表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

64/98

変わっていく私たち。

 ドンッ!


「きゃ……!」

「す、すまない……! 誰か保健室に……」

「だ、大丈夫です。あの、もしよかったら名前を聞いてもいいですか……?」

「僕? 僕は__」


 それから私は、片っ端からイベントを回収しようと攻略対象のところに通い詰めていました。勉強? ほとんどしてませんけど? 赤点にならなきゃゲームにも支障は出ないでしょ。


(……おかしい。絶対におかしい)


 攻略対象のうち2人、ジークハルトとエドワーズがちっとも私を見てくれない。というか、むしろ避けられている?


(そんなはずはない。だって私はヒロインなのよ? 嫌われるなんてありえないんだから)


 きっと2人はゲーム以上に落としにくくなっているだけなんだ。私がちゃんと見てあげていたら、絶対に私を愛してくれるようになる。


(今までちゃんと私を見てあげていなかったから……って、ゲーム以上に私を大切にしてくれるようになるわ。どんな風に、私に愛を囁いてくれるのかしら。楽しみで仕方がないわ)


 しかし、私がどれだけ2人に話しかけても全く相手にしてもらえないばかりか、私が近づくとわざとらしくどこかへ行ったりするようになってしまった。


(ほんとにどうしちゃったの……もういいわ。私は他の3人と仲良くするから。後悔したって遅いんだからね?)


 残りの攻略対象に目標を定めた私は、同時に次の段階に移ることにした。


(たしかゲームでは、私はいじめられていたわよね。実際のところは何もされていないのだけれど、このままだと私がいくら頑張っても悪役令嬢たちを断罪したりすることは到底無理……何か突っつけるところがあればいいのだけれど、そんなところちっとも思いつかないしなぁ……)


 でもこのままでは何も進まないのもまた事実で、そろそろ状況を変えなければいけないということは分かっていた。そう、ジークハルトやエドワーズがこっちに傾いてくれるぐらいの何かがあればなぁ……。


(……! そうだ!)


 私は素晴らしいことを思いついてしまった。私自身に何もしてこないなら、それをでっちあげればいいんだ。要するに……。


(いじめ捏造大作戦!)


 捏造はよくない? 仕方がないでしょう? これは必要なことなのよ。私がヒロインとして幸せになるために、シナリオを修正するために必要なのよ。大丈夫、私が誰かをいじめるわけじゃないから。『いじめられて傷ついた私』を、あの3人が慰めて癒してくれるのだ。そんな私たちを見て、きっと2人も改心してくれるはず。


(そうしたら、すべて元通りになる。全部うまくいく)


 私は早速行動を開始した。でも自分の物や体を実際に傷つけるのは嫌だった。だから私は、悪役令嬢たちの物を盗んできては壊した。最初は誰にも話さない。『1人で悩んでいる』ところに声を掛けられても、大丈夫だと答える。でも表情は思い詰めている。そんな演技をしばらく続けた。初めて、前世の学校で演劇部に入っていてよかったと思った。私の簡単な演技にも簡単に引っかかってくれた。

 こう言うと聞こえが悪いかな? でも私はそうやって攻略対象を落とそうと頑張っているんだもの。ヒロインとして、シナリオを正さなきゃいけないしね。きっとすぐ、私は幸せになれる。






評価、ブックマークを下さった方ありがとうございます。

読んでくださりありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