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ベロニカちゃんと私たち。

ヴィオラ視点です。

 ベロニカちゃんの居場所が分かった。カイさんからそう聞いた私たちはすぐにその場所に向かいました。街から離れた少し森の中にある、小さな家にベロニカちゃんは連れて行かれてしまったそうです。


(ベロニカちゃん……)


 私たちが行く前にベロニカちゃんの婚約者であるエドワーズ・フリント侯爵子息がそこへ行ったらしいので、今頃はもうベロニカちゃんと一緒にいるかもしれない、とカイさんは言っていました。いつの間にこっちに来られていたんでしょうか?


「もう少しで着くぞ」


 カイさんがそう言った頃には、かなり森の奥まで来ていました。正直、はぐれてしまったら帰れそうにありませんでした。


「……あ! もしかしてあの家!?」

「ああ。……!」


 目的の家からは、複数の人の怒鳴り声が聞こえてきました。

 しばらく様子を見ていると、不意にドアが開いて誰かが出てきました。


「……ベロニカーー!!」


 真っ先に走り出したのはユリアちゃんでした。いやいやユリアちゃん、まだ誰かも分からないでしょ……! あ、ベロニカちゃんだった。って、何で抱っこされてるの?


「ベロニカ~よがっだよ~」

「ユ、ユリア!? 落ち着いてください!」

「ベロニカちゃん、本当にごめんなさい……」

「あまり気にしないでくださいな。私はヴィオラが笑っている顔が見たいですわ」

「……うん」


 ベロニカちゃんはすごいな……怖い思いをしたはずなのに、どうして平気そうに振舞えるのでしょうか。


「なぜだ……ベロニカは僕のなんだ……」


 思わずはっとして声がした方を見ると、そこには警備隊の人たちに拘束されたヴィンスさんがいました。どんよりとした目でベロニカちゃんを見ているヴィンスさんは、とても不気味でした。


「え? 何まだ何か言ってるの?」

「ええ……」

「ねえねえハミル、この人どうするの?」

「……え?」


 いつの間にかハミルさんがこちらに合流していたようです。あら? フランさんも一緒だったみたいです。2人には警備隊とヴィンスさんのご両親への通報をお願いしていたのですが、思っていたよりも大分早く着いたみたいです。


「ありがとう、フランさん」

「いや、もっと早く来れたら良かったんだが……説明に手間取ってしまった」


 ちなみに、私とフランさん、ドロシアちゃんとハミルさんは……自分で言うのも変な感じですが、結構いい感じになりました。まあ私とドロシアちゃんはこの国の貴族ではないから帰らないといけないし、どうしようもないのですが……。


「この度はうちの者が大変なことをしてしまい、誠に申し訳ございません!」

「お嬢様にした数々の仕打ちは聞かせていただいております。取り返しがつかないことをしてしまったことは重々承知しております。何でも致しますので、何卒お許しください!」


 少し遅れて走ってきたヴィンスさんのご両親は、全力で走ってきたにもかかわらずそのまま土下座をして謝られました。

 流石にご両親が可哀想だったのか、ベロニカちゃんは笑って許していました。私もご両親は何も悪くないと思うし、むしろとてもいい方たちだと思いました。どうしてこんな素敵な方からこんな人が……と思ってしまいました。

 ですが、まだ終わってはいませんでした。


「何で父さんと母さんは謝っているの? 僕はただ彼女を取り返そうとしただけなのに」


 ……まだ諦めていなかったんですか。

 案の定、ご両親は大激怒。意味が分からない、とでもいうようなヴィンスさんの様子に怒り狂ったヴィンスさんのお父様は、ついに勘当すると宣言しました。ヴィンスさんは私たちもよく知っているクラウス商会の跡継ぎだったようですが、問答無用でした。警備隊に連れて行かれる彼は泣き喚き、ベロニカちゃんを呼び続けていました。ベロニカちゃんは見向きもしませんでした。


「終わった、のでしょうか……」

「ああ。……これで、よかったんだよね」

「……」

「あんな奴でも、もとは普通の男だったんだよ。幼馴染で、仲も良かったんだ」

「……フランさん」

「? どうしたの? ヴィオラ」

「ちょっと、お話したいことがあるんです」

「分かった。少しここから離れようか」


 * * * * *


「それで、話って何?」


 近くにあった川まで来て立ち止まったとき、そう聞かれました。


「……」


 だめだ、ちゃんと言わなきゃ。でも、彼がどう思うか分からないし、怖い……。

 言おうとすればするほど喉の奥から声が出てこなくなり、私はどうしていいか分からなくなってしまいました。


「言いにくかったら今じゃなくてもいいよ。待ってるから」

「はい……」

「じゃあ、僕も話したいことあるから、言ってもいい?」

「? はい」


 彼は私に微笑むと、ゆっくりと言葉を紡ぎました。


「ヴィオラ、君が好きだ。僕の恋人になってほしい」





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