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名無しの物語  作者: こめ
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第三十一話・決勝戦、決着。

 実況を含めた恐らく葉山以外の全員がその奇行に注目し、そのうちの何人かは溜息を漏らしていた。


 今、彼が己に装着している漆黒の鎧は自身が兵器開発部を脅して作らせたというのはあながち間違ってはいない。間違ってはいないはずなのだが、人間というものは強い物への憧れというものをいつの年になっても忘れられることは出来ないらしく、最初は兵器開発部のある一部を使っての開発だったのだがいつしかその計画は兵器開発部全体を巻き込んでの一大プロジェクトに膨らんでいたのだ。


 つまり、今葉山巧自身は文字通り「歩く機密情報」であり「歩く武器庫」といってしまっても決して過小評価などではないほど危険きわまりないものを身に纏っているということになるのである。しかもよりにもよって一国の主たる王の許可を取っていない「歩く不許可武装」というおまけ付だ。


 そしてその姿はこの国の守護者といわれている竜をモチーフとしているらしく頭部を丸々覆い尽くしている形はそのまま竜の顎を象っていた。

 その、漆黒の竜がのそりとその双眸をヨシュアへと向ける。

 俊敏さのかけらも無く、下手をすれば己の自重で倒れてしまうのではないかと思わせるほどの重量感を伴わせた鈍さ。

 それを見て、失笑する声さえ会場からはもれ聞こえてくる。

 明らかに失敗作。誰の眼から見てもそう捉えられていた。



 兵器開発部の者たちを除いて。



 だが、誰が予想できるだろうか、その鈍重な動きから一転、漆黒の竜がまさか一陣の風と成って武舞台を舞うことが出来るなどと。

「な…!」

 余りの変化に思わず眼を剥くヨシュア。

 気が付くと彼は十数歩ほど離れた先にいたはずの葉山にいとも容易く懐不覚へと潜り込まれていた。


 とっさに後ろへと飛び退き距離を開けようと試みる。そうすれば最悪攻撃がヒットしてしまっても幾分かはバックステップの勢いでダメージを殺すことが出来る。そう、彼の長年の経験と勘は状況を判断した。

 確かに、今までの相手であればそれで容易く回避し反撃へと移る糸口を掴むことが出来る。





 ――いや、「できる」はずだった。




 しかし、ヨシュアの右足は己の予想通りにバックステップを踏むどころか武舞台の石畳から離れることすらしなかった。

「―っ!」

 深々と、漆黒の鎧に包まれた腕が彼の腹を捉えていた。

 左足を体が半身になってしまうほど大きく踏み込み、その勢いをそのままに漆黒の竜の左腕は彼の左脇腹―肝臓の辺りを深々と抉っていた。

 今までに食らったことの無い衝撃に痛みが体中を駆け巡り、その上肺からは勝手に酸素が吐きだされて体から力が抜け落ちる。


「――もらった」


 冷たく、刃よりも鋭い言葉が先の一撃により大きく背中をくの字に曲げているヨシュアの両の眼が顔面に向かって放たれる一撃を捉えた。

 第二間接までをしっかりと握りこんだ右掌の打ち上げ―――俗に言うところの掌底と呼ばれる手の平の腹と呼ばれる皮の厚くなっている部分を使った打撃はしっかりと顎を捉え、あまつさえ一瞬とはいえ彼の体を注に浮かせてしまう程の威力を見せた。

 打ち上げた余韻に浸る間も無くその体をすぐに戻し、一瞬のためを作った後に宙に浮きいまだに無防備なヨシュアの腹めがけて止めとばかりに前蹴りを叩き込む。

 


それは、最初から分かりきっていた攻防だったのだ。

眼に見えぬ速さで動く物体に対して眼で見てからの防御など遅すぎる。言ってしまえばジャンケンで既に相手に自分の出す手をあらかじめ教えてしまっているような――いや、有無を言わさずに決められた手を出すように仕向けられたようなモノだ。


