うちのお嬢様が怪奇事件を解決するそうです
対戦宜しくお願いします
ここは王都にあるカルト伯爵の所有する邸宅。
現在の俺の職場だ。
仕事は主に護衛、たまに斥候のような情報収集。
今は、この屋敷の主であるお嬢に呼び出されて、彼女の部屋に向かっている最中だ。
とても珍しい。
彼女は気分屋な一面があり、どこか出かけたいのであれば、人を使わずにお嬢自ら俺の元にくるからだ。
貴族令嬢としては間違っている気がするが、それが一番早いという。
その気持ちはまぁわからんでもない。
彼女の部屋の前に着いた後、ドアをノックして多少待ってから扉を開ける。
扉を開けると、その部屋は本にまみれていた。
どれも高価そうで、百科事典を想起させる。
前に聞いた話では、この本の中には羊皮紙どころか、人の皮で出来ている品も眠っているらしい。
リッシュ執事長は眉唾だと思っているようだが、ここは剣と魔法の世界。
そういう本があっても不思議じゃない。
そんな部屋の真ん中で、椅子にも座らずカーペットが敷いてあるとはいえ、床で本……いや、今は紙の束だな、を読んでいるのが、俺の主であるアルマ=カルト伯爵令嬢だ。
彼女は一言で言えば陰気な少女だ。
歳の頃は16歳だと聞いている。
童顔気味の顔には寝不足による隈が浮かんでおり、髪もボサボサ。
誓って言うが、彼女付きの侍女がサボっているわけではない。
彼女は髪に使う香油を嫌うため元より髪型が崩れ易い上に髪を良く弄るという悪癖持ちなのだ。
「お嬢、来たぞ」
俺が声をかけるとインディゴライトのような瞳がこちらに向いた。
まぁ、それも一瞬だが。
「ようこそ……フヒ」
「で、どこかに出かけるのか?」
「うん……実地観察に、出る」
「ならカーラを呼んでくる」
「え?
ひ、必要ない」
「外に出るんだろ?
その格好はまずい」
言われてお嬢が自分の服を見る。
「べ、別にいつも着てる服だし」
「確かに、家の中でなら問題ないだろうけど、な。
ヨレヨレブカブカのローブみたいなワンピースを着て屋敷から出したなんてしれたら、リッシュさんとカーラに俺がドヤされる」
「……でもコルセット嫌い」
「夜会に行くんじゃないんだからそこまで必要ないだろう。
カーラにも伝えておく。
お忍びか?」
「そう、言えなくもない」
「どこに行くつもりだよ」
「学園。
エリシアの依頼で」
「公爵令嬢の?」
■□□□□□■
時間が惜しいとの事で、カーラの手によって素早く着替えたお嬢と馬車に乗り込み、俺達は学園へと向かう。
ついでに車内でお嬢に公爵令嬢様からの依頼を教えてもらった。
今回お嬢が調べているのは王立学園七不思議の1つ『合わせ鏡』。
合わせ鏡に挟まれると異界に連れて行かれるという内容。
七不思議でもマイナーらしいこの噂だが、2週間前、実際に被害者が出た。
被害者は子爵令嬢。
忘れ物を取りに行った令嬢が戻らないとの通報を受けて捜索した騎士の1人が、夜の学園で昏睡状態の彼女を発見した。
捜査が行われたけど、事件性は見当たらず、対外的には令嬢が貧血を起こしたと処理されている。
いつもながら、自分が興味のある事柄に関しては吃らないなと感心しながら、会話の区切りでお嬢に質問をする。
「事件性がないのにお嬢を呼んだって事は公爵令嬢様は、何かあると踏んでいるのか?」
「エリシアは回復した件の子爵令嬢の話を聞いて、彼女を安心させるために私に依頼しただけ。
何かあるかはあまり気にしてない」
「お嬢は?」
「いくつか気になる点はある。
今回はその確認、実際に見てみないと分からないから」
「被害に遭ったっていう子爵令嬢にもなにか聴くのか?」
「その必要はある。
代わりにお、おねがい……フヒ」
「……俺だけだと事案になるからお嬢も来い。
質問はしてやるから」
「…………うう……わ、わかった」
■□□□□□■
馬車が王立学園に到着すると、その足で俺達は学内の寮に直行し、件の子爵令嬢に会いに行った。
