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遂に決めました!

「……ん、あれ、私……」

「ユリア!」

「ユリアちゃん!」

「よかった、目が覚めたのね……!」

「私、先生を呼んで来ますわ!」


 ここは、どこでしょうか……?


「ねえ、私は……」

「動かないで。まだじっとしていなきゃだめよ。あなたは階段から落ちた、いえ、落とされたんだから」

「え……?」


 ドロシア、一体何を言って……。

 次の瞬間、私は頭の痛みとともに何が起こったのか思い出しました。


「……! そうだ、私、突き落とされたんだ……」

「ユリアちゃん……」


 急にヴィオラが黙りこくりました。どうしたのだろうと顔を覗き込むと、いきなりヴィオラに抱きつかれました。


「……ヴィオラ?」

「……怖かった。ユリアちゃんが、階段から突き落とされたって聞いて、すごく怖かった……」

「……」


 ヴィオラは、泣いていました。

 私は黙ったまま何も返せず、ヴィオラを抱きしめて頭をゆっくり撫でていました。


「ユリア、君を突き落としたのは……」


 ジェシカが恐る恐る、といった感じで私に聞きました。私は、ゆっくりとうなずきました。


「……やっぱり、ジャスミンさんだったよ、間違いなく。階段から落ちたときに、見えたの。あの人が、ジャスミンさんは、両手を前に突き出して、私を見て笑ってた……」


 その場にいた全員の顔が暗くなりました。今までたくさん嫌がらせをされてきましたが、それでも命に関わるようなことはされたことはありませんでした。


「ユリア。もう、いいよね?」


 ドロシアの強い意志を持った視線が私に向きます。


「ええ。みんな、ここまで引き延ばしてしまってごめんなさい。」


 私はそこで息を吸い、言葉を紡ぎました。


「反撃しましょう」


 * * * * *


 私たちはまず、ベロニカが呼んできてくれた担任の先生に今までのことを話してみました。しかし、


「まだ犯人だと決めつけるには早いだろう」


 と一蹴されてしまいました。まあ予想はできていました。

 乙女ゲームでも、ヒロインが周りにいじめられていることを伝えても、誰にも聞いてもらえなかったので。それどころかいじめは悪化していたような気がします……。


「まったく、何ですのあの先生は! 優しくていい先生だと思っておりましたのに!」

「お、落ち着いてベロニカ……」

「ユリアはなぜ怒らないんですの!? というより一番怒るのはあなたのはずでしょう!?」

「あ、うん、ごめんなさい……?」


 あの後みんなで集まるや否や、普段怒らない、というか怒ったところを見たことがないぐらいのベロニカが、ものすごく起こりだしました。普段優しい人を怒らせるとこうなるよって感じです……。


「ユリア、もう待てませんわ。明日、これまでのことを全部暴露しますわよ」

「え? 明日って、明日はパーティーが……」


 そう、明日は授業がすべてなくなり、夜に学園主催のパーティーがあるのです。実際の夜会とほぼ同じで、参加するのは上から3学年です。

 そのような大事な場で、そんなことをするわけには……とは思っていません。なぜならゲームでは、明日のパーティーで悪役令嬢たちが断罪されるからです。むしろ向こうから何かしてくるのではないかと少し怖いくらいです。


「どのみちこれからは授業がどんどん減っていき、行事が増えます。早いうちに暴露した方がいいでしょう。しかしパーティーの真っ最中にするわけにもいきません。なので、パーティーがお開きとなったときに決行しましょう。こっそり証拠も持ってきてくださいまし」


 みんなももう我慢できないのか、強くうなずいています。


「よし、皆さん、明日は頑張りますわよ!」





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