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私の王子様は誰かしら?

 私はその日、人生で一番の喜びを噛みしめていた。


『お前は明日から学園に通うことになった』


(やっと、やっと私は、本当の幸せを手に入れられる……!)


 学園には攻略対象が5人いるはず。


 まずは王道の王子様、ジークハルト・ベルネディア。

 この国の第1王子様で、立太子の式はゲームのエンドロールにあったはず。金髪碧眼のイケメン君。

 ジークハルトルートの悪役令嬢はユリア・コゼット。とは言っても、こいつは途中まで国内にいないし、帰ってくるまでにラブラブになるのなんて簡単なことよ。


 No.2はエリック・レイモンド公爵子息。公爵家の嫡男で、確か俺様風の茶髪青年。

 エリックの悪役令嬢はヴィオラ・レガート伯爵令嬢。ちょっと気弱だから圧をかけておけば余裕よね

 3人目はギルバート・オスカー伯爵子息。武闘系のワイルドなイケメンでそっちが趣味の人に受けていたわね。私は別にそうでもなかったけど、ルートに入ったら懐いてきたから気に入ってる。

 ギルバードはちょっと面倒で、ジェシカ・ミーナ伯爵令嬢なんだけど、これまた武闘系なんだよね……まあ手を出されたら訴えられるからいいんだけどね。煽れば来てくれるでしょ。ギルバード本人もちょっと頭が弱いから大丈夫。


 4人目はティルス・ロバート伯爵子息。ぱっとしない感じだけど一途だから割と好きなキャラ。植物が好きそうな感じだけど責めてくるときは一気に責めてくるロールキャベツっぽい人。珍しくきゅんと来たキャラ。

 悪役令嬢もドロシア・サーランド侯爵令嬢っていう地味キャラだから落としやすい。発言がたまにメンヘラっぽいんだけど無視しておけば問題なし。ティルスを落とした後、ドロシアを無表情で一瞥するのがたまらなく好き。


 最後はエドワーズ・フリント侯爵子息。ちょっとこの人も面倒で、なかなか心を開いてくれないのよ。でも私が彼の悩みを聞くイベントに成功したらまあほんとに甘やかしてくれる。でろでろに甘やかしてくれるのはいいんだけど学園でもお構いなしだから、ちょっと困りもの。

 途中の選択肢で彼がガマンできなくなったときに、


『今日はずっと一緒にいたい』


 を選ぶとお持ち帰りされる。本当に普通の乙女ゲームなのかちょっと怪しい。

 彼のルートは特殊で、ハッピーエンドとバッドエンドは普通にあるんだけど、実は攻略にも載ってない『アナザーエンド』があって、簡単に言うと彼に監禁されるエンドなのよね。それはそれでゲームとしてはいいのだけれどいざ自分がされるとなると絶対に嫌よ。

 あ、悪役令嬢はベロニカ・クロフォード公爵令嬢。THEお嬢様。終わり。

 こう考えると、ゲームでは難易度激ムズだったハーレムエンドもいけるんじゃないかな? って思う。それと、隠しキャラがいるとかいないとか……私も隠しキャラルートは全く知らないから、一度会ってみたい。


『必要なものはもう全て揃っている。お前は寮暮らしだから、それに必要な物も用意した。確認しておくといい』


 そして、お父様はこう言った。


『お前は明日から学園に行くことになるが、すまない、まだ養子縁組の手続きが終わっていないんだ。なかなか通してくれなくてね。だから、お前にはしばらくの間名字を名乗らせてやることができない』


 ……あれ?ゲームだともうとっくに済んでるはずなのに、おかしいな。まあ多少バグってることもあるよね。ここは寛容にいかなくちゃ。


 私はこうして、ようやく学園に行くことができるようになったのだ。

 私は自分の王子様を手に入れて、バラ色の人生を歩むのよ!






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