早速行動を始めました。
「……ご機嫌よう」
そのまま無視して立ち去るのもよくないので、一応挨拶をしておきました。これで私が何かを言われることはないでしょう。
「……」
「……? どうかしましたか?」
ジャスミンは俯きながら何かをブツブツと言っていました。
そして次の瞬間、私を思いっきり睨み付けて無言で去って行ってしまいました。私は誰もいない廊下でポツンと立っていました。
(……何だったのかしら)
少し面倒なことになりそうだな、と思いながらも今日は疲れたので家に帰ることにしました。これから、警戒だけはしておかないと。
そう、思っていたのに。
ドンッ!
「きゃ……!」
……ジャスミンは翌日から、当たり屋のようなことをし始めました。それも、高位貴族の子息だけをターゲットにしているようでした。いきなり奇行を始めたジャスミンは悪い意味で目立つようになりました。
「す、すまない……! 誰か保健室に……」
「だ、大丈夫です。あの、もしよかったら名前を聞いてもいいですか……?」
「僕? 僕は__」
ていうかジャスミン敬語も何もあったものじゃないじゃないですか。それに格下の者が格上の者に名前を聞くなどと……彼女の保護者は一体何をしているのでしょうか。
ジークも一度ジャスミンのターゲットにされたようでした。その日の放課後に青ざめた顔をしながら教えてくれました。
「ユリア助けて……彼女……ジャスミンが怖いよ……いきなり廊下を全力で走ってきてぶつかろうとしてくるし、僕がよけたらそのまま転ぶし、気が付かなかった振りをしてその場から逃げようとしたら袖を意味分かんない力で引っ張られて逃げられないし、なんかギラギラした目で保健室に連れて行けって言うし……」
「それは、大変だったね……」
想像していた以上のぶっ飛びっぷりに言葉が出ませんでした。とりあえずジークはぎゅーってしてなでなでしました。ちょっと落ち着いたのでよかったです。それにしても、あのジークをここまで弱らせるなんて……ジャスミンの警戒度を上げなくてはいけませんね。
「ジーク、ジャスミンさんは他は誰に仕掛けたのか分かってたりする?」
「えっと……僕以外はレイモンド公爵子息、オスカー伯爵子息、あとは……」
ジークが挙げた名前は、間違いなく乙女ゲーム2期の攻略対象でした。
「しかも、僕以外全員ジャスミンに好意的になっているんだ」
「……え?」
「僕は嫌悪感しかなかったんだけど、『ドジっ子なのが可愛い』だって。明らかに当たり屋じゃないかあんなの……」
……意外とバk……んん、単純な方が多かったようですね。
「でも、あまり放置しておくのはよくないよね」
「あまりというか、全然よくないな。それぞれにもう立派な婚約者いるのにも関わらずこのようなことをしていると大々的に知られれば、双方によくないだろう」
頭が痛いですね……思ったよりも手強い敵のようですね、ジャスミンさん。でも、簡単には負けてあげませんからね? 私たちは生半可な気持ちで婚約者をしているのではないと教えてあげましょう。
「ジーク、私それぞれ婚約者の方々に会いに行きます。それからどうするか、皆で考えます」
「分かった。僕も協力するよ」
「ありがとう」
さあ、これからどう転がっていくのか楽しみですね。ジャスミンさん?
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