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第5話

鼻から入り、脳の中に充満した香りが気分を和らげていく感覚を佐藤は感じた。


男が手で飲むように促すと、佐藤は抵抗する事なく一口含んで飲み込んだ。


「私はハルセと申しマス。」


喉を通り過ぎる所を見計らって男は話し始めた。


「当店は分岐店でございマス。」


佐藤は小さな看板を思い出した。


「確かにそんな事書いてありましたが、分岐店て何ですか?」


男は少し間を置いて佐藤に語りかけた。


「貴方は人生をやり直せれば・・・・・・


とお思いになられた事はございマスカ?」


「そりゃあ、ありますけど・・・・・・


現に今だって・・・・・・


でもそんな事お店と何が関係あるんですか?」


と、佐藤は少し焦りながら男に語りかけた。


男は佐藤の側から離れ、ゆっくりと歩きながら迎えの椅子へと向かった。


男は黒のタキシードと白いワイシャツに包まれ執事の様な立ち振る舞いが佐藤の気分を少し高揚させた。


男はゆっくりと、反対側のソファーの背もたれに手をかけ、佐藤に語りかけた。

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