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欲しがり妹パロ

掲載日:2026/05/21

間違っていたらすみません(> _ <)

「おねえさま、ずるいわ!」



 私の部屋の扉を開けるなり、妹は叫んだ。

 あまりの勢いに、私は問いかけることしかできなかった。



「ど……どうしたの? ココアメロン。何がずるいのですか?」


「ずるいわ! おねえさまばっかり! 私も欲しい~!」



 ココアメロン。

 私の可愛い妹。

 愛らしい仕草。人懐っこい笑顔。

 おねだりされると、つい何でも与えてしまいたくなる。

 甘やかしてはいけないと、わかっていてもつい。


 今日は何を欲しがるのだろうか。



「おねえさまのその髪飾り、新しく買ってきたのですか!? ずるいですわ! おねえさまばっかり!」



 妹が言っているのは、私が町で買ってきた髪飾りのことだ。質素だが、実用性の高さが気に入っている。

 まさか妹がこれを欲しがるなんて……。


 私は心を落ち着かせて、妹に声をかけようとした。



「あのね、ココアメロン、この髪飾りは……」


「なんだ。騒々しい」


「ココちゃん、どうかしたの?」



 見上げると父と母がいた。

 妹の声が聞こえたようだ。



「お父様! お母様! おねえさまばっかりずるいの! 私もあの髪飾りが欲しいの~!」



 妹は父と母に訴えた。



「まあ、ココちゃん。髪飾りなら新しく買ってあげるわ」


「そうだぞ。似合うものを探してやる」


「いやよ! いや! あれがいいの! 私もおねえさまの髪飾りが欲しい~!!」


「あらあら……」



 仕方ないわね、という表情をして、母は私に言った。



「ココちゃんに髪飾りを譲ってあげなさい。お姉ちゃん」


「……え?」


「そうだな。お前は町で新しいのを仕入れてくればいい」


「お父様までっ!」


「そうよ、おねえさま! おねえさまは新しいのを買えばいいじゃない!」


「でも……」



 素直に従わない私を、父は不機嫌そうな目で見る。



「なんだ。可愛い妹の頼みも聞けないのか」


「そういうわけでは……」



 私は、正直に話すことにした。



「あのね、ココアメロン。この髪飾りは、タダじゃないんですよ」


「なっ何よ! お金の話!?」



 妹は不安げな表情を浮かべた。

 父と母も驚いている。



「お姉ちゃん、そんなに高い買い物をしたの?」


「いくらしたんだ。その髪飾りは」



 私は深呼吸をして、言った。



「この髪飾りは、金札一枚するのですよ」


「金札一枚!?」


「そんなに高いのか!」



「こちらの髪飾りは、シンプルな見た目ながら反射テープがついているので、夜道の散歩も安心なんですよ。もちろん、昼の散歩にも使うことができます」



「そう、そんなに便利なら、金札一枚でも……」


「うむ……」


「で、でもっ、おねえさま? もう少し、お安くできませんか?」



 妹が上目遣いで聞いてくる。

 なんて愛らしいのだろう。

 私はこの姿に弱い。



「それでは、こちらの髪飾りに、CDを一枚お付けしましょう!」


「ええっ? 反射テープのついた髪飾りに、CDが一枚ついてくるんですか!? すご~い!!」



 妹の表情が華やぐが、遠慮がちに再び聞いてきた。



「でも、おねえさま。CD一枚だと、家族でケンカになりませんか?」


「そうですね、わかりました。それでは、CDを二枚つけて、金札一枚といたしましょう」


「夜道の散歩も安心の反射テープがついて、昼でも大活躍の髪飾りに、CDが二枚ついて金札一枚! やす~い!」


「お一人様二点までです」


「よかったわね。ココちゃん」


「さあ、満足しただろう」



 父と母が妹を連れ出そうとする。

 扉を通りがかって、妹の目があるものをとらえた。



「おねえさま? あれは?」


「あれ? ああ、ドアストッパーですよ」


「ドアストッパー!?」



 妹の目が驚愕に見開かれる。



「ずるい! おねえさまばっかり!」


「ココちゃん? ドアストッパーならお母様のをあげますから」


「私だっておねえさまみたいに、ドアがバッタンバッタンするのを防ぎたい~! ずるいずる~い!!」



 泣きそうな妹に、私は声をかけた。



「でもね、ココアメロン。こちらの商品、タダじゃないんですよ?」


「また、お金の話……!?」



「こちらのドアストッパーは、反射テープがついているので、夜道のドアにも安心です。もちろん昼間でもご使用いただけます。また、防水機能がついているので、お風呂でも楽しむことができるんですよ。充電式なのでどこへでも持っていくことができます。旅行先でも、安心なんですよ」