 浮いた体は二、三歩分後退をして石畳の上に仰向けに倒れこんだ。その上に余りの速さについていけず、鎧から外れてしまった真っ赤なマントが覆いかぶさった。

 竜はそんな彼を見向きもせず次の獲物――、一連の戦闘を見ていたトウマへとその牙を向ける。


 トウマも先の攻めを見て印象を変えたのか、しっかりと葉山の方へと向き直りその両の瞳には闘志の炎を滾らせていた。





 一瞬、両者の視線が交錯する。




 まるでそれがお互いに申し合わせた合図でもあったかのように、己の足場を踏み砕かんばかりの勢いでの急発進。

 二人の間にあった優に二十歩はあろうかという石畳の距離は一瞬で無くなり、それどころか拳を突き出せば当たってしまうほどの超近距離にまで詰め寄っていた。



 先手を打った葉山の拳がトウマの鼻先を掠める。

 その拳をわずかに体を反らすことで辛うじて交わし、逆にその腕を掴み投げ込もうとするが残った葉山の返す刀で叩き落される。

 その叩き落された反動そのままに円を描くような軌道で、葉山へと変形型の後ろ回し蹴りを叩き込むが、予想以上の鎧の強固さによって渾身の一撃とはほど多い結果に終わってしまった。

 そのうち終わりを狙ったかのような足払いをトウマは先に放った足で踏みつけて無理矢理に防御し、そのまま右拳を突き出すが出所を葉山の掌が捉えて不発にさせる。



「――っち」どちらとも無く舌打ちをする音が聞こえた。

 すぐにお互いが距離をとり構えを取る。

 いつの間にか、実況も、歓声も何も無くなっていた。

 ただあるのは、二人の間に流れる濃密な沈黙の時間のみ。

 その場を立ち上がる観客はおろか、瞬きすらする者すらいない。

 その瞬きの、たった一秒の何分の一かもしれないその時間すらこの二人が攻防を繰り広げるのには十分すぎる時間なのだ。



 二人の間にだけあった張り詰めていた空気が会場全体に伝染したかのような。

 王族観戦席にいたクレアをはじめとする王族も、また多くの戦士たちを鍛え上げてきていた強面の近衛隊隊長ですらも、ただの一言も、瞬きひとつ、つばを飲むことすらできずに、呼吸すら忘れたかのように呆然と様子を見ていた。



 二人の距離はおよそ七、八歩ほど。


「驚いたな」


 向かい合ったまま緊張を解かずにトウマがポツリと漏らした。

 以前に一度二人は本気の喧嘩をしたことがあった。

 それは年相応の力で力をねじ伏せるだけの言ってしまえば子供らしい、じゃれあいの延長上のようなものだったのだが、今のこれはそんなものとは既に次元を別にしてしまっているような。



