~暗殺なんて聞いてない!~
拙い作品ですがよろしくお願いします。
僕は更科康太。普通の中学生であり、受験生。
母親と妹の3人暮らしをしていた。
・・・今日までは。
「ただいまー・・・!」
学校から帰ってくると、出かける時には片付いてた部屋がゴチャゴチャになっていた。
テーブルの上には
『ダーリンと新しい生活をはじめまぁす♡
しばらく戻らないけどさみしいからって探さないでね?ぜーったいだよ? ママより♡』
という書き置きがあった。
「・・・またあの人は」
僕の母親はいわゆる育児放棄者だ。
今回みたいに書き置きをして、男のところで外泊をして、捨てられたらこの家に戻ってくる。
家に戻ってきたら僕や、小学生の妹・・・莉々奈に暴力を振るう。
それを何回も繰り返している。
「ただいまー!あ、お兄ちゃん!お母さんは?」
「おかえり。お母さんは・・・また旅行に行っちゃったよ」
「そっかー、また田中さんのところに遊びに行くの?」
僕らには親戚がいない。両親がお互いひとりっ子だった上に父親は交通事故、両方の祖父母も病気で亡くなっている。
残っているのは母親だけだったが・・・
「そうだね。とりあえず、田中さんのところへ行こう」
田中さんは向かいにある田中ベーカリーをやってる夫婦だ。優しい人達で母親がいないときはお世話になっている。僕はたまにお手伝いをして、お駄賃を貰ったりしてる。
「こんにちはー、田中さんいますか?」
「あら!康太くん、どうしたの?・・・また?中で話しましょう?」
兄妹で田中ベーカリーに行くと、すぐに奥さんが出てきてくれた。察してくれたらしいが、中に入り、夫婦に事の次第を話す。
「・・・なので、また莉々奈の事をお願いしてもよろしいですか?」
「ええ、大丈夫。けれど康太くんはどうするの?」
「国立の全寮制の高校があるみたいなのでそこに行きます。」
多分あの母親の書き方からしてしばらく帰ってこないだろう。それなら、あの家を売って、妹の将来の資金にして貰った方がいい。問題の高校も国の方から幾らかお金を支援してくれるみたいなので、今まで貯めていたお金でなんとかなる。なにより・・・
「なにより、早くあの人から離れたいですから」
「・・・そう。無茶はダメだからね?」
「・・・男前になったな、康太。莉々奈ちゃんの事は任せておけ。」
そういってくれた田中夫妻に安心した。
ここ以外に安心して莉々奈を任せられる所はない。
「ありがとう・・・ございます」
僕は頭を下げる。色々迷惑をかけているのに、優しく包んでくれる2人に感謝する。
「お兄ちゃん、どこか行っちゃうの?」
「うん、お勉強をするためにちょっと離れなきゃいけないんだ」
莉々奈も雰囲気を察したのか、不安げな目で見つめてくる。そんな莉々奈の頭を撫でながら、
「莉々奈がお姉さんになったら、戻ってくるよ。だから、いい子にしてるんだよ?」
「・・・わかった。」
渋々と頷いた莉々奈に微笑みかけ、
「では、田中さん莉々奈の荷物を持ってきますね」
「分かったわ。部屋はいつものところを使ってちょうだい」
田中さんと一緒に家にいき、莉々奈の荷物だけを運んでいく。
あっという間に莉々奈の引っ越しは終わった。
「それでは莉々奈のことお願いします。」
「もちろんよ。康太くん、受験勉強頑張ってね」
ファイト!っといいながら奥さんが帰っていった。
「・・・さて、勉強しますか」
その数ヶ月後、僕は無事に高校へ入学することが決定した。
書き溜めがなくなるまでは毎日更新です。