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私の決断は。

本日2話目です。

 コンコン。


「どうぞ……って、お父様、お母様? お兄様も。どうしたのですか?」

「少し、ユリアと話をしたいと思ってな」

「私もですよ」

「僕はちょっとユリアに構ってもらいに……冗談だよそんな冷たい目をしないでよ」


 家に帰ってきて部屋でぼーっとしていると3人が突撃して来ました。

 4人でソファに座ってしばらく黙っていると、お父様が口を開きました。


「……ユリア」

「何ですか?」

「私は、ユリアのしたいことをすればいいと思っている」

「……?」

「突拍子もないことでも、何でもしていいのですよ。私たちはユリアのしたいことをなるべく叶えてあげたいと思っているので」

「お母様……」

「あーあ、何だか寂しいな。妹を取られちゃったみたいで。嫌になったらいつでも僕に言うんだよ? 『お説教』するから。というか帰っておいで」

「もう、大丈夫ですよお兄様」


 なんか、めっちゃいろんな人に心配されているのですが……。


「ユリア、最近元気なかったからね~相談したいことがあったら何でも言ってね」

「……私、何も言ってないんですけど」

「顔に書いてあったし」

「そんなにですか」


 もっとポーカーフェイスとかできるようになった方がいいんですかね。

 しばらく他愛もない話をして、もう遅い時間だから、とお父様たちは部屋に戻りました。

 戻る前に、お父様とお母様は私を抱きしめてくれました。

 お兄様はしばらく残っていましたが、


「ユリア、手伝えることがあったら言ってね!」


 と笑って私の部屋を後にしました。


(……何でも、か……)


 * * * * *


(何だか、眠れないな……)


 ある日の夜、なぜか全然寝付けなくてベッドの上で寝返りを打っていました。


(あ~、暇だなぁ……あ、そうだ!)


 私はある人(?)の存在を思い起こし、そっとその名前を呟いてみました。


「……カイ」


 まあ言ってみたものの、彼はいつもどこで何をしているのか知らないので来てくれるか分からないのですが……。


「久し振りだな、ユリア」


 ……やっぱり。来てくれると思っていました。


「……何で信じられないものをみたような顔してるんだよ」

「来ないと思ったから」

「丁度暇だったからな。で、どうしたんだ? というか全然呼んでくれなかったじゃないか」

「え? ……何もしかして寂しかったの?」

「ち、違うし」

(……ん?)


 何だか、カイが珍しく全然言い返してこないような気が……。


「(ボソッ)……寂しかったんじゃないの」

「な、だから違うって!」


 めっちゃ顔赤いんですけど。


「そういえば、あいつはどうしたんだ? 最近一緒にいないみたいだけど」

「ジークのこと? 今仕事で外国にいるのよ。……ていうか何で一緒にいないの知ってるの?」

「たまに見てた」

「……え゛」

「いやそんなにドン引きすんなよ。お前が小さい頃はいつもだったじゃないか」

「そうだけど」

「ふう。で、どうしたんだ?」

「え?」

「わざわざ俺を呼ぶぐらいなんだから、何か悩んでることとかあるんじゃないのか?」

「……」

「時間なら俺はいくらでもあるし、ある程度なら解決してあげられるかもしれないぞ」

「……あのね」


 私は、今まで考えていた1つの計画についてカイに話しました。


「……やっぱりやーめた、はなしだぞ? ……まあ、そんなのはないだろうな」

「もちろん」


 * * * * *


 それから1ヵ月後。


「……本当によかったんだよな?」

「何?」

「いいや、別に」

「やっぱり、うじうじ悩んでるのはよくないわね!」

「確かに、ユリアはそれぐらいが丁度いいよ」

「……? なんかやけに素直じゃない」

「うるさいな、置いて行くぞ」

「ま、待って!」


 私は、青空の広がる道を歩き出しました。

 きっと今頃、お父様たちは驚いているでしょう。迷惑を掛けてしまったらごめんなさい。


『学園の試験は合格しましたので、少し国外に行ってきます』






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