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第27話 感知魔法の感知ってなんだ?




 とある日。いつものように教会の裏手で魔法の訓練の準備をしていた。

 すると、突然エルプーリさんから次の魔法についての説明があった。


「クーフくんはもう土魔法については大方、身についたみたいだね。なので、今日からは新しい魔法を覚えていこう」


「はい、よろしくお願いします。」

 やってきました!新たな魔法!土魔法と通常の魔力を纏う訓練だけでも楽しかったけど、やっぱり新しいことを始めるのもワクワクするよね。


「次の魔法は無属性である感知魔法を学んでもらうよ」


「感知魔法!?ねぇ、なんで感知魔法なの?」


「うん、それはだね。私が感知魔法を得意だからだ!

 というのもあるんだが、実はここ最近の魔法研究で感知魔法を習得すると、他の属性の魔法や同じ属性の無属性魔法の習得スピードがかなり早くなることがわかったんだ」


「そうなんだ。」

 この世界には魔法研究とかあるんだね。何となくのイメージだけど、暗い研究室で怪しいことをしている姿が思い浮かぶよ。

 というかエルプーリさんが魔法得意なのって感知魔法が関係していたんだね。


「じゃあ感知魔法について考えてみようか」


「はい!わかりました!」


「じゃあ前と同じように紙に書き出していこう」


 そう言ってエルプーリさんが紙とペンと木板を渡してくれた。

 それから僕は紙に書き出すことにした。

 

 ・・・。うん、全く思いつかないよ。感知ってなんだ?そんなの前世になかったよね?

というか僕は知識チートで楽々生活できる予定だったのに、何処へ?

 それから僕は一向に何も浮かばない不安から焦りを感じていた。すると、そんな様子を見たエルプーリさんが不審に思ったのか、話しかけてきてくれた。


「おや、クーフ君。どうしたんだい?」


「あ、あの、感知って何なのか、全然わからない。ごめんなさい」


「そんな気にしなくていいよ!普通は土魔法とかであってもわからないものだからね。クーフ君にもわからないことがあって、私はどこかホッと安心したよ」


 僕は心のどこかで、完璧にこなさなければならないと自分で自分を追い込んでいたようだ。

だけど、エルプーリさんの言葉で少し気が楽になったよ。


「エルプーリさん、感知のことについて教えてください」


「ああ!もちろんだよ。」


 そういってエルプーリさんは僕のすぐ側まで近づいてきた。


「じゃあクーフ君。目を閉じてごらん」


「えっ・・・。」

 え、え、え、まさかのここであってはいけないラブシーンが始まるの!?

そう思った僕はこれがただの早とちりであることをすぐに知った。


「いや、君ね、いくらおませさんだからといって、そのような想像は良くないよ。」


 うわっ、勘の良い神父さまパワー発揮してるぞ。ん?でも、どういうことだ?

「えっ?今からナニするの?」


「いや、だからそういうところなんだけど。まあいいや、今から私の手を徐々にクーフ君に近づけていくから、どの辺りに近づいたのかを感じた時点で“ストップ”と言って、その場所を当ててもらいたい」


「あっ!そういうことね!何だか僕、大きな勘違いをしちゃっていたよ。それじゃあお願いします!」


 そして僕は目を閉じて、エルプーリさんの手が近づくのを待った。

 すると。


「ストップ!僕の左腕のところ!」


「うん、正解だ。じゃあ次いくね」


「お願いします」




「ストップ!僕の右耳のところ!」


「うん、正解だ!もう目を開けてもいいよ。」


「ふぅー」

 緊張をほぐす為に僕は息を大きく吐き、それから目を開けた。


「どうだね?感知ということに関して少し気づきがあったかい?」


「はい!なんとなくだけど、わかってきたよ。忘れないうちに紙に書き出していくね」


「うん、ここからは一人でもできそうだね。では私は教会での仕事をしてくるよ」


「ありがとう!頑張ります!」


 そうしてエルプーリさんは教会の中へ戻って行った。

 それから僕は感知に関することを思いつく限り、書き出し、それからそれらが感知魔法へとして使うにはどうすればいいのかを仮説まで書き出していった。


 僕が考えた感知魔法に関することはこうだ。

 1.感知とは熱を感じること(エルプーリさんの手の温度が伝わってきたことで気配を察知できたからね)

 2.感知とは音を感じること(耳へ手を近づけられた時、音の変化に気づいたからね)

 3.感知とは光を感じること(エルプーリさんは僕の前に立っていたんだけど、時折動くからか、目を閉じているのに光の強弱を感じたんだよね)