依頼主の公爵令嬢様はお嬢が俺を伴って彼女に会いに行く事も想定済みだったようで、子爵令嬢が療養している場所が女子寮だというのに、男の俺もすんなりと立ち入りを許可された。
軽く話を聞くが、疲れているように見えるだけで、受け答えにも問題はなさそうだ。
それに本人も貧血という騎士団の結論に納得しているようだ。
「……私ね、太りやすいのよ。
だからあの日まで何日もあまり食べずに過ごしていたの。
お陰で忘れ物はするし、倒れちゃうし散々。
貧血もそれが原因だろうってお医者様が言ってたわ」
「なるほど。
お嬢様の魔力量も普段よりかなり低かったようですが?」
お嬢から事前に質問してほしいと釘を刺された魔力量の値についても尋ねてみる。
「そっちも無理な減量のせいだって、すっかり怒られてしまったわ」
「減量で魔力量が?」
「体調を崩すとその分、身体の内側が弱り、保有魔力量にも影響を及ぼす。
そのため、病人の魔力量は普段より、著しく低いことがある」
「……その子、いきなり早口で喋り始めたわね」
「……ごご、ごめんなさぃ……」
「──こういう主人ですので」
お嬢のせいで服が伸びそうなのはご愛嬌ということにしておこう。
粗方質問もし終わったので彼女に労う言葉をかけて俺達は退室した。
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「いつも思うけど、が……ガルの敬語はなんだか、うさん臭く感じる……ふひ」
「──ならお嬢が自分で質問するか?」
「ご、ごめん、なさい……フヒ」
気弱なのにたまに強気に出るのはなんなのだろう。
「それより次はどこへ行くんだ?」
「エリシアのところ。
顔を出してと言われているし、許可がいるから」
「公爵令嬢様の許可?
なんの?」
「……」
「いや、だんまりはやめてくれよ。
意地悪に返したのは謝るからさ」
「フヒ……ついてからのお楽しみ」
お嬢はにこやかに俺から視線を逸らす。
この場では教えてはくれないらしい。
家のお嬢は変なところで頑固だ。
「……さいですか」
なんだろう、嫌な予感がするのだが──。
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子供のころからお嬢と交流があるという旧知の仲のエリシア=スタンベルク公爵令嬢。
彼女の目は今、とても吊り上がっていた。
彼女の顔をそんな般若のようにした原因は残念ながらうちのお嬢様だった。
お嬢は公爵令嬢様の自室へ尋ねると開口一番に自分が囮になって事件を解決すると宣言をしたのだ。
護衛としては俺も断固反対したいところだが、こういう時のお嬢は頑なだ。
どんなに説得しても聞き入れてはくれないし、最悪反発が過ぎて消えてしまう。
とはいえ、俺も護衛の端くれ。
多少は抵抗してみよう。
「囮役なら俺でも良い気がするが、どうなんだ?」
貴族令嬢同士の会話に平民の俺が割って入るのはマナー違反かも知れないが、多めに見てもらおう。
「現場は女子トイレだけど……に、匂いかがない?」
「俺はド変態じゃねぇよッ」
「良かった。
でもダメ。
男の人だと多分出てこない」
「……無駄に俺を貶すのやめてもらえます?」
「……フヒ」
「女性であれば良いなら」
「エリシア、その先は言わないで。
依頼を受けたのはボク」
「確かにそうですが……私は別に貴女に危ない目に遭ってほしいわけではないのですよ」
「分かってる。
でもあまり時間はないし、適任はボク。
大丈夫、ガルもいる」
あ、結局俺も女子トイレに突入するのね……。
まぁその方が護衛できて良いんだけどさ。
『合わせ鏡』は学園の七不思議。
要するに単なる都市伝説に過ぎない。
ひきこさんや人面犬と同様。
いるかどうかなんてわからない、いや寧ろただの与太話と考えるのが普通だろう。
