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僕には分かる

作者: 白萩アキラ

曇った窓には映らない

僕には分かる

曇った窓では分からない

しかし分かる

僕には分かる

外には雨だということを

僕には分かる

この空気の生ぬるさ

僕には分かる

足を踏んだ誰かに悪意がないことを

僕には分かる

圧する人の冷たさを

僕には分かる

濡れた肩に掛かる長い髪

僕には分かる

隣で読まれた記事の意味

僕には分かる

視線を反らせるその仕草

僕には分かる

しかめっ面に息ひそむ

僕には分かる

誰に電話しているかも見当がつく

僕には分かる

アナウンスと騒がしい沈黙を

僕には分かる

呟かれた静かな喧騒を

僕には分かる

曇った窓には映らない

僕には分かる

曇った窓では分からない

しかし分かる

僕には分かる

自分は分からないということを

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