表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/22

エピローグ

 それからのことは、あまり書くほどのこともない。


 エルクは無事に送還魔法陣を完成させ、あたしと兄夫妻、双子の甥っこと姪っ子を元の世界に送り届けてくれた。

 もちろん別れの前に、たくさんの人たちにたくさんのありがとうとさようならを伝え、あふれる涙は抑えられなかったけれど、最後は笑顔で別れられた……と思う。


 そうして戻ってきた場所は例の廃村の近くらしく、兄ちゃんの車を止めたはずの場所にまで戻ると、あたしたちの写真が貼られた看板があった。


『この人たちについての手掛かりを探しています。知っている方は下記の番号もしくは○○警察署までご連絡ください!』


 うっわぁ……そうか、あたしたち二カ月以上も「神隠し」に遭ってたんだっけ。


 それから実家に連絡して、ついでに警察にも行ったけど、どう事情を説明していいやらわからなかったので、あたしたちは「なにも覚えていない」ということで口裏を合わせることにした。


 まあ、それからはお定まりのマスコミ報道。


「現代の神隠し? 天狗伝説の残る廃村で神隠しから戻った兄夫婦と妹の謎!」


 そんな感じで一時は新聞記者、雑誌記者、テレビ局だのが大挙して押し寄せてきた。

 けれどもう徹底して「なにも覚えてない」「記憶が曖昧でわからない」で通したら、そのうちに別の事件や芸能人のスキャンダルが起こり、世間の興味はそちらに流れていった。

 いまは至って平和なものだ。


「いいよいいよ、久雄に晴ちゃん、それになんとまあ、双子の赤ん坊まで無事に戻ってきてくれたんだ。それ以上望むことは母ちゃんなんにもないよ。あ、百合花もね」


 おーい、なんかついでみたいに言ってませんか。


 両親にも相当心配かけたみたいで申し訳なかったけど、二人とも事の真相については敢えて聞かないようにしてくれた。

 兄ちゃんも無事に職場復帰できたし、晴ちゃんは母さんと二人、双子の世話で大忙しだ。


 そしてあたしはというと───


 はい、派遣登録抹消されてました。うああああああ。


 で、求人もあちこち回ってはみたんだけど、やっぱり厳しくて。

 それでも親戚のおじさんのつてを頼って、実家の隣町の小さな会社に就職することができた。

 かくして都会の荒波に敗れた小娘は、地方の安アパートに居を構え、どうにか暮らしている。

 休日ともなると実家から呼び出されて畑やハウスの手伝いだ。


「百合花ちゃん、悪いわねえ」

「大丈夫、晴ちゃんはまだ休んでてよ。子育て大変なんだからさ」


 ハウスの中は育ちかけのキュウリの苗が並んでいる。

 セルフォードの国営農場ほどじゃないけど、今年は作物の育ちがいいと母さんが喜んでいた。苗にぶら下がってるキュウリももうかなり成長してる。


 あたしはハウスの土に親指をぐいとねじ込んでみる。


 あれほどすさまじい地脈の活性化を生みだした晴ちゃんは、もうすっかりあの力を失ったみたいだけど、実はあたしはほんの少しだけど、地脈を感じ取れるようになっていた。


 異世界のお城、農業魔法、金髪の王子さま。

 振りかえれば何もかもが夢みたいに思いだされるけれど、あの体験は夢じゃない。


 そのことは右手の中指でいまも光る指輪と、あたしのこの「緑の指」が覚えている。



 おわり

これにて本編は終了です。読んで下さった方、本当にありがとうございます。

「チート能力もなく、目的もなく召喚された女の子が元の世界に戻るまで」という、ただそれだけのお話でも、意外とどうにかなるものです(笑)

まあお話の都合上、まったく無力と言うわけにはいきませんでしたが。

作者的にお気に入りのキャラはミミアです。主役級の二人が恋愛体質からほど遠いため、この娘はそっちの方面でがんばってくれました。

けっこう、純情乙女な娘です。ただ、意中の人がこれまた朴念仁っぽい……がんばれミミア(笑)


それではあと一回だけ、番外編をお送りします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