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まだまだ続いていました。

 数日後、私はお父様と一緒に学園長に会いに行きました。

 学園長は女性なのですが、私が生まれる前から学園長として勤めていらっしゃるそうです。生徒の顔と名前、その他様々なことを記憶しているということは有名で、歴代で最も素晴らしい学園長だとも言われています。

 学園の門を久し振りにくぐり、まっすぐ学園長の執務室に行きました。何も知らされていない状況でばったり生徒に会ってしまったら面倒なことになるだろうから、とどの学年も座学をしている時間に学園に行きました。おかげで廊下には私とお父様の足音しか響いていません。

 執務室のドアを静かにノックすると、小さく『どうぞ』と言う声が聞こえてきました。

 ゆっくりとドアを開くと、年配の女性が正面と机に座り、書類仕事をしていました。


「久し振りね、ユリアさん。侯爵様もご無沙汰しております」

「お久し振りです、学園長」

「話はもう聞いているわ。でも、ちょっと失礼なことを言うと、もうこの国には帰ってこないのではないかしら……と思っていたのですよ。それがまさかこんな風に帰ってくるなんてね……」

「学園長」

「そうそう、今日は世間話をしに来てもらったのではないものね。ユリアさんの編入についてのお話をしましょうか」


 それから2時間ほどお話をして、私は編入試験を受けて問題がなければそのまま編入、学力が著しく低いと判断された場合は補習をしてからもう一度編入試験をすることになりました。

 後日編入試験を受けましたが、問題がないどころかほぼ満点で編入試験を合格しました。私は新学期から、一番成績のよいクラスに編入されることになりました。

 そして、その日がやって来ました。そう……


 始業式の日が。


 私は何となく、この始業式で何かが起こると感じていました。何が、とかどこで、とかはまったく分からないのですが、でもどうしても確かめなければならないと思いました。

 私は他の生徒の中に紛れ、始業式が終わるのをひたすら待っていました。

 そして、学園長の話が終わりにさしかかった頃、『突然ですが、大事な話があります』と学園長がおっしゃっいました。


(私のことかな……?)


 それは半分合っていて、半分間違っていました。学園長は私の名を読み上げ、私がこの学園に編入することを説明してくださいました。まあ私も以前はこの学園に通っていたのですけれど。

 そして私についての話が終わっった後、学園長は一瞬迷ったあと、また口を開きました。


「実は、先ほど紹介しましたユリア・コゼットさんと同じ学年に、もう1人編入生がいます。名はジャスミン。皆さん、仲良くしてくださいね」


 ……え? 平民?


 最初は私が疲れすぎていて幻聴でも聞こえていたのかと思いましたが、周りも私と同じように騒いでいるのを見て間違いではなかったと分かりました。名字を持たないのは、すなわち平民だからです。

 学園長はその説明は何もせず、壇上を降りてしまわれました。

 すると突然、私の中に記憶と思われる映像が大量に流れ込んできました。


(……え? 乙女ゲーム? 2期……?)


 私の頭の中に押し寄せてきた大量の記憶は、『今自分は乙女ゲームの2期の中にいる』ということをはっきりとさせました。

 そして、私にとって一番大事なことも分かりました。そう、乙女ゲームの中の私の立ち位置です。






 私は、姉が悪役令嬢であった乙女ゲームの2期作で私自身が悪役令嬢になっていました。






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