でも実際にお嬢が実地調査にまで出向くって事は、ある程度それに近しい何かがいると言うことの証左でもある。
更に彼女は事件だと言った。
それは要するに加害者がいるという事だ。
俺と公爵令嬢様はそのことに気づき、傍から見れば、ちょっと野次馬根性で噂の現場を覗きに行こうとしているだけのお嬢を止めたかったのだ。
■□□□□□■
日本にある公共施設と同じようにこの世界の学園にも共同トイレが存在し、そこには鏡が備え付けられている。
静まった半月の昇る夜、お嬢はその鏡の前に静かに立っていた。
──程なくしてソレは出てきた。
まるで陽炎のように何もない空間から輪郭を現したのは古そうな手鏡だ。
手鏡は中空で制止して、備え付けの鏡とお嬢を挟んでいる。
その状況はまさしく合わせ鏡だ。
しかしそれだけでは終わらなかった。
2つの鏡から無数の手がお嬢に延びる。
そのどれもが傷つき擦り切れており死人のように生気がない
関節もないのかまるでタコの足のようにアルマを掴む。
まるで出来の悪いホラー映画のようだ。
迫る瞬間、俺の我慢は限界に達し、お嬢からの合図を待たずに女子トイレに突入した。
「ガル、手鏡を壊して」
お嬢は怯えもせず、振り返りもせず、女子トイレの鏡を見つめたまま、そう指示した声が聞こえる。
遅いっ。
と心の中で悪態をつき、そのままお嬢の指示通り、魔力を乗せたダガーを抜刀し手鏡を両断した。
途端に延びていた腕たちは塵となって消えていく。
浮遊していた手鏡も操り糸でも切れたかのように地面に落ち、砕けた破片が床に溶けていった。
「──捕まえなくて良かったのか?」
「良い
あれは本体じゃない。
ガルが壊してくれたおかげで追える……来て」
そう言うとお嬢はスタスタと廊下に出た。
「ガル、飛び出すのが少し早かった」
「護衛として、あれ以上は待てない。
あの変な腕、お嬢の首にも巻きついていたんだぞ?」
「あれに実体はないから問題ない。
ボクから魔力を吸おうとしていただけ」
「それは……」
「だから、ボクが囮になるのが最適」
向かった先は何の変哲もない、校舎裏の目立たない場所に生えている木だった。
「掘って」
……マジかよ。
お嬢が指さした木の根元をダガーの柄を駆使しながら何とか掘る。
今度リッシュさんに頼んで多機能シャベルでも作ってもらおうかな。
頑張って掘ると、然程深くない場所に何か細長いものが巻きついた箱が出てきた。
スッとお嬢がそれに手を伸ばし、何の躊躇もなく箱を開ける。
相変わらずのクソ度胸お嬢様だ。
「……それが鏡の本体か?」
「そう」
箱の中に入っていたのは、確かに女子トイレで見た、手鏡だった。
しっかり見ると相当古いものに感じる。
──どうして邪魔をするの?
声がした瞬間、ゾワリと背筋が粟立ち、お嬢を背に隠しながらダガーを抜く。
声の主は白い髪の少女だった。
顔はアニメ表現のような影が入っていて見えない。
だが、明らかに人でないことは分かる。
何せ彼女の姿は宙に浮き、透けているのだ。
「邪魔?
ボク達は捜査をしているだけ。
人に危害を加えて邪魔しているのは貴女」
子爵令嬢と話した時とは別人のように凛とした声でお嬢が言った。
こいつが元凶なのか?
──危害を加えた?
私を害したのは貴女達でしょう?
私は報復しているだけ。
私を傷つけるものは全て消えてしまえばいいのよ。
「……ワイス=ラングレー伯爵令嬢。
聖歴523年6月生まれ。
ラングレー伯爵家長女として生まれ、王立学園に在籍」
──私の事を話しているけどそれがどうしたというの?
「2年生の頃、この学園を途中退学し、留学。
のちに留学先の貴族と結婚。
そのままその国に移住。
子宝にも恵まれ、伯爵夫人としても辣腕を振るう」
──何を言っているの?
そんなもの知らない。
私は、学生よ?
学生のうちに自殺したのよ。
その原因となった虐めた令嬢たちを呪って。
令嬢たちを呪ってッ!!
