第12話 念願のマッシュポテト
僕は父さんがもらって帰ってきたお鍋を見てから、夕食の準備の時間までワクワクしていた。そして、やっとのことで夕食の準備をすることになった。
「ねぇ、カンテナ姉ちゃん!今日は新しいお鍋でお芋を茹でてみようよ!たぶんね、いつもより早く茹でられると思うよ」
「ええ、そうね。せっかくだからやってみましょう」
そう言って僕はいつものように水の生活魔法でお芋の入った鍋に注水し、蓋をしてから、火の生活魔法で薪を燃やした。
ちなみに今日は蓋の上に薪は置いていない。茹でる時間の通常状態との比較をしたいからだ。
それとお鍋のセッティングはカンテナ姉ちゃん頼りだ。僕がやるにはまだまだ非力すぎるからね。
そして、15分ほど茹で、お芋の火の通り具合をカンテナ姉ちゃんが竹串で確認した。
「あら、本当に短い時間で中までしっかり火が通ってるのね。」
「やったね!じゃあカンテナ姉ちゃん、お鍋のお湯を捨てて、このお芋さんの皮を剥いてからまたお鍋の中でお芋さんを入れて、周りの水分を飛ばそう!」
「ん?何言ってるの?このままお塩をかけて食べるのがいつもの食べ方でしょ?」
「いいから、やってみて!僕は美味しい食べ方を思いついたの!」
「そう、じゃあいきなり全部をやるのは恐いから2個分だけやってみるわね」
そう言ってカンテナ姉ちゃんは2個のお芋の皮を剥いて、水を捨てた鍋に入れてくれた。
「クーフ、これで焼くのかしら?」
「違うよ。このお鍋はまだまだ熱いからその熱を使って茹でたときの水分を飛ばすんだよ。ここからは僕でもできそうだからやるね」
そう言って僕は、お鍋の中でお芋を転がして、水分をある程度飛ばしたあと、すり鉢状の木の容器へお芋を移した。
「クーフ、まだ何かやるの?」
「うん!お芋をつぶすの!」
僕はそう言いながら塩を軽く振りかけてから麺棒のようなものでお芋をつぶしてマッシュポテトモドキが完成した。
それから僕はワクワクしながら味見をした。
「うん!おいしい!」
「あたしも少し味見していいかしら?」
「いいよ!食べてみて」
「あら!これ、すっごくおいしいわね!」
そう言いながらカンテナ姉ちゃんは味見の範疇を超えるくらい食べていた。
そのせいで他のみんなが食べる分はスプーン1杯程度となった。
僕はジト目でカンテナ姉ちゃんを見ていると、カンテナ姉ちゃんは僕の視線から外れるようにしてお料理を食卓へ運んで行った。
「あら、カンテナ、このお料理は何?」
マッシュポテトモドキをみた母さんがカンテナ姉ちゃんに聞いていた。
「これは茹でた芋をつぶして塩で味付けしたものなの。今日はお試しだったから量は少ないけど。」
いや、何言ってんの?あなたが食べ過ぎたからだけど。
「あとね、新しいお鍋で芋を茹でたら、半分くらいの時間で茹でることができたわ」
「いいわね!これで薪の節約になるわね。じゃあこの新しいお料理をいただくわ」
そう言って母さん、父さん、キール兄ちゃんはマッシュポテトモドキを食べた。
「「「うまーい(おいしい)!」」」
「カンテナ!あなたすごいわね!このお料理どこで覚えたの?」
「これあたしが作ったのではないわ。クーフの思いつきよ」
「クーフ、すごいわね!あなた発想の天才なんじゃないの?」
「イザリア、俺もクーフは前から天才だと思っていたぞ」
「(またこの両親は親バカ発揮してるな。ただ今回ばかりは本当にすごい)」
「ありがとう!でも、僕は全然だよ。」
というかこの家の人たちが食に関しての興味が今までなさ過ぎたんだよね。
「そんなに謙虚にならなくていいんだぞ?あ、それよりも教会へ行って神父さんへ話をしてきたんだがな、魔法はまだ教えられないが、まずは教会でやっている文字の読み書きと計算の勉強からならいいと返事をもらってきたぞ?それで良ければ、教会へ行って勉強するか?」
「魔法はまだなんだ。でも読書きとかの勉強はしたい。だけど、畑の水撒きがあるから難しくないかな?」
「畑の水撒きはお昼ご飯までに今までの半分終わらせればそれでいいぞ。」
「やったー!ありがとう」
よし、これで教会での勉強の機会を得ることができたぞ。どちらにせよ、この世界の読み書きができないと色々不便だもんね。計算に関しては恐らく前世で学んだことの方がレベルが高そうだからそんなに必要性は感じていないけど。
魔法を教えてもらうためには神父さんへ“良い子ちゃんアピール”をして気に入られる必要がありそうだ。前世で学んだ心理学がうまく使えるといいんだけどなあ。
「じゃあクーフ、明日から教会へ行くぞ。明日だけは俺が付き添ってやるからな」
「うん!ありがとう!」
「あとな、神父さまと話をして、他の村人の目もあるから5歳を過ぎるまでは外では魔法は使わせないようにと言われたから、外では使ってはいけないぞ」
「うん、わかった!約束する。」
こうして、翌日から教会へ通うことになったのであった。
そして、心理学をうまく使うことにより僕のモテモテ人生が始まるのであった。




