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やっと、言えました。

 しばらくよしよししていると、リリーちゃんはすやすやと眠ってしまいました。


「……ごめんね、リリーちゃん。心配かけちゃって」


 流石にこのままにしておく訳にもいかないので、イザベラさんを呼んできて家に連れて帰ってもらいました。

 その間もぐっすりと眠っていて、ときどき寝言でおねえちゃんって言っていました。リリーちゃんが可愛すぎてやばいです。


(暇だな……)


 安静にしてなくても別にいいんじゃないですかね、もうピンピンしてますし。ちょっと外にお散歩に行きましょうか。

 そう思って自分の部屋を出て階段を降りようとすると、背後に誰かの気配がしました。


 ……私の後ろから、動かないんですけど。


 嫌な予感がして、でも振り向いたら負けな気がして、そのまま何事もなかったかのように歩こうと思いました。


「リーアー? どうしたのかなー?」


 ……終わりました。

 ギギギ、と音がしそうな感じで振り返ると、そこには目だけが笑っていないジークがいました。


「あ、えっと、ちょっと水がほしくて……」

「何でそんなに大きなカバンを持ってるの?水を飲むだけで」

「うぐ」


 もうちょっとましな嘘をつけばよかった……。


「外に行こうとしてたの?」

「……」

「……図星、か」

「……」

「あ、もしかしてリア、僕が怒ってるって思ってる?」

「……怒ってないの?」

「はあ……とりあえず、僕の部屋においで。ちょっとおしゃべりしよう」


 * * * * *


「リア、ここに座って」

「……何で、ジークの膝の上なの」

「いいからいいから」

「重たいでしょ」

「リアは軽すぎるくらいだよ」

「……」


 全然引いてくれなさそうだったので、諦めて膝に座ることにしました。


「……リア、僕の方向いて」


 顔が近すぎて無理だったのでジークが私の背中にくっつく感じで座ったら、拗ねたように文句を言ってきました。


「はあ。これでいい?」

「うん」


 結局ジークの膝に横向きで座るのに落ち着きました。何だか恥ずかしくてどうしようかと内心慌てていると、ジークが私をぎゅっと抱きしめてきました。


「リア」

「ん? 何?」

「ごめんね」

「……?」

「リアに怖い思いをさせちゃったから。助けに行くのが遅くなって本当にごめん」

「……ジークは何も悪くないよ。国に帰っていたんだもの」

「でも……」

「ジーク、ありがとう」

「リア?」

「私、本当はすごく怖かった。痛かった。でも何でかな、この街にいなかったのに、きっとジークが助けに来てくれるって思ってた」

「リア……」


 ジークは私を抱きしめる腕を強めました。とても安心できて、暖かい場所でした。


「……リア、好きだよ。愛してる」

「え、あ……」

「君に辛い思いなんてさせないから。絶対に幸せにする。だから、僕の恋人に、なって、ほしい、な……」


 そういえば、結局有耶無耶になったままこんなに日が経ってしまいました。


「急がなくて大丈夫だよ。僕、待ってるから」

「……ジークの、ばか」

「え……?」

「私から先に言いたかったのに」

「……! リア!」


 ジークの顔がパアッと輝きました。本当に、分かりやすい人ですね。


「ジーク、私もジークが好き。大好き。ずっと、ジークと一緒にいたい……」


 言いながらとても恥ずかしくなって、顔から火が出そうでした。

 どうしようもなくてジークの肩に顔を埋めていると、ジークが笑って頭を撫でてくれました。


「これからもよろしくね、リア」

「~~!?」


 な、な、何でいきなり、耳元で喋るの……!


「ふふ、本当に可愛い。愛してるよ、リア」

「や、やだよお……」

「嫌? 違うでしょ? 素直じゃない子には、ちょっとお仕置きしないといけないなあ」

「ひゃあ!?」


 み、耳、はむはむしないで……!


「ん?ここが弱いのかな?」

「ひゃう!?」

「あ、すごい反応した。可愛いなあ」

「も、やらよお……耳が、おかしいよお……」


 息切れして涙目になっていると、正気に戻った? ジークが慌ててよしよししてくれました。


「ごめん、リアが可愛すぎていじめちゃった」

「……(プイッ)」

「ふうん……また、されたいの?」

「ひゃん!」


 もうこれ以上は、無理……。


「これからずっと一緒だよ?リア」

「うん!」


 次の瞬間、私の唇を、柔らかいものが触れていきました。

 そこからまた息切れしそうになった私を見て、ジークは満足そうに笑っていました。

 彼は、意外とドSなようですね……。






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