いきなり目の前の幽霊がブレ始めた。
というかバグり始めた?
どうなってるんだ?
「……お嬢?」
「ワイス=ラングレー伯爵令嬢の遺書は残ってる。
ワイスが嫁いだあとしばらくして、ラングレー伯爵家で模様替えが行われた際に発見された。
その後、ワイス本人に返還されている。
それと同時期に、虐めの主犯たちは離縁されていた。
元々、評判も良くなかったようで、社交界では然程興味も持たれなかったそうだけれど」
──貴女は何の話をしているのッ!!
「本物のワイス=ラングレー伯爵令嬢の話。
それに貴女は嘘をついた。
貴女を傷つけたという人達は貴女がそうして生まれた時には既に学園を卒業していたし、貴女を害するものなど居なかった。
貴女が女性を襲っていたのはただ魔力を捕食するため。
ガル」
お嬢が令嬢の眉間を指す。
条件反射のように俺は手を拳銃の形にして彼女が指示した場所へと人差し指を向ける。
魔力弾
俺はお嬢が指さした彼女の急所を魔法で正確に貫いたのだった。
■□□□□□■
「全ては【呪い】だったと言う事ですのね」
数日後。
公爵令嬢様の私室でお嬢から顛末を聞いた彼女は、そう呟きながら息を吐いた。
「だから呪いじゃなくて、魔物」
あのラングレー伯爵令嬢の姿をしたものの正体は“ウィスプ”という魔力生命体なのだそうな。
怨念を込めたあの手鏡を箱に入れ、自分の髪で縛り、あの木の根元に埋めたかの令嬢だったが、込めたものは怨念ではなく、魔力だったというオチ。
その手鏡が局所的魔力だまりとなり、ウィスプに変容したのだという。
ウィスプは定期的(それも数年に一度と言う関連付けしずらい間隔で)に女性とから魔力を奪って糧としていたようだ。
記録としてはそれらは全て、今回と同じように女生徒が貧血で倒れたとされている。
今回は運悪く弱っている人間を引き当ててしまったため、再度吸魔をする必要があったようで、狙いすましたようにお嬢の前に出てきてくれたらしい。
聞けば聞くほど、心霊的要素はなく、ただの魔物による被害である。
「自分の髪で縛った箱に入れたからってただの手鏡が呪物になるわけない。
ウィスプになってしまったのは彼女が手鏡に魔力を込めてしまったから。
ウィスプはラングレー伯爵令嬢の魔力の影響を受けて、その姿を借りていたに過ぎない」
「そんな事が出来ますの?」
「彼女は自殺しようとした翌日に留学が決まり、それからこの国に戻って来た事はない。
そう考えるのが自然なだけ。
仕組みとかはわからない」
「自殺しようとしていたのに、なんで留学なんて話になったんだ?」
「彼女の両親のおかげ。
残っている書類から令嬢の異変に勘づいて、手を回したと読み取れた」
「たまたまだったって事か」
「そう。
虐めていた人たちが離縁したこともたまたま。
確かに当時の社交界で遺書については話題に上ったかも知れない。
けれど、それ以前に虐めていた人たちの評判は良くない。
ある人は托卵しているし、ある人は浪費家。
他にも調べただけ埃がわらわら出てくる。
離縁の口実にしたのかもしれないけれど、実際に見たわけじゃないから断定は出来ない」
ちなみにこれらはすべて80年前の出来事だ。
当人たちはとっくに死んでいるっていうのに醜聞は語り継がれてしまっているという……。
これがホントの黒歴史。
「とりあえず報告書も提出したし、これで依頼は完了でいい?」
「ええ……アルマさん。
唐突だけれど、やはり学園に通いませんか?
貴女ならきっと」
「エリシア、ボクは魔力ナシだよ?