 まさしく「攻防」と呼ぶにふさわしい。



「その変な鎧のおかげか?」


 明らかに動きが変化したのは、その鎧を着てから。

 それまでは確かにすばやいことはすばやかったが、特筆するほどのことではなくあくまで一般人としてのすばやさだった。


「おう。量産する予定のプロトタイプだけどな。結構いいだろ?」


 顔をうかがい知ることは出来ないが―、既にお互いのことを良く見知っている二人にはそんなことは大した弊害ではなかった。

 トウマはいつもの仏頂面をしている。

 それでもお互い本心は笑っていた。


「あぁ、これで俺も―」


 瞬間トウマの姿が再び掻き消える。


「手加減する必要がなさそうだ!」再び現れた時には既に葉山の背後に位置取り篭手に覆われた右腕を思いきり叩きつけていた。

 数歩前に押し出された葉山に対してまるで槍のような鋭さと速さを伴った追撃の飛び蹴りが叩き込まれ、そのまま加速して吹き飛ぶ。


「おぉ!?」


 予想以上の追撃に痛みこそ無いものの驚く葉山。

 これに対して、石畳に片手を着き勢いをうまくいなし、体操選手のような身のこなしで難なく着地をしてみせる。


「ちっ相変わらずマジで容赦無いのなお前ってヤツは…」


 とんとんと、体の調子を整えるように数度跳ねながら文句をたれる葉山。


「けど、そのほうが俺たちらしいけど…な!」


 語尾を強めると同時に、トウマに向かって駆け出す。

 大きく振りかぶった右の打ち下ろし―これは難なく半歩のバックステップでかわされる。

 それを予想していたのかのように矢継ぎ早に繰り出される蹴り、拳、フェイント、グラップル(掴み)の応酬。

 そのこと如くが避けられ、叩き落され、跳ね除けられる。


「くそ、流石にもう見慣れたってか」


 葉山が小さく毒づく。いくら速さが常人の比ではないほどだとしても経験が無さ過ぎるのだ。

 トウマのように日々鍛錬を重ねて、しかもかかる火の粉を躊躇いもせずに振り払うだけの経験が彼には決定的に足りていなかった。

 素人から毛の生えた程度の技量しかない葉山では、いまだに全ての行動が正直すぎるのだ。

 肩の動き、息遣い、フットワーク・・・さらには重心の動かし方、全てが拙く、またその動きの全てがトウマに次の動作を教えてしまっているのだ。


「あぁ、もう俺には当たらないぞ」


 息一つ切らさずに応えるトウマ。


「そうかい、それなら―」


 勢いに任せて詰め寄っていた葉山の姿勢が沈み込み、右ひじを後ろに突き出させ、左手は右腰の辺りに何かを掴んでいるかのような。


「これでも喰らいな」


 瞬間、眼に見えない速さの何かがトウマの左脇腹から右肩にかけて一閃に疾った。

 速く、そして鋭いその何かはとっさにとっさに身を逸らしたトウマの服を切り裂き、皮を一枚持っていった。


「これも避けんのかよ!」


 葉山の左手に掴まれたそれは一振りの刃だった。

 青く晴れ渡った空から照りつける太陽の恵みの光をその曲線いっぱいに反射し、薄く、それでいて強く、貴族たちが喜んで取り付けるようなごてごてとした装飾品の類なども一切無いただの刃物。

 ただの刃物なのだが、その輝きには何故か神々しいまでの何かが放たれていた。


「お前、そんな物まで持ってたのか」


 切り裂かれた胸元に手を添えながら葉山が振りぬいたそれを見る。

 試合当初彼が使っていたものも相当なものだと思ったが、今彼が持っているそれと比べるなど無粋なものだろう。

 刀は素人のはずのトウマでも、それが業物と呼ばれるべきものだということはすぐに理解できた。


「あぁ、俺が口先だけで少将にあがったわけじゃないって見せてやるさ」


 口元にわずかな笑みを浮かべ、刀を腰溜めに構える。

 対するトウマは変わらず己の構えを取る。



「見てやる。やってみな?」


「ケッ、やっぱお前はかわらねーな」

 


そこに静寂は無い。



 軽口をたたきあう仲間だった彼らが、何の因果かお互いの命をやり取りする真剣の場へとその身を躍らせているというのに二人の顔には、まったく後悔の念が無い。

 軽く笑い、むしろそれすらを楽しんでいる節さえある。





 緊張感が最高のスパイス。





 全力で殴り合い、叩きあい潰しあう。





 ただ、それだけ。





 現代社会ではそれすら出来ないのだが。





 ここでは出来る。





 それだけで言えばここは理想郷なのかもしれない。








「いくぞ…」


どちらとも問わずに出てきた問いかけは、お互いの沈黙でもみ消される。

とんとんとん…と、軽くステップを踏んでいた葉山が突如トウマに向かって駆け出す。

 


