ストーカー
リーナと同じ学年の子がやたら絡んでくる。
元平民の男爵令嬢で名前はリンダ。
ピンクグラデーション髪でくるくるしている。
瞳も…ピンクなのか?マジマジ見ないからわからん。
目は大きく、全体的に幼い感じだ。
友人曰く、庇護欲をそそられるらしい。
「アルベルト様!図書室ですか。ご一緒しても構いませんか?」
放課後に図書室に向かう最中、前からピンク色が来た。
「リンダ嬢。すまないが調べ物があるので一人で行きたいのだが」(護衛はいるが)
「調べ物ですか!お手伝いさせて下さい!!」
「いや、個人的に調べたいので…」
「お邪魔はしません!」
大きな目をウルウルさせて見上げてくる。
…いや、既に邪魔だよ。
図書室に行かせてくれ。
リンダは毎回、ストーカーか?と言うレベルで現れて絡んでくる。
昼休憩。
「アルベルト様!クッキー焼いて来ました!」
「みんなは理解してくれないかもしれませんが、私はアルベルト様を理解しています」
「来月の花まつりのブーケには種類や色によって意味があるのです!私はピンクのスイートピーが好きです」
「刺繍をしたのでハンカチを受け取ってもらえますか?」
放課後。
「奇遇ですね!一緒に帰りませんか?」
「小鳥が巣から落ちてしまったようで、助けていただけませんか!」
「今度のおやすみってどうお過ごしですか?」
「リーナ様にこの間睨まれたんです」
「最近、ノートがよくなくなるのです」
休日。
「リーナ様とお出かけですか?ご一緒してもよろしいでしょうか!」
「この先に美味しいケーキのカフェがあるので行きませんか?」
…怖っ!
仮にも王族に対してフラット過ぎるだろ。
毎回、護衛が壁になってくれるがどこから情報が漏れているのだろう。
それとも、暗殺者の類なのだろうか。
学園では身分を気にせず仲良くせよ。が、モットーなので邪険にはできない。
休日のデートを邪魔されたのはアレだが。
しかし、仲良くしてると思われてリーナに嫌われても嫌だ。
取り巻きのクラスの仲間は
「かわいい子ですし、独身のうちに遊んでみては?」
「愛人にする手もありますよ」
「うらやましい」
「爆ぜろ」
「もげろ」
色々、忌憚ない意見をくれた。
参考にならないが、ありがとう。
とりあえず、リーナにはわかってもらいたいので、恒例のお茶会で彼女の家に訪問したときに心の内を打ち明けた。
きちんと言葉にして伝えないといけない。
と、前世で熟年離婚された祖父が言っていた。
リンダに付き纏われて困っている。
身分的に令嬢に対して強く言う事ができない。
早くリーナと結婚したい。
などなど、色々話した。
リーナも相槌を打ちながら聞いてくれた。
一通り話した後、リーナが少し困り顔をした。
「アルベルト様。あまり陰口は言いたくはないのですが、ワタクシのほうでもリンダさんに色々絡まれて困っておりました」
リーナは控えめにリンダに色々とされている話をしてくれた。
破れたノートや割れたインク瓶を持ってきて、貴女がやったんでしょ!と突然言われたり、アルベルト様は嫌々婚約していて可哀想、私なら幸せにしてあげられる。
など、嫌がらせや妄想めいた言動をされていたようだ。
「なんと。…一体、リンダ嬢はどう言うつもりなんだろう」
「さぁ…。でも、アルベルト様がお話してくださって良かったです」
「ん?」
「あり得ないとは思っていましたが、アルベルト様を見かける度にリンダさんが近くにいて」
「リーナ」
「正直、不安でした」
少し悲しげに微笑むリーナ。
僕は席を立ち彼女の手を握り跪く。
「不安にさせてすまない。僕の心にはリーナしかいないよ」
顔を赤らめるリーナのかわいいこと。
「少し早いけど、半年後の卒業パーティーで僕と踊って貰えないかな?」
「はい」
「キミに似合うドレスもアクセサリーも用意するね」
「はい」
「キミと結婚できる僕は幸せだね」
「アルベルト様…」
甘い雰囲気になり、二人ともなんだかくすぐったいような恥ずかしい様な気持ちになった。
愛は盲目
誤字報告、ありがとうございます!