お姉ちゃんとリリーちゃん。
翌朝、目が覚めると……私の隣にリリーちゃんがいました。
「……リリーちゃん?」
呼びかけても反応はなく、顔をのぞき込むとまだぐっすり眠っていました。
(起こすのはちょっと可哀想かな……でももう朝だし)
少し揺すってみると、リリーちゃんは小さくむにゃむにゃと言いました。もうちょっと頑張ったら起きてくれるかな?
「リリーちゃ~ん、朝だよ~」
「うにゅ……」
「起きて~」
そう言いながらリリーちゃんのほっぺたをツンツンしたり伸ばしたりしました。すると、私の手を押しのけながら目を開けました。
「起きてたのに~」
「普通に寝てたでしょ。おはよう」
「むー……おはよう、おねえちゃん」
背もちょっと伸びてるし大きくなったんだな~って感動してたんですが、甘えん坊なところは変わらないんですね~この子ったら。
「リリーちゃんは変わらないね」
「? 何で?」
「リリーちゃんは、私のこと好き?」
「うん! 大好き!」
「おっと、っと」
リリーちゃんにいきなり抱きつかれて転びそうになってしまいました。が、何とか踏ん張りました。全く危ないな~もう。
「よーしよーし。ぎゅ~」
「えへへ~。おねえちゃん……」
「……もしかして、寂しかった?」
「当たり前だもん。ずっと、また来てくれたら嬉しいなって思ってたの」
「そっか。ありがとうね、リリーちゃん」
しばらくのんびりしていると、誰かがこっちに近付いていることに気が付きました。
バァン!
「おはよ~ユリア。昨日はよく眠れ……た?」
お姉ちゃんドアを勢いよく開けないで壊れるでしょ! ……あ、お姉ちゃん固まってしまったようです。
「え、えっと……あなたはここの娘ちゃんよね?」
「? はい」
「……ユリアとは仲良しなの?」
「おねえちゃんだよ!」
「……?」
「……お姉ちゃん、血のつながりはないから安心してね」
「もしそうだったらどうしようって一瞬で頭フル回転させたわよ労力を返しなさい」
「理不尽な……」
心底どうでもいい会話ですねこれ。
「おねえちゃん……?」
「ああ、ごめんね。2人があまりにも仲良しだから、本当の姉妹かと思ってしまったの。でも、2人にはそんなこと関係ないみたいね」
「お姉ちゃん……」
「ねえねえ、何て呼べばいい?」
「ん?」
「おねえちゃん2人だからどっちのおねえちゃんか分かんなくなっちゃうよ?」
「確かにそうね……ユリアは『おねえちゃん』、私のことは『フィーおねえちゃん』。どう?」
「フィーおねえちゃん?」
「うん!」
「フィーおねえちゃん、これかよろしくお願いします」
「ふふ、ありがとう」
(にしても、お姉ちゃん美人だよね~本当に私の姉か? とかときどき思うんだよね)
なかなか降りてこない私たちにしびれを切らしてイザベラさんが部屋にやって来たのは、それからすぐのことでした。
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