葉山は試合の最初に見せた、居合い術らしき抜刀技法。



対するトウマはどっしりと腰をすえた正拳突きの構え。



神速の速さで振り抜かれる白刃と、地にしっかりと根をはり、自身の力の全てを込められた渾身の拳とがぶつかり合った。






 澄んでいて、そして鋭さを兼ねた金属音が高く鳴り響き、葉山とトウマはお互いの体が重なった状態で止まった。 

 砕かれた漆黒の鎧の腹部に深々と突き刺さった拳に支えられた葉山は、苦々しそうにその拳の持ち主を睨んだ。


「くそ、結局勝てなかったか…」


 苦笑いのままずるりとトウマに預けていた体を離そうとしてその体が急に固まる。


「おい…お前の連れはノノカちゃんにゆいっちとむいっちの三人だけじゃなかったのか?」


 のどから搾り出そうと震えるその声は今突き刺さっている拳の痛みなど忘れてしまっているかのようだった。






「ふふふふ、やっと気が付いてくれたかい?」


 いつの間に立ち上がったのか、葉山の背後――つまりトウマの目の前にはヨシュアが迫っていた。


 その顔はいまだにダメージが抜け切っていないようで、顔を痛みに歪めていた。


「ヨシュア――!」

「おっと今はそのままで聞くんだ。君の連れの周りにいるのは僕の部下たちだ…邪魔な護衛は排除させてもらったよ。」


 振り向こうとした葉山とトウマを制し、ヨシュアはそのまま言葉を続ける。


「言っただろう?君の本気が見てみたいと」


 ぽん、とトウマの肩に手を置く。

 たしかに君の新兵器にも驚きだったがね。と、葉山に言葉を送る。


 「――っ」


 言葉に出来ない呻きが二人からもれた。

 葉山は独断と偏見で勝手に命じていた部下たちの失態を。

 トウマはヨシュアのしつこさと、手際のよさに。


 「俺に、どうしろって言うんだ。」

「なに、簡単なことだよ?君のその力、思いっきり僕に見せてほしいんだよ。そう、君の右目の竜眼の力を。」

 「竜眼!?」


 余りの出来事に狼狽する葉山。

 葉山とて少将を務める身。この世界のある程度のことは日が浅いとはいえ知識として知っているのだろう。


 「あぁ、今すぐにでも使ってやれるよ、あんたを叩きのめすために」

 「いいねぇ、若いってのは。だけど勘違いしちゃいけない。僕に何かあるとしたら、それはそのまま君の連れの三人がどうなるかの保障すらできないということだけど…、それでいいのかな?」


