王宮に到着しました。
「おはよう、ユリア」
今までの街中での姿とは全く違って、何というか、『王子様』っていうオーラを纏っているようです。
「ジーク、おはよう」
「何だか久し振りだね、ユリアがドレスを着ているところを見るの」
「ほんと。久し振りにベルにいろいろされたわ」
「何か御用ですか? お嬢様」
「ひゃあ!?」
べ、ベル!? さっきまで私の部屋にいたんじゃ……。
「先ほどお仕事を一段落させましたのでお見送りに来たのですが、お呼びでしょうか?」
ニッコリ。
ベルがまたいい笑顔になっているのですが……。
「そ、そろそろ行こう?」
「ならば私が付き添いいたします。まさかお1人で王宮に向かわれるのではないですよね?」
「……あ」
そういえばすっかり忘れていましたけれど、令嬢が外に出るときは、どこであっても最低1人は誰か侍女を連れて行くものでした。あと護衛はどこかから見ているようです。私は侍女と一緒なのはあまり好きじゃないんですけどね、1人で動き回りたいと思うことがほとんどなので。諦めていますけど。
「じゃあ、そろそろ出発しようか。父上たちが待ってるから」
「うう……」
別に初めてではないのですけれど、やっぱり国王陛下方に会うのはちょっとお腹が痛くなってくるような……。頑張りましょう。
* * * * *
なんて思っていたときが私にもありました。
「ユリアちゃ~ん、久し振りね~。元気にしてた~?」
いわゆる『謁見の間』に通された私たちは、というより私は、辺りを見回す前に誰かに抱きつかれて後ろに倒れ込みそうになりました。
「母上……」
少し離れたところからジークの呆れた声が聞こえてきました。いや母上~じゃなくて助けてくださいよ、あなたのお母様でしょう……。
「あ、ごめんなさいね。私ったらつい……嬉しくて興奮してしまったわ」
「いえいえ……ご無沙汰しております、王妃様」
王妃様はこんな感じでちょっと(?)テンションが上がりすぎてしまうこともあるのですが、もっと公の場ではとても威厳のある佇まいでいらっしゃいます。ギャップには未だに慣れませんが。
「キャサリン、少し落ち着いたか?」
「仕方がないでしょう? 本当に久し振りに会えたんですもの」
王妃様の後ろに立たれていたのか、見えていなかった国王陛下が笑って近づいてきました。
「そうだユリアちゃん、これから私と一緒にお茶会しましょう? たくさん話したいことがあるのよ~」
「え? 今から……ですか?」
「ええ。準備もすぐにさせるから、ちょっと待っててね」
「あ、王妃様!?」
止める前に王妃様はどこかに行ってしまわれました。早歩きであの速度なのは尊敬しますが……。
「キャサリンがあんなに生き生きとしているのは久々だな……」
「陛下?」
「最近キャサリンは暇を持て余していたようなのだよ。私も仕事が忙しくなりどこかへ連れて行ってやることができなくなっていたし、話をするのはやはり同性の方がよかったのだろうな」
「流石に今日の母上には驚きましたけれど」
「まあ大目に見てやってくれ」
ていうかずっと前から思っていましたけれど、この家族フレンドリーすぎではないでしょうか。いやそれ自体はとても嬉しい事なのですが、贔屓してるとかそういうのになったりはしないのでしょうか?よく分からないので気にしないことにしましょう。
陛下とジークとしばらくお話をしていると、5分くらいで王妃様が戻ってこられました。
「お待たせ~。さ、ユリアちゃん、お茶会しましょ!」
「え? あ、はい」
私は王妃様に手を引かれ、謁見の間(?)を後にしました。
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