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予想通りの反応なので……す？

「私はお姉様が国を出られた後……私も同じように国を出たのです」

「……」

「……お姉様？」

「……ごめんなさい、もう一度言ってもらえないかしら」

「私も国を出たのです」

「……えぇぇ！？　何でなの！？　何があったの！？　誰かに酷い目に合わされたりしたの！？　今からでも私戦いに行くわよ？」

「待ってくださいお姉様。そんな物騒な事を言わないでください。これは私が決めたことだったのです」

「……お話、聞かせてちょうだい」

　言われなくてもそのつもりですよー。

「はい。……私はもともと、結婚するということに何も感じていなかったのです。というよりも、結婚する意味が分からなかったのです。お父様もお母様も婚約者は自分で決めるようにと言っていましたし、なら、わざわざ相手を探して結婚するのは面倒に感じてしまっていて」

「何となく分かる気がするわ」

「でも、お姉様は王族の婚約者でした。相手は第１王子様。何事もなければ、お姉様は王妃様になる予定でした。そうでしょう？」

「ええ」

「お姉様は、なぜこの道を選んだのですか？」

「……好きだから。彼を愛しているから。こんな私が嫁いだら、王家の邪魔者になりかねないもの」

　お姉様は、真っ直ぐな瞳をしていました。

「そして、お姉様は円満に婚約解消できるように第１王子様に交渉を持ちかけた」

「そう」

「やっぱり詳しくは教えてくれないのですか？」

「秘密よ。怒られたくはないもの」

「むう……」

「まあまあ」

「……続き、お話しますね。お姉様がいなくなった後落ち着いてからまず考えたのが、第１王子様の婚約者についてでした。婚約者のいない王子様は流石に不味いでしょうから、王家は次の婚約者を探すのではないかと考えたのです」

「確かにそうね。……あ」

「そういうことです」

「……面倒、だったのね」

　急に呆れたような表情になるお姉様。ちょっと悲しくなるのでそんな顔しないでほしいです。

「王族と結婚するの、想像できなくて」

「それで家出したってわけ？」

「まとめるとそうなりますね」

「……流石、私の妹だわ。行動力があるわね」

　すると突然、お姉様にぎゅーっと抱きしめられました。

「お、お姉様？」

「……ふふっ。本当は、ずっと前からこういうことしたかったの」

「ぎゅーですか？」

「侯爵令嬢として、次期王妃として、いつも気を張っていなければならなかったから。ユリアが嫌じゃなかったら、もっとたくさん姉妹として仲良くなりたかった……」

「お姉様……」

　私は、お姉様のこれまた華奢な体を抱きしめました。

「……ユリア？」

「私、お姉様が大好きですよ。なかなか会えなかったけど、会えたときはいつもいっぱい遊んでくれましたし、いつも優しくしてくれましたから」

「ユリア……ありがとう」

　お姉様は、私を抱きしめる腕に少し力を込めました。私もより強くお姉様を抱きしめました。

　いつまでそうしていたでしょうか。気づいたときには大分時間が経ってしまっていました。

「ねえユリア、さっきの話に続きはあるの？」

「はい」

「聞かせてくれる？」

「最初からお話しするつもりでしたよ。……私は、いろいろな国に行きました。何ヶ国も渡り、途中で私を探しに来た人たちに見つかりそうになったこともあったけれど、長いこと外国での生活を楽しんでいました」

「ふむふむ」

「でも、西の国に行ったのが最後になりました」

「どうして？」

「結論だけ言うと、見つかったのです。でもそれまでにいろいろあって、私は……第１王子様と婚約することになりました」

「……どういうこと？」

「私を探しに来ていたのは、第１王子様でした」

「……あ、ああ、なるほどね、納得したわ」

「？　続きを話しますね。最初は第１王子様も私も身分を隠していたのです。それで、その……好きに、なってしまったのです……」

　あー顔から火が出そうです。

　というか、もし望んだことだったかもしれないけど、婚約者を取られるような形になったこと、怒っていないのでしょうか？

「あ、私が怒っていないかな？　って顔してる」

「分かるんですか？」

「もちろん、ユリアのお姉様だもの。あと、怒っていないし体裁がどうとか気にしているわけでもないからね？　おめでとう、ユリア」

「ありがとう、ございます……」

「何かあったらすぐに呼んでね？　おうちに帰りましょう」

「早いですよお姉様」

　お姉様が、また私の頭を撫でてくれました。なんだかすごく安心して、そのまま眠ってしまいそうです。

「ん……」

「もう眠い？」

「はい……」

「じゃあもう寝ようか。ちょっと待っててね、毛布があるから」

　どうやら馬車の中で寝かせてくれるみたいです。

　お姉様は荷物と一緒に積まれていたらしい毛布を持ってきて、私にかけてくれました。

「お姉さまは、いつ寝るんですか……？」

「もうちょっとしたらかしら」

「……」

「どうしたの？」

「……添い寝、してほしいな、なんて……」

「……！　ふふっ、いいわよ」

「ほんと、ですか？」

「もちろん。ねえ、毛布入ってもいい？」

「どうぞ～」

　またお姉さまが私をぎゅーってしています。なんか、お姉さまっていい匂いがする……。

「お休み、ユリア。よい夢を」

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