絶賛混乱中です。
「えっと、これはどういうこと……?」
私の目の前には、私の友人たち3人がにやにやしながら立っています。
とりあえずちょっと振り返ってみましょうか。
* * * * *
数分前。
私が部屋でゴロゴロしていると、1階から複数人の話し声が聞こえてきました。
(……ん? なーんか聞き覚えが……)
ちょっと嫌な(?)予感がしたので聞こえなかった振りをしたのですが、
「なあ、下に来てるのってお前の友達じゃねえの? 3人ぐらいいるっぽいけど」
あっさりとカイにバレてしまいました。
さてどうしましょうか。そもそも何で3人がここにいるんだという話で。
しばらくすると、部屋に誰かがやってきました。そっとドアを開けると、そこにいたのはリリーちゃんでした。
「おねえちゃん、おかあさんと3人のおねえさんが呼んでるよ」
「……分かった、今行くね」
「俺はここで待ってるから」
「うん」
そして今。いやなぜ3人がここに……。
「……どうしてここにいるの?」
「ユリアを追いかけてきましたわ!」
「いや理由になってない……というか学園は?」
「そんなの、パパッと卒業試験受けてきた」
「マジですか」
「ユリアちゃんがいないと寂しくて、だから頑張ったんだ~」
「そんな軽いノリで受かるものだったっけ……? というか、なんでここが分かったの?」
「ああっとそれは……」
なぜか口ごもるドロシア。あれ? と思いヴィオラとベロニカを見てみるとこっちも似たような状態です。
「……どうしたの?」
「……なあベロニカ、言っちゃってもいいんじゃないか?」
「まあ許してくれるでしょう」
「……?」
「えっと……実は、フリント侯爵子息に教えてもらったんだ」
「……ん? どういうこと? そもそも私行き先なんて……」
「後を付けてたんだって。名前は伏せてたけどある人の頼みだって言ってたよ。大体想像つくけど」
「……ああ、そういうことね」
……多分ジークですね。予想ですけど、私のことを心配してくれているんでしょう。それで私の様子を見てもらっていた……とか? というか仕事もあるでしょうし人を振り回さないでよジーク。
「でも何でここに……」
「ユリアがいないと、なんかダメなんだ。落ち着かないというか」
「あと、私たちも学園が退屈になってしまって。だからそれぞれ家に相談したら、国外でも行って良いとあっさり許可されましたの。それでまずユリアを探そうと思ったんですのよ」
「……『まず』?」
「ジェシカのところもそのうち訪ねようと思っていますわ」
「そうだったんだ……」
正直驚きすぎて思考が停止しています。
まあ立ち話もなんだから、と一緒に部屋に戻りました。
「あ、帰ってきた」
「おねえちゃん、お帰りー」
(しまった)
ヴィオラたちはカイのことを知りません。カイは本当はどうか分かりませんが見た目は完全に男性ですし、もし浮気とか思われたら……
「あ、一度お会いしましたね。お久し振りです」
「ヴィオラさん、だっけ? 久し振り」
「……え?」
カイ、あなた私の知らないところで何してたの!?
そんな意味を込めて視線を向けると、カイはこう言いました。
「向こうにいたときにさ、外歩いてたらたまたま会ったんだよ。で、ちょっと話してた」
「……何話したの?」
「えっと、名前だろ、ユリアの友達っつーことだろ、あと精霊だって言った気がする」
「!?」
「一応信じてくれたみたいだからいいだろ?」
「そういう問題じゃない気がするんだけど……」
「まあまあ、そういう人? なんでしょう? 気にしない気にしない」
「みんなはびっくりしてないの?」
「確かに初めはとても驚きましたわよ。でももう今は納得しましたわ」
「……よく分かんないけど、いいか」
なんか、一度にいろいろ発覚してしまって疲れてしまいました。
「そうそう、私たちもう部屋は取ってあるから」
「……え!?」
ドロシアのその言葉に、普通にびっくりしてしまいました。
「いつまでかは特に決めてないけど、ユリアも卒業式には出るでしょう? 長くても私たちもその頃には帰るから」
「そっか」
久々に会った友人たちは、いつの間にか行動力が上がっていたみたいでした。
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