お茶会をしました。
私は王妃様に王宮の中庭に連れてこられました。
途中ですれ違った人たちは、私に気付いた人はひどく驚いていました。まあ当然の反応でしょう。まだ帰ってきたことを公表していないので、そのことを知っているのは家族と王家の方々だけですから。
あと気付いていない人も結構いました。私が外にあまり出ていなかったからって、それはないでしょう……と思いました。気にしたら負けですかね。
「さあユリアちゃん、座って座って」
「は、はい」
王妃様とは1、2回ほどはお茶会をしたことがあります。というより、王家主催のお茶会にお呼ばれしました。そのときは王妃様に上位貴族の令嬢が招待されていて、私も参加していました。
王妃様はお姉さまがジークの婚約者だったこともあり、私たちコゼット侯爵家にとてもよくしてくださっています。私が小さかった頃は、両親が王宮に用事があって私たち子供も連れてこられたときに恐れ多くも遊んでいただいた記憶があります。気さくで優しい王妃様は私の憧れです。
「それにしても久し振りね、元気にしていたの?」
「はい。ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした」
「もう、ユリアちゃんが謝らないで。私たちが急ぎすぎたのがいけなかったのよ。辛いこととかあったらいつでも相談してね? 大抵のことは解決してあげられるから」
「……ほどほどでお願いします」
王妃様が頑張ったらほとんどのことが解決してしまうんではないでしょうか……。
しばらくおしゃべりしていると、王妃様が爆弾発言を投下しました。
「そうそうユリアちゃん、ジークハルトと恋仲になったんですって?」
「!?」
飲んでいたお茶を吹きださなかった私を誰か褒めてください……。
「な、なぜご存じなのですか……?」
「昨日帰ってきてすぐにジークハルトが言ってたわよ。『ユリアと恋仲になりました。もうユリアは僕のものなのではやく書類作ってください』ですって。ユリアちゃんの義母様になれて私も嬉しいわ」
「ジーク……」
あなたは自分の家族に何という報告してるんですか。文字通り顔から火が出そうなくらいに恥ずかしいです……また後でジークを問い詰めましょう。
「でも、本当に大丈夫? ジークハルトに何かされたらすぐに言うのよ?」
「ありがとうございます。ジークは私を大事にしてくれていて、今とても幸せです」
これは紛れもない私の本心です。今までの私ではあり得なかったでしょうね、こんなに誰かを大切に思うのは。何だかむず痒いような感じになってしまいます。
「それにしてもユリアちゃん、あなた少し変わったわね」
「そう……ですか?」
「何だかとても女の子らしくなったわ。いえ、今までが女の子らしくなかったということではないのだけれど、雰囲気がより柔らかくなった気がするの」
「自分では分かりませんね」
私が苦笑いをしながらそう答えると、王妃様は優しく微笑んでくださいました。
「そういうものよ。他の誰かから見た場合の話なんだから」
その後も楽しくおしゃべりをしていました。日が暮れてからでは遅くなりすぎてしまうので、夕方にお茶会は終わりました。
「ユリアちゃん、今日はありがとう。楽しかったわ」
「ありがとうございます、王妃様」
「また一緒にお茶会しましょうね」
「はい!」
さあ、そろそろ家に帰りましょうか。家族が待っています。
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