プロローグ
プロローグです。
僕は12歳になり、この村を出ることになった。そこで、親友のリンキーが天啓の儀を受ける為、一緒に教会に来ていた。
「リンキーよ、神より超絶スタミナのスキルが授けられた」
神父さまが僕の親友に告げた。
「ありがとうございます。神さま、神父さま。」
そう言いながらリンキーは片膝を着いたまま、祈りを捧げた。
そして、神父さまは僕へ天啓の儀を受けるように言った。
「クーフ君、君も天啓の儀を始めようか」
「え、僕はスキルもらえないはずだけど」
「まあ形式だけになるのだが。天啓の儀は他にも意味があって、"大人となった証の儀式"でもあるからね」
そう言われ、僕は天啓の儀を受けるため、片膝を着き、祈りのポーズをとった。
実は僕は、とある理由でスキルが貰えないという事情を抱えているのだが・・・。
「では、始める。
神よ、この者がこの世に生まれ、これからの困難を超えて生きていく術を授けてくだされ。
そして成人としての門出を祝い、スキルを与えてくだされ。」
しばらくすると、神父さまが唖然とした表情で固まっていた。
が、すぐに神への感謝の言葉を綴った。
「神よ、感謝いたします。今後とも我らの生きる道を見守ってくださることを願いお祈りいたします。」
神父さまはお祈りを終えると僕を見て、神さまからのお告げを伝えてくれた。
「クーフ君、君には『特殊思念』というスキルが授けられたよ。」
「え、スキル?なんでスキルを授かることができたの?」
僕は困惑していた。
確かこの世界の規定では僕はスキルを授からないはずではなかったの?なのに、なぜ?
しかも『特殊思念』ってなんだ?
「クーフ君、何故なのかは私にもわからない。
確かに君はスキルを授からないはずだった。
もしかすると君のこれまでの行いが評価された結果なのかもしれない。
それにスキルではなく、特殊スキルと言われていたのも気になるが、一度スキルを試してみてくれないか」
神父さまが冷静さを取り戻しながら、説明をしてくれたが、不安な要素が残る言い方だった。
だが、僕は言われたとおり、スキルの発動を試みようとした、のだが。
「・・・あの、スキルってどう使うの?」
「あぁ、クーフくんのスキルだが、恐らく『思念』と言うくらいだから、何かを伝えようと念じてみてはどうかな?」
「わかりました。」
それから僕は神父さまへ、『これからは自由だー!』と村を出てから楽しむことを思い浮かべ、念じてみた。
「ん?『これからは自由だ』ということが伝わってきたけど、合ってるかい?」
「はい!」
「言葉を使わなくても、考えを相手に伝えられるスキルのようだね。
ただ『特殊』というのがどういうことかはわからなかったが、それはこれから自分で見つけていってくれ」
「はい!ありがとうございます!」
こうして僕はこれまでお世話になった神父さまへお礼を述べ、親友のリンキーと村を出た。
「なあ、クーフ。オレにも何か念じてくれてよ。」
「何かって、なに?」
「そうだなー、"リンキー様、あなたの魔法の力には敵いません"って念じてくれ」
リンキーはニヤニヤしながら、僕に要求してきた。
「えー、何だかイヤだな。
まあでも試すだけだから、とりあえずやってみるよ」
「ははっ、イヤがっても事実は事実だからな。じゃあ、頼む。」
「じゃあいくよ。『リンキー様、あなたの魔法には敵いません』」
・・・。
「ん?クーフ、何も感じないぞ?
ちゃんと祈ったか?」
「え、祈ったよ?さっきは上手くいったんだけどな。」
「じゃあもしかして『特殊』な何かが働いたのか?」
「うーーん。わからないよ。まあ、僕は別にスキルなくても困らないよう体力も魔法も訓練したから気にしないことにするよ」
「・・・そうか。この『特殊性』が、何も悪さをしなければいいんだがな」
「やめてよ、まるでこれから『特殊思念』によって、僕の人生がうまく行かなくなるみたいな言い方」
「悪い、悪い。まあ気にしなくていいよ。
これからもお互い頑張っていこうぜ!」
「うん!じゃあ王都ウリンシンまでの旅を楽しんでいこー!」
こうして『特殊思念』について解釈を曖昧にした僕は、これからの人生を苦労することになるのであった。
しばらくは幼少期編が続きますが、楽しめるように書いていきますのでよろしくお願いします。