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名無しの物語  作者: こめ
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第四話 異世界

   


     ・・・・・ォォォォォオオオオオオオオオォォォォォ・・・・・・




                音が。聞こえる。


            叫び声のような。地鳴りのような。


            その音が、あまりにもうるさくて。


                目が、覚めた。






「ぐ・・・う。・・・あ?・・・。」


最初に見えたのは岩だった。巨大な、硬そうな岩。そして、自分の腕の中にある、やわらかくて、暖かい・・・


「あ、おい、野々香!しっかりしろ!」

「・・・・・・・。」


返事は無い。慌てて口元に耳を近づける。・・・息はある。他に目立った外傷も無い。一先ずは安心だ。とりあえずは野々香を地面に寝かせ、現状の把握に努める。


「・・・なんだ?此処は・・・。」


周囲を見渡した限りでは、ここは洞窟、のようだった。周りは頑丈そうな岩壁に囲まれている。天井部分はポッカリと穴があいて、光が差し込んでいる。・・・今は昼なのだろうか。と言うか、なぜ自分達はこんな所に・・・。


「あ、そうか。あの布に吸い込まれた・・・のか?」


遠くで野々香の悲鳴が聞こえて、急いで駆けつけてみたら・・・野々香があの黒い布に吸い込まれそうになっていた。何とかして引っ張り出そうとしたが、自分も巻き込まれて・・・


「んな、馬鹿な。」


思わずそう口にする。骨董屋で貰った布に吸い込まれてワープしました、なんていくらなんでもあまりにも非現実的だ。だが、そうとでも考えなければ今の状態に説明が付かない。


「とりあえず・・・今は此処から出る事を考えるべきか・・・。」


ざっと見てみた限りでは、壁の部分に穴はあいていない。開いているのは天上部分だけだ。つまり、


「どうにかしてあそこから出なきゃならない、って事か。」


が、正直かなり厳しい状況であった。洞窟の内側は丁度お椀をひっくり返したような形になっており、その真ん中辺りに穴があるため、上るのはかなりの体力を必要とするだろう。トウマだけならまだしも、野々香にはおそらく不可能な作業だ。


「どうしたもんかなぁ・・・。」


外にロープの代わりになる様な物でもあればいいのだが、此処がどこだかもわからない以上、下手に外に出るのも危険に思われた。と、あれこれと考えていた時だった。


「う・・・おにい、ちゃん・・・?」

「野々香?目が覚めたのか?」


トウマが目をやると、野々香はむっくりと身を起こしていた。


「大丈夫か?どこか、痛む所はないか?」

「うん。とりあえず大丈夫みたい。・・・え?・・・ここ、どこ?」

「わからん。家じゃないのは確かみたいだけどな。」


あらためて周りを見渡す。やはり、天井以外に脱出口はなさそうだった。


「あ〜ホントまいったなぁ。どーやって外に出よう。」

「・・・・・・・・・。」

「?・・・どうした?野々香。」

「・・・うん。何か、さ。変な音、聞こえない?」

「変な音?」


耳を澄ましてみる。聞こえたのは、バッサバッサ、と言う感じの鳥の羽ばたき音ぐらいだ。


「鳥の羽ばたき位かな、聞こえるのは。」

「そう。それだよ。」

「は?どういう事だ?」

「うん。何て言うか・・・音が長すぎる気がしない?こう、バァッサ、バァッサ。みたいな。」


言われてみれば、確かに鳥にしては羽ばたきが重い。まるで、何かもっと巨大な物を無理矢理空中に飛ばせているような、そんな音だ。と、



・・・・・・・・ォォォォオオオオオオオオオォォォォォォォォォオオン・・・・・・・



異質な音が、響いてきた。


「な、何!?」

「この音、さっきの・・・。」


そう。トウマが目覚めた時に響いていた音だ。が、先程より格段に大きくなっていた。


「あー。なんだろうな。なぜか物凄く嫌な予感がしてきた。」

「・・・怖い。怖いよ、お兄ちゃん・・・。」

「野々香・・・。」


野々香がぎゅっ・・・と背中にしがみついてきた。こうなっては兄としては、何があろうと妹を守らねばならない。野々香の頭に手を置き、優しくなでる。


「あ・・・。」

「大丈夫だ。」

「・・・お兄ちゃん・・・。」

「心配するな。お兄ちゃんが何とかしてやるさ。」


正直な所、その言葉に根拠などなかった。直感的に、何か今まで体験した事も無いようなヤバいモノが来る様な気がしていた。が、妹が震えているのだ。なんとか踏ん張ってどうにかしなければならない。・・・あの時のように。


羽音は、ますます大きくなっていく。十中八九、何かが近づいている。どんどんと。


・・・そして。




キュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!




ソレは姿を現した。


咆哮。そう咆哮だ。ここに来てようやく、あの音はコイツが叫んでいたのだと気付く。だが。


「なんだよ・・・こいつ・・・。」


余りにも異常だった。馬鹿みたいに真っ赤な色をした・・・


「ド・・・ドラ、ゴン・・・?」




おとぎ話に出てくるような。


真紅の巨竜が。


おおきなはねで。


舞い降りて来ていた・・・。





どうも。こめです。え〜、いきなり急展開。こんな読者様を無視して突っ走って良いんでしょうか(汗)。

そしていきなりファンタジーの王様ドラゴン登場。魔法もない。伝説の剣もない。極めて一般人。どうしろと(滝汗)。えー、どうにかします(苦笑)。まだまだ突っ走る予定なので、どうか見捨てないでやってください・・・ね?

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