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第21話 朗報:5歳になりました



 5歳になりました。

 5歳になるまではずっと女の子たちに勉強を教えていて、そのお手伝いのお礼として、週に一度は神父のエルプーリさんから色んな食材をもらっていたよ。

僕の住んでいる村は農家が多いので、野菜や穀物が中心だったけど、たまに果物ももらえたよ。

みかん、バナナ、リンゴとかね。


 5歳になった今日、教会でのお手伝いを終えた僕は家に帰ってきた。

すると、エルプーリさんが来ていた。

 いや、この人何でいつも僕より先に家にいるんだよ。さっき教会で「またあした」って挨拶したのに。僕の家に来るなら一緒に行けば良いと思うのは僕だけなんだろうか。


 まあそれはさておき、どうしてエルプーリさんはお家に来たのかな?また誕生日プレゼントでもくれるのかな?僕は淡い期待をしながら、挨拶をした。


「ただいま。こんばんは、エルプーリさん。先ほどぶりだけど。」


「ははっ。クーフ君、こんばんは。それからお誕生日おめでとう!」


「ありがとうございます!それで今日は何かあったの?」


「これは私から言うよりも君の父アルフから説明してもらった方がいいね」


 そうしてエルプーリさんは父さんに目配せをすると、父さんは一つ頷いてから話し始めた。


「クーフ。5歳の誕生日おめでとう!それから教会でのお手伝いもよく頑張っていると聞いたよ。本当に素晴らしい成長をしてくれて、うれしく思っているよ」


「ありがとう、父さん。」


「それでだな、クーフが望んでいた魔法について話をする」


「ま、魔法!?」

 きたー!やっとの思いの魔法だ!これはこれからの人生楽しみしかないな。


「まあ、落ち着きなさい。

 魔法のことだが、クーフは今日で5歳を迎える。つまり、魔法を使ってもよいとされる年齢になるわけだ。」


「うんうん!」


「だがな、普通は5歳から魔法を使う人はほとんどいない。」


 ん?何か雲行きが怪しくないか・・・。

「父さん、それはつまりどういうこと?」


「クーフが外で魔法を使うということはだな。」


「うん・・・。」


「クーフが天才に見られるということだ!わっはっは!父として鼻が高いぞ」


「・・・?」


「どうしたクーフ?」


「いや、なんでもない。

じゃなくて!それは僕が魔法を使っても良いってこと?」


「そうだぞ。これからはたくさん魔法を使って、魔法の精度を磨いていくんだぞ!」


 よかったー!父さんの親バカすぎる発言が内容を分かりづらくさせられたよ。

だけど、魔法の許可が下りてよかったよ。


「ねぇ、父さん。僕、生活魔法と身体強化魔法しか使えないけど、他には学べないの?」


「ああ、ここからは私が話をするよ」

そう言ってエルプーリさんは陽気に笑っている父さんを苦笑しながらいったん下がらせて、魔法のことについて説明をしてくれた。

どうやら僕はエルプーリさんから魔法を学ぶことができるようだ。

 魔法については座学と実践で教えてくれるとのことで、詳しくは明日、教会でお話をしてくれることになった。

あれ?僕は先生のお手伝いもあるのにどうすれば?

と思ったので聞いてみた。


「エルプーリさん、明日から魔法のお勉強よろしくお願いします。」


「こちらこそ、よろしくね。」


「それでなんだけど、僕は教会で先生をしながら魔法の勉強もするの?」

僕は“先生はしなくていい”と言われることを期待した眼差しでエルプーリさんに聞いてみた。


「そのことなんだけどね、アルフと先ほど話をしたんだ。私やシスターたちの意見は是非とも君には先生を続けて欲しいと思っていてね。

 特にここ最近の女の子たちのやる気が凄まじくてね。なぜか家庭教師を付けている家の子らも家庭教師をやめて、教会に来ているくらいなんだ。」


「そうなんだ。だからか、なぜか最近、女の子が増えたと思っていたよ」


「それでね、その女の子たちの目的がクーフ君なんだよ。」


「えっ、なんで?」

 僕はすっとぼけた様子で首を傾げてみた。


「いや、君わかってるだろ。教えるのが上手くて、恐くなくて、むしろ癒し系の人が先生だったら、みんな選ぶし、異性だったら惚れちゃうよ。というより君は今めちゃくちゃモテてるのわかってて言ってるよね?

