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私の読書体験

作者: キリュン


本を読み始めたのは大学1年の頃だから、興味を持ったのはかなり遅い方だ。

当時は漠然と自然が好きだったから、自然に関連する本を読んだ。三浦しをん「神去なあなあ日常」永井するみ「樹縛」などをピュアに読み、熊谷達也「相克の森」に衝撃を受けて人生が少し変わった。


当時、私は間宮林蔵が好きだった。江戸後期、未開の地だった北海道・サハリンを測量した人物。間宮林蔵を題材に本を書いた作家に北方謙三がいた。私はハードボイルド小説というものを知った。他に吉村昭がいた。私はルポ・ノンフィクション小説というものを知った。


図書館で自然・歴史関連の本を借りては読むという生活を続ける中で、高行健「霊山」と出会い衝撃を受ける。2000年にノーベル文学賞を受賞した中国人作家だ。私の本好きの萌芽は一つの越境を経験する。


私はアニミズムの思想や土着信仰に興味を示した。仏教・道教、柳田国男、水上勉、深沢七郎と枝葉は広がり、車谷長吉を知った。私は私小説というものを知る。多少関連本を読んでいる人がいれば想像に難くないように、私は楽しい大学生活をドブに捨てることになる。


私はその間に文学の自我に目覚め夏目漱石、森鴎外、井伏鱒二等々の日本の文豪の著作を読みふけ、そしてある時中上健次の「岬」に感銘を受け、柄谷行人という哲学者を知った。越境が起きる。


私は哲学や批評に興味をもちハイデガー、ヘーゲル、ニーチェを読んだ。流れでドストエフスキー、ゲーテ、トルストイ、フーコー、ドゥルーズ等、海外文学、西洋哲学を読みふけ、まるで人々が美味いラーメン屋を発掘しに行くような感覚で、東京各所の古本屋に入り浸る生活を送る。それはそれで楽しかったが、ある時急に挫折がきて、本を離れる。


私は現代に目を向けていないことに気づく。目を逸らしていた。私はふいに新進の現代作家の作品を読みだす。文學界を一年間購読。小山田浩子、滝口悠生などを好んだ。哲学では東浩紀の著作を読み出し、凝り固まった頭の中がほぐされていく感覚を覚える。越境。


2020現在、既に社会人として社会に出ている。大学帰りに毎日立ち寄った喫茶店から離れ、読書量も格段に落ちた。思い返せば本を読んで得をしたことがあっただろうか。「人生で成功したいなら読書をするな」これはある程度真実だ。

今は東畑開人「居るのはつらいよ」を読んでいる。結構面白いのでおすすめする。


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