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ちょっと話が分かりませんでした……

 私はわけが分かりませんでした。なぜ、隠しキャラが私のところに、しかも婚約破棄とかのイベントが全部終わった後に……。

 目が覚めたら何をするか分からないので、窓から落ちたときの音で駆けつけてくれた護衛と家の中に連れて行き、客室の隅の方で椅子に縛り付けておきました。


「……お嬢様、この者は一体……」

「さあ……私にも分からないわ。とりあえず朝までこのままにしておいて。お父様が目を覚ましたら私が説明するから」

「それまでに目を覚まして暴れたらどうなさるのですか? ここは旦那様をお連れして……」

「大丈夫よ。何かあったら守ってちょうだいね」

「……承知いたしました」


 正直かなり眠たかったのですが、こんなわけの分からない人を放置したまま眠れるほど、私は神経が図太くはありません。

 ですが今夜はあまり眠れていなかったので、私は客室のソファに腰掛けていました。護衛に、彼が目を覚ましたら言うように伝えて、目を閉じることにしました。

 しんと静まり返った客室は、少し不気味に思えました。

 どれほど時間が経ったでしょうか。私は夢と現実の狭間を行き来していました。僅かに外が明るくなってきた気がしたそのとき、客室にかすかなうめき声が響きました。


「……!」

「ん……あれ、俺は……ここは……?」

「……目が覚めたようね」

「あ……!」


 彼__ルークは私を見るなり怯えた目を……しませんでした。むしろ、縛っておかなかったら目覚めた途端襲われたのではないかというくらいに私を睨み付けてきました。


「はあ……とりあえず、あなたは誰? なぜ私を殺そうとしたの?」

「……」

「理由があるでしょう? 話しなさいよ」

「……」


 ルークは私を睨み付けたまま何も話しません。


「何か言ったらどうなの?」

「……彼女は」


 と、そこでようやく口を開きました。


「彼女は、俺の太陽なんだ」


 ……おっとこれは、ある意味やばいかも……?


「俺は彼女がいるから生きていられるんだ。彼女は俺の全てなんだ。一目見たときから彼女は俺の運命の人なんだって確信したんだ。俺の世界は彼女しか求めていないんだ。彼女さえいればそれでいい。彼女が俺に笑顔を見せてくれたらそれだけで俺は幸せになれるんだ。俺は彼女にずっと笑っていてほしい。そしてその笑顔を誰よりも間近で見ていたい。誰にも見せたくない。なのに彼女は素晴らしい女の子だから、悪い虫がたくさん寄ってくるんだ」


 ……何ですかこれ。


「君たちには感謝しているよ。悪い虫を排除しようとしてくれていたんだから。でも君たちでは力不足だったみたいだね。虫けらどもが彼女から離れないどころか、彼女まで虫けらを好きだと勘違いをするようになってしまった。虫けらのことを愛するなんて、彼女はおかしくなってしまったんだ。だってそうだろう? 誰よりもきれいな彼女に虫がたかっているなんて普通ならあり得ないだろう? 彼女が俺のことだけを見るように目を覚ましてあげないと」


 なんか、私じゃないのにぞっとしました。こんな人がいたなんて知りませんでした。逆に今までなぜ彼が大人しくしていたのか疑問です。


「それはあなたの考えでしょう? 勝手な主観を私たちに押し付けないで」

「彼女を苦しめているのだからお前も同じだ」

「私たちはむしろ被害者よ。客観的に見ればすぐに分かる事よ」

「俺はそんな戯言には騙されない」

「はぁ……もういいわ。お父様もそろそろ起きてきた頃かしら。後は任せましょう」


 私はこの話が通じない人との会話に疲れたので、お父様に預けることにしました。

 後ろで何か言っている彼を無視して、私は自室に戻りました。






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