キサラギ駅ノ怪-1
僕は死んだ、殺された。
世界に、国に、街に、学校に、家庭に────────────────────────────────────────────君に。
だから、復讐しよう。
虚蟬のような僕の心は今日、爆発した。
冬、それも真冬だ。
そんな季節のある日の夕方、鬼木咲空と、その友人である春雨昌と鳳鈴芽の三人は、田畑が広がる細い道を、歩いていた。映画館からの帰りのことだった。
「いやー、面白かったねぇ」
「そうか? 最恐ホラー語ってるわりにはたいしたこと無かったと思うけど」
鳳は超がつく怖がりなのでまともな意見にはならないとしても、そこまでホラー的な面白さを感じることは、鬼木にはできなかった。
ただ気持ち悪いだけだ。
例えば、貞子のように人の容姿でありながら人ではない幽霊タイプのホラーなら、鬼木でも驚くことくらいは出来るだろう。
しかし、今回観た映画の場合、どちらかというとモンスター系、もしくは異世界に迷い込むような(この場合異世界というのはファンタジー世界ではなく誰もいない世界やルールの違う世界のこと)内容だったので、つまらないと、そう思ったのだった。
つまり、現実離れがすぎるということだ。
一番怖いのは人間だと、この少年はしっていた。
「まあ、暇つぶしにはちょうど良かったよ」
その程度の感想しか、浮かばない。
つまらない。
つまらない事ばかりにイラついて、怒って、そんなんだから…………。
「…………!?」
ふと聴こえた音に、違和感を感じる。なにか、場違いな感がある、その音は……。
「あそこ」
鳳が指をさしたその先には、これもまた場違いな、普通なら神社などに植えられるような、大木だった。
どうやらそこから、違和感の元である音が、聴こえているようだ。
三人は、木に近づく。近づくにつれ、音も近づいてく。
「あ……」
そして、その音が一体なんの音だったのか、はっきりとわかった。
ミーンミンミンミンミーン……
「蝉の鳴く音だったのか……」
春雨が呟いた。しかし、
「いや、」
鬼木が訂正する。
「見ろよ、これ」
木の幹に、なにかが張り付いている?
どうやらそれが、音の正体らしい。
「いやだから、蝉だろ?」
「違うよ、これは……」
鳳が、何かに気づいたように、顔を青くしていった。
「蝉の抜け殻、だよ」




