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第1話
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本来、人生にとって不必要な出来事など一つもない。
今の貴方は貴方にとって最善の道を自ら選び歩んできたのだ。
歩む道に落ちていた小石につまづき、転ぶ事で貴方は何を想うだろう?
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〈サンプル1「佐藤義昭」〉
いっそ死んでしまおうか。
そう簡単に思え、周りの景色がモノクロに見える程、佐藤の精神は疲弊していた。
「なんでオレばっかりこんな・・・・・・」
駅伝を走り終えた選手が倒れ込む様に、誰もいない平日のさびれた公園のベンチに膝から崩れ落ちた。
食品の原料を輸入する企業に勤めて丸2年が経過した佐藤は大きなミスを犯した。
やる事が見つからず、なんとなく進学した大学。
長く続く就活が面倒になり、内定が出たらその苦痛から逃れたくなり就職を決めた。
当然、期待に胸が膨らむ様な現実は無く、今より楽になる術を考えながら、空気の中を漂う様に生きていた。




