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第10話 魔道具への理解



 魔力切れの予感を掴んだ翌日。

 僕は魔道具じょうろの水量の問題について考えながら、朝の食卓に着いていた。

すると、母さんから話しかけられた。


「クーフ?どうしたの?そんな難しい顔をして。」


「あぁ、母さん。何で魔道具じょうろから水が出るんだろ?って考えていただけだよ。

 しかも一定量が出続けるから不思議だなって思って。」


「あら、そうなの?私も昔はアルフの手伝いで魔道具じょうろ使っていたけど、特に不思議に感じたことなかったわ。クーフって無邪気だと思っていたけど、意外といろいろと考えているのね、そういうところすごく素敵よ」


「ありがとう!母さん」

 そう言って僕は満面の笑みで母さんに微笑み返した。

 すると、父さんが不思議そうな顔で僕に話しかけた。


「魔道具じょうろの水量は一定ではないぞ。傾ける角度が大きければ大きいほど水量は増すぞ」


「そうなの!?」


 まさかの事実である。僕はまだまだどこからどう見ても子供であり、身長が低いのでその事実に気づくことが出来ていなかったようだ。


「それとな、魔道具じょうろに魔力を注ぐと水の量も飛び出す勢いも変わるぞ」


「えっ、なにそれ!」


「クーフにはまだ出来ないと思って、説明していなかったんだが、基本的に魔道具と呼ばれるものは魔力を込めて使うものなんだ。ただ稀に魔道具じょうろのように魔力なしでも魔道具として使えるものがあるんだ。そういった魔道具は魔力を込めることでさらに性能を上げることができるんだ」


 まさか、まさかの事実である。この1分もしないうちにとんでもサプライズが2度もあるとは。

まったく、父さんは僕を喜ばすのが上手みたいだ。おかげさまで僕の瞳がギラギラになっちゃったよ。


「父さん、魔道具に魔力を込めるってどういうふうにすればいいの?」


「ん?魔力を込めるとは魔力を込めるだけだぞ?」


 う、やっぱりこの人は脳筋なんじゃないかと思ってしまう。

そう思いながら僕が難しい顔をしていると、カンテナ姉ちゃんが助け舟を出してくれた。


「父さん、そんな教え方だとクーフにはわからないわ。クーフ、魔力を込めるっていうのは生活魔法を使う時と同じでどんな風に魔法を使いたいかをイメージするのよ。ただね、魔道具を使う場合にはその魔道具の性能に合わせてイメージしないと性能が発揮できないみたいよ。」


「そうなんだ!カンテナ姉ちゃんありがとう!今日、お手本みせてもらってもいい?」


「あ、あたしは魔道具をうまく使えないの。だから教えられないわ。」


「そっかぁ。でも教えてくれてありがとう!」


 そして僕は申し訳なさそうな顔をしているカンテナ姉ちゃんに精一杯の感謝の表情でお礼を言った。

仕方ない、自力で頑張るか。

そうして、魔道具じょうろに関する知識を得た僕は朝食後、さっそく魔道具じょうろで水撒き兼魔法実験を始めた。



「よし!まずは傾きを大きくしてどの程度水量が変わるかの実験だな。」


 そして僕はとりあえず真下に魔道具じょうろを向けた。


「お!おお!水の出るスピードは変わらないのに水の量だけ増えてる!」


 そう、魔道具じょうろの出口の穴が広がり、大口のホースから水が出ているくらいの水量となったのだ。


「あ、やばっ。」


 おかげで足元に水たまりが出来てしまうほどだった。


「うーん、でもこの角度ではさすがに水撒きは厳しいな。何より角度をつけると地面との距離がほとんどないもんな。よしっ、次は魔力を込めてみよう!それー!」

僕は水がたくさん出るというよりも速く出るイメージをしながら、魔道具じょうろに魔力を込めた。


「うぅ、失敗か。」

 結果は何も変わらず。やっぱり水が早く出るイメージだと原理からは遠すぎるようだ。

よし、それなら科学の知識を使ってやるぞ!前世では家のシャワーの水圧について調べたことがあって、その時に“流量は圧力の平方根に比例する”ということを知ったんだよね。

まあ簡単に言えば、圧力を上げれば流量も増加、つまり水圧が強くなるってことだ。


「じゃあ、じょうろの中の水圧を上げないといけないな。うーん、どうしよ。」


 僕はアイデアが浮かばず、結局その日はいつも通りに水撒きをして家に帰ってきた。

 そして生活魔法の練習も兼ねて、夕食のお手伝いをしながら考え事をしていた。

僕は何とかして、この芋料理のバリエーションを増やせないものかと考えていた。


「ねえ、カンテナ姉ちゃん。いつもお芋ってどれくらい焼いたり、茹でたりしてるの?」


「そうねぇ。基本は薪の節約のために焼くことが多いのだけど、焼くときは芋を分厚いスライスにして10分ほどかしら。たまに茹でるときはお芋をそのまま茹でるから30分ほどになるわね。」


「そうなんだ。薪の節約があるから焼くことが多いんだね、知らなかったよ」


「まあうちはそんなに裕福ではないからね」


 うーん、どう考えても僕んち貧乏だもんなー。茹でたあとにお湯を捨てて、少し火にかけて水分を飛ばしたあとに潰したらマッシュポテトもどきになるんだけど、さすがに薪を使いすぎてしまいそうだな。なかなか料理のバリエーションを増やすのは厳しいのか。いや、待てよ。

「あっ!」


「どうしたの?クーフ?」


「い、いや、何でもないよ!」

そう言いながら僕は良いアイデアが思いついたのでニヤニヤしていた。


「そう、ならいいわ。(あら?この子、またテンション高くておかしなこと言ってるわね)」


 カンテナ姉ちゃんが引いてる様子には気づいたが、そんなことはどうでも良いくらい僕はワクワクしていた。

はっはっは!思いついちゃったよ。僕はやっぱり天才なのかもしれないな。薪の節約したいなら“圧力鍋”作っちゃえばいいんだよ!


 あれ?でも圧力鍋どうやって作ればいいんだ?原理はわかる。なんてったって前世では料理好きで、予定ない日は必ず自炊してたから当然圧力鍋も使っていたし、圧力鍋について調べたこともあるからね。


 原理としては密閉した容器に水を入れ、加熱することによって、内部の圧力が上昇し、沸点も高くなる。沸点が高い状態でさらに加熱することでまた内部の圧力が上昇、沸点が高くなる。この繰り返しにより内部圧力が高くなり、食材へ負荷を掛けて早く炊けたり、煮込めたりする。

ちなみに内部圧力が一定値を超えれば、排気弁より圧力を逃がす構造になっている。この排気弁がないと最悪は容器が破裂して大惨事になってしまう。


 とりあえず、試行錯誤してみるしかないか。

そしてそれから変わり映えのない1か月が過ぎていった。そう、結局試したくても貧乏が弊害となり、家にある鍋で実験ができなかったのである。

なので、この1か月間は鍋をどうするかというところから考えていたのである。


 そう考えていたある日、カンテナ姉ちゃんが村の商店に行くというので僕も初めて連れて行ってもらえることになった。

 そして、この世界の鍋事情を知ることになった。


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