混乱が続いています……。
私は始業式の後、ぼんやりとしたままホームルームに向かいました。いきなり大量の情報を得た私はそれらを整理することで精一杯でした。これからどうしたらいいのか、まったく分かりませんでした。
「あれ? ユリア様?」
ホームルームで座席に座りぼーっとしていると、不意に誰かから声をかけられました。少し聞き覚えがあるような……?
「……あら、ヴィオラ様。お久し振り」
そこには私とそれなりに話をしてくれていたヴィオラ・レガート伯爵令嬢が立っていました。学園に入学してから、同い年で成績も近かったのでよく同じクラスになり、親友とまではいかないでもそこそこ話をする間柄でした。
「最近帰って来られたと耳にしたのですが、何をされていましたの?」
「少し、外国に行かなければならなくて……様々な国を転々としていましたわ」
家出してましたーなんて言えるはずもないので、そう濁しておきました。
しばらくヴィオラと話をしていると、同じクラスになったジーク(王族も学園に通うことになっています)と、少し後から担任の先生が入ってきました。
先生はそのまま教壇の前に立ち、ジークは私のところにやってきて、
「……後で少し話がある」
と小声で伝えてから自分の席に着きました。
私はジークが何をしたいのか分かりませんでしたが、それはホームルームが終わってから聞くことにしました。
先生は特に重要なことは話していませんでした。明日からの予定などを確認した後は今日からまた学園生として恥にならないような行動をするように、と話を締めくくりました。
* * * * *
ホームルームが終わった後、今日はこれで放課後になりました。
ジークの方に目をやると、唇だけ動かして何かを伝えようとしていました。
『ついてきて』
私は小さく頷き、ジークの後に廊下に出ました。少し歩いた後、私たちは2階の空き教室に入りました。
「ふう。とりあえず、久々の学園お疲れ様」
「ありがとう。でも、いきなりどうしたの?」
「ユリアが何か考え事をしているみたいだったから」
「……」
「今日編入になった子?」
「……!」
ジークには隠し事はできませんね。
「あの子は一体何者なの? ここは貴族用の学園なのに……平民用は別の学園があるでしょう?」
「それが、僕もあまり詳しいことは知らないんだ。ただ、本当かどうかは分からないけど、チェリス子爵家が関係しているとか何とか。噂でしか聞いていないのだけれど」
「チェリス子爵家……」
あまりこれといった特徴のない家ですね……でも、ジークの耳に入るくらいなので、信憑性はあるかもしれません。
「まあ今のところは何も問題は起きていないし、何かあったらその都度対処しよう」
ジーク、それはフラグですよ……。
まあ今こうして話していたところでどうしようもないですし、下手に何か行動をして私が何かのトラブルに巻き込まれたりしたら面倒なので、あまり関わらないでおきましょう。幸いにも彼女と私たちは別のクラスなので。
「じゃあ何かあったらすぐに言ってね。僕にできることは何でもするから」
「ありがとう」
その他にもいろいろお喋りをしていたのでかなり時間が経ってしまいました。そろそろ家に帰りましょうか。
そしてジークと分かれた後、私は1人で階段を降り、教室に荷物を取りに行きました。
「……!」
「あ、こんにちは」
私は、早くも廊下で彼女__ジャスミンに遭遇してしまいました。
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