モナドロジー
公園のベンチに座って ぼくが眺める
この木は この宇宙に たった一つだけ
この枝も この宇宙に たった一つだけ
この葉も この葉脈も この葉緑体も
どれもが この宇宙に たった一つだけ
「木」や「枝」という言葉で
示されるものには 代えがある
でも 具体的なこの木やこの枝の
一つ一つには 代えがない
無限に 分けて行っても
その一つ一つには 代えがない
逆に ぼくがいるこの公園も
この宇宙に たった一つだけ
この公園のあるこの街も
この大地も この空も この星も この銀河も
この宇宙に たった一つだけ
無限に 開けて行っても
その一つ一つには 代えがない
それぞれが この宇宙に たった一つだけ
だからこそ それぞれは それぞれの宇宙を 表している
だからこそ この宇宙は 多元的だ
決して 通約できない この葉と あの葉
なぜならそれぞれが それぞれの宇宙を表しているから
多元的唯一性が貫く この宇宙
その静けさの中で ぼくはひたすら 耳を澄ます




