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どこか違う私の世界。

 次の日は、よく晴れていた。まるで、私が学園に来たことを世界が祝福しているよう。


(いいや、実際に祝福しているのよ。私はこのゲームのヒロインなんだから)


 登校してすぐ私たちは始業式に行った。正直面倒だったけれど最初から問題行動を起こすのは流石にまずいし、ゲームだとこの入学式で早くも最初のイベントがランダムで発生してたはず。


(まあランダムイベントにはあまり期待しないで、この始業式が終わった後の普通のイベントを目指そう!)


 そう思い睡魔に抗っていると、私の耳に信じられないことが聞こえてきた。


「実は、先ほど紹介しましたユリア・コゼットさんと同じ学年に、もう1人編入生がいます。名はジャスミン。皆さん、仲良くしてくださいね」


 ……え?


(な……何で? 何でユリアが、今、ここにいるの? シナリオじゃ後半にならないと帰ってこなかったじゃない! バグにしてもひどいわよ!? 運営はどうなっているの!?)


 学園長がそう言った後、始業式はすぐに終わってしまった。


(まあいいわ。バグが少しあったぐらいで私はへこたれないわよ。大丈夫、私はヒロインなんだから。絶対に幸せになれるんだから)


 そう自分に言い聞かせて、私はホームルームに行った。

 私はまだ家名を名乗れないから平民という形で編入してしまった。だから、変に注目されているみたい。教室の中でひそひそと話す声がそれなりに聞こえている。


(居心地、悪すぎ……でも、他の乙女ゲームとかだとよくある展開なのかもしれないし。ひょっとすると、いくつかのゲームが混ざっているんじゃないかしら? シナリオはほぼ1つだけで、細かい設定は他のものを使っているとか。ありそう)


 だったら私の記憶を完全に頼りにするのもちょっと危険かも。でも大丈夫。前世で鍛えた私の乙女ゲーム力があればそんなの関係なくなるわ。すぐに攻略対象を落として見せるんだから!


 * * * * *


(いない……)


 ホームルームが終わった後すぐに、私はジークハルトの初回イベントをクリアするべくジークハルトの教室に走って行った。でも彼は既に教室からいなくなっていた。


(おかしい。いつもなら、私が『道に迷って』この教室の前をうろうろしているときにジークハルトが教室から出てきて、学校を案内してくれるのに)


 仕方がないからこのイベントは諦めて、明日からのイベントを頑張ろうと思い、私は寮に行く準備をした。


(……げ、最悪。よりによって初日に会わなくてもいいでしょ……)


 階段前の廊下を通ったとき、運悪くジークハルトルートの悪役令嬢、ユリア・コゼットに遭遇してしまった。


「……ご機嫌よう」


 ああもう話しかけるな! 面倒だなぁ。あんたは悪役令嬢でしょ!? 1人で勝手にいろいろしてなさいよ!


「……早くジークハルトをちょうだいよ」

「……? どうかしましたか?」


 余計にイライラする! もういいこれ以上会話をしたくない!

 私はユリアを睨み付けてさっさとその場を後にした。


(なんでこの学園は侍女も侍従も連れてこれないのよ……暇だしストレスは溜まるし。早く攻略対象をゲットしないと)






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