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名無しの物語  作者: こめ
8/34

第八話 竜の目





グォォォォォオオオオオオオオオ・・・・・・・・・・・・





奴が起き上がった。緩慢な動作で。


「ちぃっ・・・!」

「・・・・・・。」


野々香が無言でしがみついてくる。気持ちは解る。いくら規格外とはいえ、腹のど真ん中に突き刺したのに、・・・まだ起き上がるとは。少なくとも無問題と言う事は無いはずだが・・・。



グゥウゥゥゥゥゥゥ・・・



恨みがましそうにこちらを睨む。と、突然。


ガアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!!!


吼えた。と同時に一直線にこちらへと突っ込んで!


「くっ・・・!!」

「きゃっ!?」


野々香を思い切り突き飛ばす。もう、目の前に、赤竜が。


「うああああああああっ!」






ドゴオオオオオォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオン・・・・・








凄まじい音と、とんでもない衝撃。そして、自分の体が砕ける音。正直、ああコリャいくらなんでも死んだなぁ、と思った。・・・はぁ。また、野々香を泣かせちまうなぁ・・・・・・。








そこで、意識は、途切れた。




















・・・・・・・・・暗い。




・・・・・・・・・真っ暗だ。自分以外は誰も居ない。




時間の感覚も無い。自分がどっちを向いてるのかもワカラナイ。




ああ。これが、死。




思ったよりも寒い。


思ったよりも虚無。


・・・思っていたよりもずっと孤独。




別に天国に行きたいとは思っちゃいなかったが、・・・地獄って感じでも無い。




案外皆こんな感じなのかも。




それにしても・・・寒い。寒すぎる。




・・・・・・・・・・・・・・ん?




なんか左手だけ、妙に暖かいような・・・・・・










・・・・・・・・・最初に目に入ったのは木で作られた天井だった。




「・・・?ここは・・・?」



周りを確認する。時間帯は夜。どうも自分はベッドに寝かしつけられている。体は包帯だらけ。ベッドの隣に・・・両手で俺の左手を握り締めた、野々香が眠っていた。



「・・・そっか。」



右手でゆっくり頭を撫でる。よく見ると、目の周りが真っ赤だ。やっぱり、泣かせてしまった。と、あることに気づいた。



「体・・・なんとも、無い?」



そんなはずは無い。あまり思い出したくは無いが、確かに俺の体は致命傷と言っていいほどのダメージを受けた。ちょっとやそっとで直るはずが無い。



「どうなってんだ・・・?」



少しの間思案していると、部屋のドアがぎぃ、と静かに開いた。



「おや。目が覚めたのか?」



入ってきたの細身の男だった。三十歳位だろうか。ん?・・・耳が、長い。十センチ程だろうか。・・・まあ今更その位では驚かないが。



「事情はだいたい妹さんから聞いているよ。・・・もう、動いて大丈夫なのかい?」

「え。あ、まあ。なんとか。」



ベッドから起き上がる。が、左手が強く握られたままだ。



「眠っちゃってるね。無理も無い。ほとんど寝ずに君の看病をしていたからね。」

「え?・・・そうだったんですか。」

「ああ。そのまま寝かせてあげると良い。君とは、少し話をしたいんだが、いいかな?」

「・・・はい。わかりました。」



野々香を抱き上げてベッドに寝かせる。強く握っている指を、一本一本ゆっくりと外す。



「ん・・・。おにい、ちゃん・・・。」

「・・・ありがとな。俺はもう大丈夫だから、・・・ゆっくりおやすみ。」

「んぅ・・・・・・すぅ。」



指を外し終え、軽く頭をなでる。少しくすぐったそうにしたが、起きる気配は無い。



「コーヒーでいいかな?」

「あ、ハイ。今行きます。」



いつの間にかいなくなっていた男が隣部屋から声をかける。・・・色々と聞かねばならない。




隣部屋に入ると、木で作られたテーブルの上に、コーヒーが入ったコップが二つ。男はテーブルの向こう側に座っていた。



「どうぞ。座って。」

「・・・すいません。あー、まず。・・・助けて頂いてありがとうございます。」

「ん?いや、どういたしまして。それにしても大変だったね。竜の巣に落っこちるなんて。」

「ええ、まあ。・・・あの、二、三お伺いしたいことがあるんですが。」

「なんだい?私に答えられる事なら答えてあげよう。」

「あの〜。ここ、どこなんですかね?」

「・・・・・・。」



男はきょとん、としている。・・・質問がストレート過ぎたか。



「あの、え〜っと、ですね。」

「・・・ふむ。どうやら妹さんの言っていたことは本当みたいだね。」

「へ?どういことです?」

「君達が妙な布に包まれて気がついたら竜の巣だった、って話だよ。」

「!何か、知ってるんですか!?」

「いや、残念ながら。そういうものに関しては門外漢でね。」

「・・・そうですか。」



できるなら一刻も早く戻った方が良い。もしやと思ったが、そう簡単にはいかないか・・・。



「すまないね。力になれなくて。」

「いえ、とんでもないです。あ、それから・・・僕はどのくらい眠ってたんですかね?」

「ほぼ二日、だね。見つけたときは凄かったんだけどねぇ。とてもじゃないけど助かるとは思えなかったけど。」

「やっぱり。・・・でも、じゃあなんで・・・。」

「ああ、それはね、たぶん・・・あ、とりあえずコーヒー飲んでみな。」

「は?はぁ・・・。」



コップに手を伸ばし、掴む。と、


パリィン


「へ??って熱っつ!?」



コップを握りつぶしてしまった。普通に掴んだだけなのに。



「う〜ん。やっぱりね。」

「え?え??どういうことなんですか!?」




男に詰め寄る。すると、実にあっさりと答えた。







「君は、竜の目を手に入れたのさ。」






初めましてこんにちは。こめです。いきなりの強敵からなんとか逃げ切り、トウマは力を手にしました。これがどんな能力なのかは次話説明しますが、物語はいよいよファンタズィー(笑)の大海原へ!!・・・何とか頑張って執筆していきますゆえ、ご意見、ご感想お待ちしてます。

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