それにね、異性とか同姓とか関係なく、君には惚れちゃうくらい魅力あるよ?」


 ん?最後の方は何やら不穏な様子だったけど、とりあえずスルーしておこう。というか、僕がモテてるということを自覚してるのがバレてるんだな。気を付けなきゃ。

「みんな、僕が小さいから可愛がってくれてるのだと思ってた。でもモテてるのか、僕は。」


「・・・まあ、そういうキャラでいくならそれでいてくれても構わないよ。

 だから是非とも先生を続けてもらいたくてね」


「じゃあ僕はいつ魔法の勉強をするの?」


 そう問いかけると、先程より少し落ち着いた様子の父さんが話し始めた。


「クーフ。それをな、先ほど神父さまと話をしていて、午前中の水撒きを当分は1時間だけにして、残りの午前の時間を教会で魔法を学んでもらうことにしたよ」


「え、いいの?でもそれだと父さんかキール兄ちゃんが代わりに水撒きをすることになっちゃって、畑の新規開拓ができなくなるんじゃないの?」


「そこは心配しなくていいぞ。最近キールが超集中スキルの使い方を色々試していてな、体を動かすことに関して効率が良くなったようなんだ。」


「えっ、そうなの!?」

 まさかの情報。キール兄ちゃん、意外と陰で努力するタイプだったんだな。


「あぁ。それにな、クーフが魔法を習得すると魔道具じょうろを使いこなせるようになると思っていてな。

そうなると水撒きが格段に早くできるようになるから、そういった意味でも心配がないんだよ」


 そういや、魔道具じょうろへは魔法を使うと性能があがるとか言ってたな。

父さんが脳筋の教え方しかできないから、諦めていたのもあってすっかり忘れていたよ。

「わかった!じゃあ魔法のお勉強頑張るね」


「あぁ、頑張ってくれ。ただかなり体力を使うから昼から先生をする分を残すようにして、魔法の訓練をしないといけないぞ」


「わかった!」


 それから明日教会へ訪ねる時間を神父さまと話をしたあと、エルプーリさんは帰って行った。


 そのあと僕は・・・。


「5歳、最高―!!」

 と叫びながら、小躍りしていた。いや、大踊りしていた。

すると、カンテナ姉ちゃんから「あんた、うるさい」と怒られてしまったのである。


 怒られてしょんぼりした僕は少し気持ちが落ち着き、さっき父さんが言っていたキール兄ちゃんのスキルのことを思い出した。

そこでキール兄ちゃんに話を聞いてみることにした。


「キール兄ちゃん、超集中スキルの使い方がうまくなったって父さんから聞いたけど、何をしたの?」


「父さんが話したのか。いや、まだ色々と試している途中なんだけどね。

 ひとつわかったことがあって、超集中スキルを瞬間的に使うことで、あまり他に負担がかからずに効果を得ることが出来たんだ」


「ん?つまりどういうこと?」


「例えば、走ることに超集中スキルを使うとする。今までなら走る前から走り終わるまでスキルを使いっぱなしにしていたから、ずっと体中に緊張感がある状態で、かなり体力を消耗していたんだ。

だけど、走り出す瞬間や地面を蹴る瞬間だけスキルを使うと体力の消耗が普段のときと大きく変わらなかったんだ。」


「すごい!それって大発見だよね!

 というかスキルって瞬間的に使うこともできるんだね」


「いや、スキルを瞬間的に使えるようになるまではかなり練習したよ」


 そう言ったキール兄ちゃんはどこか誇らしげな表情をしていた。

 キール兄ちゃんって、すごい努力家だ。出来るかどうかもわからないのにそれに向かって頑張れる精神力って並みじゃないよね。

 でもこれって上手くいったから良かったけど、一歩間違えば努力の方向性を見誤って自暴自棄になり兼ねないから、かなり危ない方法な気がするのは僕だけ?

そう思いながらも僕はこのスキルの使い方を魔法を学ぶ上で適用できるのではないかと可能性を感じていた。


「キール兄ちゃん、すごいね!」


「いや、これもすべてクーフの頑張っている姿や新しい料理を作る姿を見ていたから、俺も頑張ってやってみようと思えたんだよ。ありがとな、クーフ」


 「う、うん。」

 思わぬ発言につい照れちゃって、シャイボーイになってしまったよ。

こんなふうに言ってもらえたら、ますますやる気出てくるよね!

よし!明日からの魔法の訓練、精一杯がんばるぞ!


 こうして僕はやっと本格的に魔法の訓練をすることになったのである。


やっと来ました、魔法の訓練。

ここまであまり異世界感がありませんでしたが、これからはTHE 異世界の話になります。

はい、たぶん、なるはずです。

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