 4.これら1~3までのことを総合的に考えるとすべてに共通しているのが振動による波である。

 どういうことかと言うと。

熱とは原子の振動であり、音とは空気の振動であり、光とは何かの振動だ。

 うん、光に関する知識だけ不足していてごめんなさい。

 でもまあ、とにかくすべては振動がポイントとなっていると僕は仮説を立てた。


 じゃあ次にこの振動を魔法へと転用するにはどうするかだけど、コウモリが使うような超音波をイメージしてみた。

 自分の魔力を超音波のように発して、何かぶつかると戻ってくる。恐らく、魔力音波(勝手に名付けた)は魔力に対して反応をするだろうから、その魔力振動の種別を感じる訓練をすれば、誰がどこにいるかまでわかりそうだ。

うん!何だかいけそうな気がする。

善は急げ!ということで早速、ただの魔力を纏ってみた。それから今までは手から土しか出したことなかったけど、全身から全方位へ向けて、魔力を発射させてみた。


「んぐっ。」

変な声が出てしまったよ。魔力を飛ばすことは出来たけど、いきなり全力でやったから危うく魔力切れになるところだったよ。

というか無属性魔法はただの魔力なのかな?いきなり使えちゃったけど。

でもまあ、なんとか魔力を超音波のように出すことは出来たし、いっか。

あれ?でも、出すのはいいけど、よくよく考えると反射して戻ってきた魔力を受ける方法を考えていなかった。

僕はどうしようか、と考えているとエルプーリさんが猛ダッシュでやってきた。


「はぁ、はぁ、クーフ君!大丈夫かい?君から何かとてつもない量の魔力が爆散したようだけど」


 ば、爆散!?そんなにひどかったのか、今のは。

「ごめんなさい。感知魔法を思いついた方法でやったら、やりすぎちゃったみたいで」


「そうかい。まあ無事そうで何よりだよ。」


「ははっ。」


「まあやってきたついでだから、書き出した内容を確認するよ」


「お願いします」

 そう言って僕はエルプーリさんへ紙を渡した。


「ん?熱・音・光は振動がポイント、振動を感じる、うん。クーフ君は独特な感性を持っているようだね」


 あれ?もしかして仮説は違ったのかな?


「僕の考えは間違っているの?」


「間違っているというか、書いている内容が理解できないので一度説明してもらえるかな?」


「は、はい。魔力を全身から放射状に出して、何か魔力のあるものに当たると戻ってくるかなって思って、さっき試しました」


「振動を感じる、って書いてあるけど、説明とまったく違うね・・・まあいいか。うん、その考え方は大方、あっているよ」


「ほ、ほんとに!?やった!」


「いや、それだけでは感知ができないよ。それとは別に全身に魔力を纏っておくと、その反射した魔力を感知することができるよ。感知できる範囲は魔力量やどの程度、出すかによって変わってくるけどね」


「え、何だかすごく難しそうだね」

 これってもしかして、感知魔法ができるから他の魔法の習得が早いのではなくて、魔法の習得が早いから感知魔法ができるの間違いではないの?感知魔法の難易度高すぎるよね?


「まあ、感知魔法は難しいかもしれないね。ただ、10メートル範囲程度の感知魔法ならそこまで難しくないと思うよ」


 おー、得意な人が言う難しくないって言葉は要注意だね。

まあでも僕は何が何でも頑張るけどね。


「そうなんだ。エルプーリさん、感知魔法を使う時はもしかしてそんなにたくさんの魔力を飛ばさなくていいの?」


「そうだね、イメージとしてはかなり少なくても使えるよ。ただ精度が落ちるかもしれないけどね」


「そっかぁ。じゃあまずは魔力を少なくしてから近くを感じることから始めるね」


「是非、そうしてくれ」


「感知魔法の訓練をするための何か魔力を感じられるものってある?」


「そうだね、私が作った紙なら魔法製だから、作ってから半日程度は魔力を帯びているから使えるよ。

 はい、これを渡しておくよ」


 そうして僕はエルプーリさんが紙を受け取り、お礼を言うと、エルプーリさんはまだ教会での仕事があるようで行ってしまった。


「とりあえず、極少量魔力を手だけで試してようっと。それっ!」


 おっ、出来た。意外と簡単だったよ。

その日は魔力切れが恐かったので、極少量魔力で両手、両足、両肩、両膝などありとあらゆる箇所で試し、すべてで上手くいった。

 それからまた1か月ほどは感知魔法の練習をした。

 

 そして、僕は感知魔法の重大な欠点に気づくことになるのである。


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