051:「……え?」
「ただいま〜っと」
腕輪の力を使って集落の天幕へ帰還したデレピグレオが疲労を取っ払うかのように肩を回す。本来であれば転移の腕輪の力は決まった場所にしか飛ぶ事が出来なかったのだが、転移先にも融通が利くようになり、今では頭に思い描くだけでそこへ転移する事が可能となった。
(地味に有難いな、やっぱ)
効果の幅が改善された腕輪に感謝する。
「クルックゥ!」
バサッと背丈に対して大きな翼を広げた梟が止まり木から、帰還した主人の肩へと飛び移る。
「ああ、久し振りだな、オウル。いつもここを護ってくれて助かるよ」
「クルゥ」
「それと帰って早々ですまんが、これと同じ服を出してくれるか?」
「クルックゥ」
オウルが翼の片方を広げて風を生み出す。それは緑の線で描かれる視認可能なものであった。デレピグレオが掌を広げると風はそっとその上で収束し、次の瞬間にはパアッと弾けた緑の煌めきが、デレピグレオの望んだ物へと姿を織り成す。今デレピグレオが身に纏っている衣服と全く同じものだ。
これが転移先を自分の天幕にと選んだ理由である。
(少し焦げちまったからな。皆に気付かれて「同じ手に三回も引っかかっちゃいました」なんてボロを出さないよう証拠隠滅しとかないと。やっぱ族長としての威厳をある程度は保っておかないと不安だし)
特に野心値の高いプティッチとリデスカーザの前でみっともない姿を晒すのは危険だ。
何せ幹部の中でもあの二人だけは忠誠心と呼ばれるパラメータが最大値に達していない為、他の者らと違って離反イベントの可能性が残っている。これは製作者であるプレイヤーの支配下から独立するというプレイヤー泣かしのイベントで、これを宥める事が出来なければ育て上げてきたNPCが一族から離れていってしまうのだ。
ここまで手塩をかけて成長させてきた二人の手綱を放すのはデレピグレオにとっても望まぬ事。ゲーム時と違ってパラメータが視認出来ない今、迂闊な事は極力避けるべきである。
デレピグレオは取り出した服へとさっと着替えて、着ていた服をオウルのインベントリにしまってもらう。焦げた衣服の修繕についてはまた時間のある時でも良いだろう。
デレピグレオは身嗜みをチェックした後、集落の様子を確認すべく外へ出た。
「あ、兄様!」
するとすぐそこにはクルティが立っていた。デレピグレオに気付き、トタトタと駆け足で寄ってくる。
「ただいま、クルティ。元気にしてたか?」
「えっと、はい! ……じゃなくて、兄様、姉様が――!」
「ん? どうしたんだそんなに慌てて。リザがどうかしたの――」
「族長殿!」
「おう、フィットマン。俺のいない間、集落の管理ご苦労だったな。何も変わりなかったか?」
「あー、おそらく族長殿が気にしている様な事は何もなかったんだが……」
「どうしたんだ? そんな苦虫を噛み潰したような顔して」
「いや、それがだな族長殿。あまり驚かないで聞いてほしいんだが……戦士長殿が――」
「リザが? そういえばクルティも何か言いかけてたな。リザがどうしたって?」
「姉様が……姉様が行方不明になっちゃったんです!」
「…………………………え?」
どうも皆様、桜兎です。
いつも応援いただきありがとうございます。
「古代文明人の生き残り」第2章……いかがでしたでしょうか?
本来であれば第1章の幕とすべき主人公の活躍を他のキャラクターへ譲ってしまった為、今回は何とかデレピグレオを活躍させねば……! と、意気込んでみたものの、しばしば他のキャラに目移りする事があったりなかったり……。
まあ、結果的にはちゃんとデレピグレオさんも頑張ってくれたのではと思います。多分。
デレピグレオ不足に陥ってしまっている有難い稀有な方がいらっしゃれば申し訳ない。また次の機会にという事で。
さて、次からは第3章へと移行しますが、更新までは暫しお時間をくださいませ。なるべく早めに更新をと考えておりますが、こたつの季節は指が凍えて機能しにくくなる故……。
皆様もお体を大切にお過ごしください。
暇があればレビュー・評価・ブックマーク・感想等いただけると幸いです。
また、もしもこの素人作品にイラスト提供していただけるようなサンタさんがいれば枕元で常にお待ちしております!
……願望入っちゃいました。すいません笑
それでは第3章更新まで今暫くお待ちくださいませ。




