025.泥水
Wordle 245 5/6
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かあああ、あ、あッと、胃袋の形が手に取るようにわかる。
私が酒を飲むのはただ酔うためだ。だから飲み会なんてものには出ない。ただでさえくだらない私を、それもその酔った姿を他人に曝けだすなんてこと、想像しただけで一つ瓶が空く。
ジンジンとそこにあることが分かりはじめた脳は、あたたかくやわらかくそのかたちをうしないはじめていた。いつ作ったのか覚えていないタッパの中のきんぴらは麻紐のように口の中で絡まる。染みだしてくる塩辛いだけの汁をまた──これは、なんだ。なんだったか忘れた。酒の味の酒に溶かしこんで喉を焼く。
ひりひりと焦げ付く喉を震わせて、深いゲップを一つ。誰にも聞かれやしないから楽でいい。
酔うためのお酒なんて良くないよ。人は言う。
わかってるっての。
なんなら今復唱してやろうか。酔うための酒はゴミで、それで何だ? 忘れるための酒じゃ何も忘れられなくて、楽しむための酒で楽しめたことなんて一度もねえ。こうか?
──なあ。
知ってるっての……。
────あー……。
空になった瓶を放って、コンビニで仕入れてきた缶を開ける。プシュ。頭も体もぐらぐら酔い回って湿った熱気に包まれてんのに、この野郎は、馬鹿、清涼ぶってそんな音出すんだぜ。美味しいですよ、気分がよくなりますよってか。
ああ、だからそういうことだよな。
別に美味くねえ、ていうかマズい酒が喉を通っていく。もうかっかし終えた私の内臓は泥水のようにそれを飲み下す。
なーんか救ってくんねえかなと思って、私は酒を飲んでいる。
なんか都合の悪いあれやこれや、もしかしたらこの蠱惑的なお水が洗い流してくれや、しねえかと。
頭の中にこびりついた焦げ茶色で錆の臭いがする粘ついててひっついたらなかなか取れねえ。動かない手足と頭でもう動かない記憶を探る手がべっとりと自分を穢した赤黒い血じゃないものでまとわりついて。譫言を吐きだす唇が真っ青く震えているのを観る鏡の向こうの私、私。酸っぱく打ち上がってきた胃酸と唐揚げを奥歯のさらに奥でこれでもかと噛みつぶしてやる。溶けた歯の根っこと上顎と下顎をくっつける骨が混ざりあって、一つの音を鳴らす。ヂ、チィ。吐き気はもう堪能⬛終えていた。
当たり前が当たり前じゃ⬛⬛⬛る。思考にノイズが紛れこむ。
上が下に? 。に左は右
、⬛⬛が
が念観
⬛⬛ ⬛⬛
⬛⬛⬛
ノイズが這いまわる
⬛ ⬛⬛⬛
大きく成ったり
。回っ吐く。はいかく。
⬛⬛⬛ ⬛ そうだね。
⬛
⬛⬛
◇
………君の悪い沈黙。
一泊多い? それとも少ないのか。帰ってこない。
もう十分の吐き気。頭痛が痛あい。
あと五秒の辛抱だよ ここでおわい
こんなことしてまで、救われたいんだ?
SWILL