貴族と見なされないボクは学園には通えない。
それに……別に通いたいとも思えない」
「……そうですか」
「また何かあったら言って。
今度は本当に幽霊が出るモノだと嬉しい……フヒ」
■□□□□□■
学園からの帰り道。
お嬢は馬車の窓から外を見ながら黄昏ていた。
「魔力ナシ……ねぇ」
「……な、なに?」
公爵令嬢様と同い年なのに学園に通っていないのは、何も彼女がコミュ障だからではない。
お嬢が魔力ナシ……平民と同等程度の魔力しかないと正式に認定されているからだ。
この国の貴族と呼ばれる人間たちは、膨大な魔力を有している。
それが貴族達にとってのアイデンティティーであるようで、彼女が魔力ナシだと知っている貴族達は皆、彼女の事を【平民令嬢】と蔑んでいる。
そんな風に呼ばないのは俺の知る限り、エリシア=スタンベルク公爵令嬢様と、俺みたいにあの屋敷で働いている人達。
でも、そんなお嬢も含む彼女の身内達でも、彼女に途方もない魔力が宿っていると理解してはくれない。
「……いや、お嬢が魔力ナシとかあり得ねえって思ってさ」
「だ、だってそうだから……」
お嬢が俯いてしまった。
この件では、何度もお嬢を説得しているんだが、未だお嬢を説得する事が出来ていない。
それも仕方がないか。
何と言っても主張しているのが、貴族並みに魔力を持っているとはいえ、平民でしかない俺だけなのだから。
彼女の瞳がその事実を如実に語っているのに……なんとも歯痒い。
今回の件で言えばウィスプの痕跡をお嬢が追えた事がその証左だ。
魔力の痕跡を辿る事はある程度の人間、例えば騎士団所属の奴くらいなら出来る。
だがそれはあくまで、痕跡が大きな場合に限る。
更に言えば、魔力の痕跡だけで個人を判別する事なんか出来ない。
お嬢はそれが容易く出来てしまう。
そんな芸当が出来るのにお嬢が魔力ナシとか本当にありえない。
前世オタ知識を総動員すれば、お嬢は所謂一芸特化型。
感覚強化魔法のエキスパートというところだろうか。
とはいえ、彼女が魔法として魔力を放つ事が出来ないのは事実であり、それができるようになる方法も不明なわけで……。
瞳が光るくらいわかりやすければなぁ。
何と言うジレンマ。
──とりあえず全ては魔力測定用の魔道具のせいだとしておこう。
「お嬢にはこんなに魔力があるのに、なんで皆わからないんだろうなぁ」
「そう言ってくれるのは、ガルだけだよ」
「俺から言わせればお嬢も皆も頑固なだけだがなぁ」
「ありがとう、ガル……フ、フヒ」
なんだかお嬢が壮大な勘違いをしている気がするのだが、やはり証明する手段がない。
俺はため息をつくと頭を切り替える事にした。
「屋敷に着いたら何か甘い物でも作ろうと思うんだが、何が良い?」
「じゃ、じゃあ……アイスクリーム」
「あいよ」
気分が沈んだ時は甘いものに限る。
今日は一風変わったカモミールアイスでも作ってみるか。
……残念ながらバニラが好きなお嬢にはカモミールアイスは不評だった。
やはりバニラしか勝たんのだろうか。
今度はミントアイスに挑戦してみようと思う。
この世界じゃ歯磨き粉味なんていう奴はいないだろうな。
END
ガッチャ!
お読みいただきありがとうございました
■軽い登場人物紹介■
□ガルド□
元兵士で氷魔法の使い手。
オタクな転生者。
□アルマ=カルト伯爵令嬢□
魔力ナシ詐欺の伯爵令嬢、魔眼持ち。
内弁慶気質で幽霊と再会するためにオカルトにのめり込んでいる。
□エリシア=スタンベルク公爵令嬢□
過去、幽霊騒ぎでアルマに助けられて以来の旧友。
旧い家のためこの手の騒動に事欠かない巻き込まれ体質。
□リッシュ執事長□
アルマの住むお屋敷の管理をしている。
幽霊がダメでガルドが来てから心の平穏を得ている。
□侍女カーラ□
アルマの専属侍女。
オカン気質。
ゲストキャラ
□ワイス=ラングレー伯爵令嬢□
学園でいじめに遭い、首謀者呪って死のうとしてた人。
父親のおかげでそんな企みはご破算して、隣国で幸せな人生を送る。