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意中之人  作者: ゆチャン
2/2

繋いだ手。

何が起きたのかわからなかった。

でも、これはまだまだ序章に過ぎなかった。


・・・なんて、シリアスじゃないよ?

『ずっと愛梨ちゃんのこと見てきたんだよ』


「・・・!・・・いったぁー!!」

「愛梨あんた何やってんの」

「お姉ちゃん」

「あんた帰って来てからおかしいわよ?」


帰って来てから・・・


「そ、それは・・・」

「ん?何かあった?」

「な、なんでもないけど」


あれからどうやって帰ってきたんだろう。

気付いたら今だった。


「って、お姉ちゃん今何時?」

「え?もう0時過ぎてるわよー」

「・・・あ、明日朝からだ!!!寝なきゃ」

「ったく忙しい子ねー」

「おやすみ、お姉ちゃん!!」

「はいはい、おやすみ」


お姉ちゃんはあたしよりも10個上の26歳。

結婚もしてて、うちの事務をしてる。

うちはおじいちゃんからみんな建築士。

今住んでる家のそばに建築事務所がある。


お姉ちゃんは結婚してからはデザインするよりは

事務をしてて、旦那さんをサポートしてるんだって。

お姉ちゃんは結婚した時に家を出て旦那さんと一緒に住んでるんだけど

近いからたまに泊まりにくるんだ、勿論旦那さんも一緒にね。


少しだけ眠気に襲われる中、携帯が光った。

開くとそこには『流』の一文字。

ドキドキしながらそのメールを開くと。


『Date.7/9 0:38

 From.流

 Sub .明日

 1現からだよね?なら一緒に行こう?

 朝迎えに行くよ。それじゃあおやすみ、愛梨ちゃん』


「・・・迎えに?何でうち知って・・・あ」


そうだ、思い出した。

流と一緒に帰ってきたんだ。


「愛梨ちゃん、緊張するのはわかるけどもう少し離れないで歩けない?」

「む、無理!」

「そう、なら」


流は気付くとあたしの隣りに立っていて、

あたしの右手を取っていた。


「これなら、大丈夫でしょ?」


ニコニコ嬉しそうに笑って

こっちの心臓を考えてほしいわ!


「どうしよ、緊張して寝れない」

「・・・愛梨ー?」

「何、お姉ちゃーん」

「寝れないのー?」

「うーん」

「んじゃ下来なさいなー」


お姉ちゃんがそう言って階段を降りていく音が聞こえた。

あたしは携帯を持って部屋を出る。


「あ、真之介さんおかえりなさい」

「ただいま、愛梨ちゃん」

「真之介、聞いてよ。この子悩みあるみたいなの」

「悩み?」

「そう、悩み。しかも恋の悩み」


真之介さんはお姉ちゃんの旦那さん。

お姉ちゃんよりも2つ年上であたしより12個上。


「こ、恋!?何で恋なんてしてないよ!?」

「んじゃー今日一緒に帰って来たのは誰?」

「!!見たの?」

「人聞き悪いわね、見えたのよ」

「・・・あ、あれは」

「誰?」


お姉ちゃんは時々威圧的だ。

そこでお姉ちゃんと真之介さんに事情を話した訳だけど・・・。






「その流っていうのがあんたの想い主な訳ね?」

「べ、別に想ってなんか・・・」

「ふーん、で何が気になるわけ?」

「・・・見てたってだけで、好きって言われた訳じゃないし。それに、あたしは好きかわかんない」

「・・・なんで?」

「言われたことが嬉しいだけなのかも知れないじゃない?」

「確かに愛梨ちゃんの言うことも一理ある」


お姉ちゃんも真之介さんも真剣に聞いてくれた。

まだ、流と話した時間はごくわずかで、あたしは流のことを殆ど知らない。


「時間はたっぷりあるじゃない?」

「・・・そうなのかな」

「さっき自分で言ったじゃない、好きって言われた訳じゃないって」

「流くんが本当に愛梨ちゃんのことを好きなら待ってくれると思うよ?」

「流があたしを待つ?」

「うん、愛梨ちゃんが流くんを知る時間」


流はあたしに

『これから一歩ずつ進んでこ?』と言った。

今はまだ、好きじゃないんだ。

でも流が抱きしめてきた時、あたしは確かにドキドキした。

今までにない胸の鼓動。

あれは何だったの?


