夜のうた
夜のほうが好き。
夜警に出かけたコウモリたちの目をくぐりぬけたら
ダークベリーのくちびるを奪いにゆくんだぜ
靴墨で磨いたような星空は
世界の半分ほどを包んでいることだろう
ヒマワリが太陽を追いかけてたその裏で
おれは月を追いまわし首をねじっている
野生を失くした飼い犬たちの遠吠えを聞いては
ナイトガウンをひるがえしねり歩くとしよう
靴べらを片手にさげて勇ましく
世界の何分の一かを手におさめるだろう
ニワトリが太陽を出迎えてたその裏で
おれは月を待ちかねて首をひねっていた
羽も はなびらも
首輪も トサカもねえおれのことを
あの月は今夜も照らしてくれるのか