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第9話
「朝から体調が優れなくて、ご連絡も出来ずに申し訳ありませんでした。」
と具合悪そうな演技をして答えると、
「そんな事はどうでもいい!
取引先からクレームの電話が入っているぞ。
納品された商品が違うと言う事だ!
今すぐ来い、今すぐだ!」
電話の切れる無機質な音がなり、佐藤は一気に血の気がひいてその場に倒れてしまった。
「またかよ・・・・・・
なんでこうオレはついていないんだ。
このままどこか遠くにでも行ってしまおうか・・・・・・」
佐藤は天井を暫く仰いで飛び起きた。
「そうだ!
あの店だ!
あの店に行けばまたやり直せるんじゃないか?」
佐藤はドアの鍵をかけるのも忘れて飛び出しかけて行った。
普段の運動不足がたたってか、直ぐに息が切れて走るのが辛かったが、佐藤は全力で走った。
「確か・・・・・・
この辺にあったはず・・・・・・」
周りを見渡していたら、携帯電話が鳴った。
画面を見ると会社からだった。
心臓の鼓動が早くなり、息が詰まった。




