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油断……していました。

 キーンコーンカーン。


「大変だ! もうすぐ朝礼が始まってしまう」

「そうですわね。皆さん、もう少し頑張りましょう。これからしばらくは、証拠を集めましょう。私の友人たちを傷つけたんですもの、私も助力は惜しみませんわ」

「ありがとう、ベロニカさん……」

「もうヴィオラちゃん、さん付けなんてしないで」

「……! うん! ありがとう、ベロニカちゃん」


 皆がより仲良くなったところで、1度教室に戻ることにしました。


 * * * * *


 あれから私は、否、私たちは頑張りました。まあ証拠なんて探すまでもなく向こうから来てくれているようなものですけれどね。このときばかりは頭の回転がよくないことを感謝してあげましょう。

 毎日誰かが一緒にいるのは当たり前、休み時間もべったり、授業で男女のペアになるときはジャスミンの争奪戦(3人だけ)です。

 おまけに、最近では学園がお休みの日にジャスミンが3人のうちのだれかと一緒に出かけているところを、何人もの生徒が目撃しているようです。しかもべったりで腕を組むのは当たり前らしいです。

 ジャスミンも3人も、悪い意味で目立っているのだから大人しくしていないとこうなるとなぜ予想できなかったのでしょうか……。

 ていうかよくここまでできますよね。浮気するにしても普通もう少しこそこそとするものだと思うのですが、こっちはこっちで同じように自分に酔いしれてるタイプですか。1周回ってお似合いですよ。うちの大事な友達はあげませんからね!

 まあそっちそ心配は何もないというわけなのですが、ちょっとだけ気合いを入れていかなければならないのが、いじめの問題ですね。

 あの後も私たちに対するいじめはときどきですが続いています。私やジェシカは何ともないですが、ベロニカはそろそろ精神的に疲弊してしまっているようです。当然でしょう。ベロニカの場合は、彼女が気に入っていた物や大切にしていた物がなくなっていくのですから。

 ですが、どういうわけか未だにジャスミンが犯人だと明らかにできる証拠が見つかっていないのです。早く見つけないと……。

 そして誰よりも危ないのがヴィオラです。もともとは、大人しくはあったけれどよく喋るいい子でした。なのに最近はめっきり口数が減ってしまい、少し痩せてしまったようでした。


「ヴィオラ、ごめんね……」

「何でユリアちゃんが謝るの? いつもありがとう、心配してくれて」


 私がヴィオラに謝ると、いつもこう返されました。まだ何もできない自分がひたすらに悔しくて、心の中ではいつも泣いていました。


(もうゆっくりしていられないのに……)


 そして、その日もめぼしい情報もなく家にかえろうとしていました。私は職員室に用事があって3階にいました。階段を使って降りようとしました。

 踊り場を通り過ぎたときでした。


 急に背中に強い衝撃を受け、足の裏の感覚が、なくなりました。


 サアァ……と血の気が引いていきました。

 振り返り肩越しに見えたのは、


 狂気を感じる笑みを浮かべたジャスミンでした。





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