 恐らく本気であろうトウマの脅しにも怯まず己の手にこの場の支配権があるということをことさら強調するように、ゆったりとした口調で二人に聞かせる。


「ちっ…」

「ふん、そこで俺を使うって訳か。…なるほどしっかりと竜眼の力を拝んだ後に密偵が怪我して捕らえられましたじゃ笑いの種にもならねぇわな」

「そういうこと。話が早くて助かるよ」


 肩に乗せられたままだったヨシュアの手から淡い光があふれ出し、葉山の体へと染み込むように消えていく。


「せめてもの情けさ、これで頑張ってくれたまえ」


 言い残しヨシュアはスタスタと舞台の外へと歩いていく。


「そうそう、今この会場には幻術がかけられていて、まだ君たちは互角の戦いを繰り広げているように見せられてるから不自然のないように頼むよ」


 とんっとヨシュアが武舞台を飛び降りた瞬間二人の耳元に大歓声が舞い戻ってきた。

 大地を鳴らすかのような歓声に負けじとばかりに張り上げられる実況席。

 そして、その熱狂の空気からぽつんと取り残されたかのような見知った顔のいる席。


「はぁ〜、しかたねぇな、トウマ一旦離れて竜眼使ってぶちかましてこい」


 諦めの境地とでも言いたそうに葉山は耳打ちをした。

 それに対して無言でうなずくトウマ。

 いち、に、さん!小さな、葉山のカウントに合わせて二人が飛びのく。


「どぉーしたぁ!早く本気出してみろ、トウマァー!」


掌を上にしてちょいちょいと親指を除く指を何度も曲げてみせる。

 その顔は脂汗でびっしょりだった。何せ先程の一撃ですらかなりヤバかったというのに、それを確実に上回る一撃が来るのである。俺、死ぬのかなぁとか割と本気で思っていた。


「今、・・・見せてやるよ。」


 明らかな挑発。

 それはトウマ自身に向かってというよりも、場の空気を冷やさないため、ひいては自分たちにおきたことを周りに悟らせないための演技。

 しかし、一人だけでは意味がない。この舞台は二人なのだ、片方が熱を上げてももう片方が冷えたままではいけない。

 ゆっくりと、右手を己の右目へと押し付ける。


「本気でいくぞ、死ぬなよ。」

「はっはっは、憎まれっ子世にはばかるってね、そう簡単に死にゃぁしねぇよ。」





トウマの体中の血液が沸騰する。




その血液を糧に動く体は地獄の炎にすら耐え




その瞳が射抜くものは喩え神に祝福されたものであろうとたちまちに焼き尽くし




その両の足が進んだ後には全てのものは焼き捨てられ、新たな道が切り開かれる。





「ったく、とんでもねぇもん身に付けて来やがって」


 ―どおりで、準決勝はあんな荒業が出来たはずだ。

 


ゆっくりとおろされた右手に隠されていた瞳は真っ赤に燃え盛る紅蓮の炎を思い起こさせる。



 吐く息はそれだけで発火してしまいそうなほど。



 その周囲は陽炎が立ち始め、既に別世界のような熱気を伴っていた。


「やれやれ、まさか伝説の竜眼の威力をこの身で体感することになるとはな」


 どよめく観客。

 だが、それすらも今の二人には程遠い世界のような気がした。


「さて、行きますか」

「…すまない」

「気にすんな、お前のためじゃない、野々香ちゃんのためだから」




 再び葉山は居合い術の構えを。

 トウマは舞台にしっかりと足を落ち着けた正拳の構えを。

 




最初に飛び出したのは葉山だった。

死を感じさせる目の前の竜眼使いに対して、自ら飛び込んでいく。



飛び込んだ瞬間に衝撃が襲う。



刀を振りぬくことすら、いや、相手の眼前に刀を出すことすら出来ずにカウンターを食らってしまった。



一発で鎧を砕いてしまった一撃を三度。

右腕、右足、左脇腹。



場外まで吹き飛ばされ、ようやく勢いが止まる。


しんとした空気が会場を支配した。


砕かれた鎧の各部分は融けだしていた。

 





『しょ、勝者ヒノ・ト…!!!』「そんなもんよりタンカだ!早くしろ!」




 やっと己の本分を思い出したのか審判が勝ち名乗りを上げようとするもトウマにさえぎられてしまう。

 一番に駆け寄ったトウマは、担架を待っていられず葉山を自分の背に乗せてようとするが。その手を葉山自身にはじかれてしまった。



「あぁ、くそ、思いっきりぶちかましやがってコノヤロウ…」



 壁に背を預けながらどうにか立ちあがるさまはみていて痛々しいばかりだった。



「葉山…」「何しけた面してんだよ優勝したんだからもう少し嬉しそうにしろ」



 無理矢理トウマの腕を掴み高々と上げる。

 それを見て取った観客席は大声で歓声を上げ、トウマと葉山、そしてその試合事態を称える拍手に場内は包み込まれた。

 遅れてきた担架が二人の前に到着すると、葉山は手伝ってもらいながらどうにか担架にのりそのまま会場を後にした。





 後には鳴り止まぬ拍手が葉山を送り出し、トウマはそれをただ見送っていた・・・。





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