それからもお姉ちゃんと真之介さんは話を聞いてくれて

気付けば時計は2時近くを指していた。

あたしは部屋にすぐ戻ったけど2人はまだ何か話していたみたい。


「本当青臭いわ、あの子」

「今までにしたことない経験に戸惑うのは誰でも一緒だよ」

「確かにねー。でもこれで少しは進んでくれるといいんだけど」

「流くんが折れるのが早いか、愛梨ちゃんが惚れるのが早いか」

「あの流って子、どっかで見たことあんのよねー」


2人の会話なんて知らずにあたしは夢の中へ。





「・・・眠い」

「愛梨そんな顔してないで、さっさと食べなさい」

「あい」

「美里も眠そうな顔しないで、さっさと片付けて」

「はーい」


結局あたしもお姉ちゃんも真之介さんも寝不足で。

朝からお母さんは機嫌悪そうだった。

お父さんと真之介さんは少し早いけど出社したみたい。


「愛梨ー」

「何ー?」

「流くん何時に来るんだってー?」

「えっと、8時15分くらいだって」


うちから学校まではいつも歩きで30分。

1現から選択授業の時は朝HRがないから9時に教室にいればいい。


「あんた髪ボサボサじゃない。ほら座って直してあげる」

「う、うん」

「いい?今日からあんたは昨日の自分よりも少し前に進んでるのよ?」

「進んでる?」


お姉ちゃんはあたしの髪を整えながら、そう言う。


「そばには流くんていう男の子が常にいるの。そして流くんを知っていかなきゃいけない」

「うん、わかってる」

「あんた自身も変わらなきゃいけないのよ」

「変わる?」

「流くんにもっと好きになってもらえるようにするの」

「・・・流に」

「その為にも服装とか髪型とか化粧とか色々気配らなきゃいけないことは山ほどあるのよ?」


勿論内面もね?とお姉ちゃんは付け足す。


あたしは地毛が茶色いから染めたことは一度もない。

長さは胸のあたりまで。

暑い時は結ぶけど普段はそのまま。

制服はリボンを結構緩めにしてて、

スカート丈はそれなりに短め。

化粧は本の少しする程度。


「まぁ、あんた地はそれなりにいいんだから少し気配る程度でいいのよ」

「・・・うん、わかった」

「はい、出来た」


お姉ちゃんはあたしの肩をぽんと叩いた。

あたしは目の前の鏡を見ると、驚いてしまった。


「え、何これ」

「似合ってんじゃない、この髪型」

「あ、ありがとう」


お姉ちゃんは少し誇らしげにしてる。

あたしの髪はお姉ちゃんにいじられたおかげで

みつあみチックになってる。


「愛梨、これあげる」

「これ時計?」

「あたしが高校生の時に使ってたやつ」


文字盤が薄いピンクで小さい腕時計。

お姉ちゃんはそれをあたしの左腕に巻いた。


「これね、あたしが経験したこと何もかも知ってるの」

「何もかも?」

「そう、初めて付き合った人のこととか、友達と喧嘩した時のこととか」

「・・・」

「ふと辛くなった時にこの時計を見るとね、この銀色の針は止まることはない」

「そりゃ時計だからね」

「・・・このまま時が止まればいいのに、そうすれば辛いことも何もかも今この時だけなのにって何度も思った」

「・・・」

「けど、それは通用しないのよ。それを思い知らされるの、この時計を見るとね」


お姉ちゃんは何処か寂しそうにして

あたしの部屋を出て行った。


時計は時を刻み続ける。

止まることなく、勿論戻ることもなく。

例え何があってもこの時計を見て、前に進めるように。









「愛梨ちゃん、おはよう」

「お、おはよう」


流はメール通り8時15分に家に来た。

嬉しそうにニコニコして、何かまぶしいんだけどっ


「流くん、うちの妹のことよろしくね?」

「あ、はい」

「お、お姉ちゃん中入ってよ!」

「うるさいわねー、少しくらいいいじゃんね、流くん」

「・・・はは」


お姉ちゃんはニヤニヤしてる。

あたしは流はそのまま学校にいくことにした。


「やっぱり流くんどっかで見たことあるわ」


お姉ちゃんの呟きも知らずに。


歩き始めて数分、会話がなくて困る。

何か話しかけたほうがいいんだろうけど、何も出てこない。


「・・・愛梨ちゃん、今日お昼は?」

「お昼?あ、渡部先生に奢ってもらう約束してる」

「そっか、一緒に食べてもいい?」

「・・・!」


そ、そうだよ、これも普通なのよ愛梨!

このくらいでドキドキしてどうするのよ!


「う、うん。勿論いいよ」

「ん、よかった」


いつもニコニコの流、

本当に嬉しそう。


あれ、でもそういえば


「ね、流」

「ん?どうかした?」

「え、いや、えっと・・・」


頬が暑い。

言いたいような言いたくないような

恥ずかしくて言葉が出てこない。

右手が宙に浮いてる。


「あ、手?」

「・・・!」

「昨日緊張してたみたいだから、無理強いはしたくないし」

「え、あ、そっか」

「繋ぎたかった?」

「そ、そんなことないわよ!!」


とは言ってみたものの。

繋ぎたかったのが正直なとこなのかも。


「無理することないよ、愛梨ちゃん。ゆっくりでいいって言ったよね?」

「う、うん」


流はそう言って隣りを歩いている。

手は繋いでないけど、ぴったり横に。


「あ、愛梨ちゃん」

「な、何?」

「髪型いつもと違うね」

「これ、お姉ちゃんがやってくれて・・・」

「そうなんだ、可愛い」


流のおっきい手が頭に触れた。

こ、これは撫でてるってこと!?

しかも可愛いって・・・












お姉ちゃん、真之介さん

あたしは登校中だけでも既に白旗です。

どうしよう、流はきっと天然なんだ。

可愛いってすんなり言えちゃう男の人ってどうなの?

もう心臓バクバクだし、何言えばいいかわかんないし、

どうすればいいのよ!!!!!!!

助けてお姉ちゃん!!!!!!!!!

ゆチャンです、どうも。

何か1話からして加速気味な愛梨ちゃん。

流くんは常にニコニコな子(の予定)

これからが愛梨ちゃんにとって大変ですww


メールフォーム

http://www.formzu.net/fgen.ex?ID=P83852656

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