「ペダンチック 」「餌付け」「 身長」
身体測定。1年に一回あるこの行事が私は大嫌いだった。
「はい。これが結果ね~」
先生から身長体重などが書かれた用紙を渡される。皆がわいわいしている中、私はため息をつく。
「はぁ、2センチしか伸びなかったなぁ…」
中学生になったにもかかわらず、私の身長は130台…。いつになったら成長期は来るのだろうか。
落胆していると後ろの方から大声で話しかけられた。
「おーい!エイミ~!お前身長どうだったよ!」
今話しかけてきた少年は幼馴染みのタカくんであり、もう一つの身体検査の嫌い要素だった。タカ君は毎年、私に「身長何センチだった?」ときいてくるため、この時期に関しては、伸び悩んでいる私にとってストレスそのものだった。
タカくんもあまり身長が高い方ではなく、2,3年前までは私の方が大きいくらいだったのに、去年になって同じ身長になったのだ。
「私は138…タカくんは?」
「俺140-!いぇ~い!!勝ったー!!」
大はしゃぎである。
ひとしきりはしゃいだ後、タカ君は天狗になったかのように、「こういうの食べるといいんだよ!」「こんだけ運動すればいいんだよ」なんてペダンチックに説明し始めた。
そんな説明をされ続けられ、私はイラッとし始める。
「いや、あんたも身長小さいからね」
「う、うっせぇ!俺よりちびのやつに言われたくないし。やーい!ちーび!ちーび!」
そんな小学生のような会話を繰り広げていると、もう一人の幼馴染みであるルイちゃんが通りかかる。
「相変わらず馬鹿みたいな会話してるね。お二人さん」
「な、なんだと!……ルイ!お前は身長何センチだったんだよ?」
「ん?158センチ」
「「な!?」」
で、でかすぎる…。
それに比べて、私たちなんてどんぐりの背比べのようなものだ…。
「二人ともかわいいね。ほら、クッキーをあげよう。」
「うるせー!餌付けすんな!!」
「というかここ公立中学だからもってきてるのばれたら没収だよ?」
はぁ、とため息をつく。
なんだか馬鹿らしくなってきて、ルイからのクッキーを受け取り、食べ始める。
「こら!校内でお菓子食ってるのは誰だ!!」
少し騒ぎすぎてしまい、そこにお菓子を食うというダブルコンボをしてしまい、先生からこっぴどく怒られてしまう中、私は「あぁ、もうやっぱり身体測定の日は大嫌いだ。」なんて思うのだった。