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やっと見つけた。

 それは、何分の1の確率の出来事だっただろうか。

 ふらりと立ち寄った国で、記憶の片隅に残る面影を見た。すぐに見失ってしまったけれど、あれは確かに彼女だった。

 それが分かった途端、僕の胸から言葉にできないような感情が溢れてきた。

 すぐに彼女を追いかけた。撒かれないように少し遠くから、ゆっくりと彼女のあとについて行った。

 やがて隣の国に着いた。そして、僕はここでやっと彼女の顔を見た。


 __笑っている。


 祖国で見たことのないような、屈託のない笑顔だった。不思議なことに、見たことがないはずのその笑顔を、僕は知っている気がした。もっと、ずっと前に見たような気がした。

 訳が分からなかったが彼女を見失いそうになり、慌ててついて行った。

 彼女は最初に宿屋に行くようだった。検問所で宿屋の場所を尋ねていたようだ。

 地図を見ながら歩く彼女を追っていると、僕もよく知っている宿屋の前に来た。


『アイリス荘』


 この宿屋は僕がお忍びで旅行しに来たときにいつも使っている宿屋だ。意外と警備がしっかりしているし、客層も良好な宿屋で僕自身かなり気に入っている。

 と、ここで1つ事件が起きた。ユリアがいきなり倒れたのだ。

 通行人や宿屋にいた人が騒然としていた。慌てて出てきたのは『アイリス荘』の女将だった。

 どうしたのか気になって様子を伺うと、看板娘の子が泣きそうになりながらユリアを揺すっていた。

 僕は大体を理解して、それほど心配はいらないな、と判断した。おそらく彼女は看板娘の可愛さに気絶しただけだ。そんなところもずっと変わらない__


(え? 僕は今何を……?)


 今日僕はどうかしてしまったのだろうか? 記憶にないはずのものが一瞬出ては消えていく。

 もどかしい気持ちになりながら、流石にこの状態の彼女を放っておく訳にもいかないので、女将たちのとこのに近づいて行った。


「何か、手伝いましょうか?」

「はい、申し訳……!」


 僕に気付いたらしい女将が声を上げそうになり、慌てて口を押えていた。


「(ヒソッ)しばらく僕はジークです」

「(ヒソッ)かしこまりました」


 落ち着きを取り戻した女将とユリアを2階まで連れて行ったあと、僕は1階の受付の前でユリアが起きて下に降りてくるのを待つことにした。

 それから3時間ぐらいが経って、看板娘の子が起こしに行くことになった。数分後、若干おぼつかない足取りの彼女を連れて看板娘の子が降りてきた。

 それから彼女はやっとチェックインを済ませて、宿屋の一家と仲良く会話をしていた。

 どういう流れかタダで泊めてもらえることになったらしい。あの主人がそんなことをしたのは1度もなかったから驚いた。主人も何かに気付いたのかもしれない。

 できれば彼女に接触したかったのだがもう夜も遅くなってしまったし、今日はこの辺で切り上げようかな。ユリアが寝ている間に僕もチェックインをしておいたからいつでも部屋には入れるようになっているし、また明日ユリアに近づいてみよう。


(やっと、見つけることができた。ユリア、僕頑張るから)






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