも。」
「それよりも、なに?」
「スキルがもらえなくなるな。」
あ、そういや前に5歳までに魔法を使うとスキルがもらえなくなるとか言ってたなあ。
というかスキルって詳しくは何なんだろう?
「スキル?父さん、スキルって前にも聞いたけど、どういうものなの?あとスキルないと僕はどうなっちゃうの?」
「スキルというのは超得意分野みたいなもので12歳になったときに受ける天啓の儀というのが教会であってな、そのときに神様からスキルをもらえるんだ。一般的には1つもらうのだが、神様に愛されたものは複数もらえるんだ。ただ、なぜか5歳までに魔法を使うと神様に見放され、スキルはもらえないと言われているんだ。スキルがあれば、仕事を選びやすくなる利点があるからスキルで職が決まると言っても過言ではないんだ。まあ全員がスキルの職業ってわけでもないんだがな。ってこんな難しいことを3歳のクーフに言ってもわからないか。」
げっ。まずいやつじゃないか。チート生活が遠ざかるやつ。しかも僕は次男だから絶対に家を出なければならないのに。うぅ、どうしよう。あ、そうだ!
「んーなんとなくわかるよ。スキル貰えないなら3歳の今からでも魔法の勉強してもいいってこと?」
「魔法の勉強してもよいってことになるのか?んーまあ、そうか。魔法の勉強してもいいけど、うちに魔法をきちんと教えられる人は居ないぞ?
それに実感しただろうけど、少しの魔法なら大きな影響はないが、たくさんの魔法を長時間使うには体力が必要になるから、どちらにしても体力をつけることから始めないといけないぞ。」
父さんは魔法の勉強については困った様子なので、たぶん魔法の勉強はしたことはあるけど苦手なんだろうな。魔法もたぶんなんとなくとか勘とかセンスとかで使ってるんだろうな。無駄に体型がガッチリしてるし。
それなら自己流で研究してみるか。
「そうなんだ。じゃあじょうろで水撒きするときに少しだけ魔法を使いながら試したりしてもいいかな?」
「うーん、一人の時はダメだ。もし今回のように倒れると心配だからな。その代わり、俺かクーフの兄であるキールが一緒ならいいぞ。」
「わーい、ありがとう!」
こうして体力強化と兄との魔法訓練が始まるのであった。