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食い意地張ってます。そんなことはいいんです……

 私たちが会場に入ると、眩しいほどの光が迎えてくれました。

 普段は集会などでたまに使うそのホールは、見慣れないシャンデリアやたくさんの装飾でいっぱいでした。


「……ねえ、あの人たち……」


 しかし、会場に入った途端、あまり気持ちのよくない視線が私たちの方に向けられました。


「ああ、婚約者に捨てられそうになってるんだっけ? 一体何をやらかしたんだか。それと友達だからって婚約者を放り出して来たっていうのが2人だったか? どっちもひどいな」


 ……私は何も考えません。こんなのと関わっていたらきりがありません。落ち着かなければいけません。


「あいつら、ヴィオラがどんな思いをしているのかも知らずに……!」

「待ってジェシカさん、落ち着いて。聞かなかったことにすればいいのよ」

「でも……!」

「そんな小さなことを気にするより、パーティーを楽しみましょう?」

「……分かった」


 ふう……ヴィオラのおかげでなんとか収まりました。

 そうこうしていると、会場の奥に設置されていた舞台に1人の女性が立ちました。学園長です。


「皆さん、ご機嫌よう。本日は日頃の努力を存分に発揮するとともに、3学年の親睦を深めて下さい。またこの会場内では、あなたたちが社交界に出たならばどのように振る舞うのがよいのか、考えて行動して下さい」


 学園長はそう言い終わった後、静かに舞台から消えていきました。


(まあ、ゲームの場合攻略対象達はお馬鹿だったので、学園長のお話が理解できていなかったのでしょう。まさかないとは思うけれど、あの人たち本当にこのパーティーのど真ん中でいきなり『婚約破棄だ!』とか叫んだりしないですよね? 不安で不安で仕方がないのですけれど……)


 まあ今から考えても結局は一緒です。何かあったらそのときに対処しましょう。

 と思っていたのですが……


「ん~! これ本当に美味しい。他は……」

「……ユリア、そんなに食べて大丈夫なの?」

「ん? 何ともないよ? ていうか本当にお腹空いてるんだよね~」


 流石にずっとテーブルの前にへばりついている訳にもいかないので、数分おきに戻ってきては食べ、食べたら壁の花になる……を繰り返していました。

 やがてダンスの時間になりました。

 他の生徒たちの多くは婚約者と一緒に来ているのですが、私たちは婚約者がこの場にいません。どうしても男女一組にならなければいけないので、私たちは壁と同化する道を選びました。

 ほとんどのカップルがダンスをしている中私たちはかなり浮いていたのでしょう、ダンスを踊りながら私たちの方をチラチラと見る生徒がたくさんいました。ダンスにもっと集中しましょうよ……。

 そんなときに、悪い予感が的中しました。

 ダンスの途中で、いきなり音楽が止まってしまいました。

 何事かとみんなが騒ぐ中、数人があることに気付きました。

 会場の中央で威張りように立つ子息達と、レイモンド公爵子息の腕に寄りかかるようにして立つジャスミンがいました。


「……!」

「……これは、一体何なのですか」


 ベロニカがぽつりと呟きました。

 レイモンド公爵子息たちは、得意げに声を出しました。


「「「お前との婚約を破棄する!」」」






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