「旅行先でも充電できるのね! すごいすご~い!」


「こちらのドアストッパー、初回購入特典として、特別にDVDを三枚プレゼントいたします」


「昼も夜も使えて、お風呂や旅行にも持っていけるドアストッパーに、DVDが三枚も付いてくる……! こんなに素敵な商品なら、銀札五枚くらいするんですの? おねえさま……?」



 私は慌てて首を振った。



「いえいえ、そこまで高くはありません! こちらの商品は、銀札一枚でのご紹介となります!」


「や、やす~い! おねえさま大好き~!!」


「お一人様三点までです」




 髪飾りとドアストッパーをピカピカ反射させた妹が、私に抱き着いてくる。

 この笑顔を見られるなら、いくらでも譲ってやりたいと思える。

 至福のひとときだ。



「失礼。お邪魔だったかな」



 家族ではしゃいでいると、廊下から声がかかった。



「ドラゴン様……」


「やあ。そろそろ時間だから、来てしまったよ」



 ドラゴン様は私の婚約者だ。今日は婚約者同士のお茶会なのに、うっかり待たせてしまった。



「申し訳ございません。すぐに向かいますわ」


「おねえさま! ずるい!!」



 妹が叫んだ。

 さっきまで機嫌がよかったのに、どうして?



「おねえさまばっかり婚約者がいて、ずるいわ! 私にもほしい!」


「ココアメロン、婚約者は物ではないのですよ? それに、あなたも大きくなったら……」


「ずるいずる~い! おねえさまの婚約者がいい! 私もドラゴン様がほしいの~!」



 こうなったら妹は止まらない。

 両親も気まずそうにしている。

 私は覚悟を決めて、妹に言った。



「でもね、ココアメロン。ドラゴン様は、タダではないんですよ?」


「また、お金の話!?」




「ドラゴン様には、前と後ろに一枚ずつ反射テープがついています。これなら夜道のドラゴン様も安心です。もちろん、昼間の散歩でもお使いいただけます」


「前だけじゃなく、後ろにも反射テープが!? すごいすご~い! 便利~!」


「軽くて持ち運びもラクラク。キッチンの壁にも、簡単に取り付けるとこができます」


「キッチンの壁や天井にもラクラク取り付け。ドラゴン様を確認しながら、料理ができるんですね! 家事が楽になりそう~!」


「もちろん充電が可能ですし、乾電池にも対応しています。キャンプなどのアウトドアや、緊急時にも安心してご使用いただけるんですよ」


「電気が使えない緊急時でも、乾電池で動くなんて、安心~! たよれる~! すご~い! かっこいい~!」




「……でも、こんなに多機能なドラゴン様だと、金札が何枚あっても足りないんじゃないですか? おねえさま~……」



 妹が不安げに見上げてくる。

 ドラゴン様も固唾を呑んで見守っている。

 二人に不安な表情をさせるわけにはいかない。

 私は妹の手を取り、安心させるように告げる。



「大丈夫です! 今回は特別に、お父様を下取りに出すことで、銀札五枚分値引きいたします!」


「え~っ? お父様を下取りに出すと、銀札五枚も値引きになるんですか~!?」


「私を下取りに出すと、銀札五枚も安くなるのか~!」


「さらに初回購入特典として、SDカードを八枚お付けいたします」


「SDカードが八枚も! いっぱい使える~! おねえさま、ありがと~!!」


「さらに、お買い上げ後にドラゴン様の『ドラ』をキャンセルし、『ゴ』と『ゴン』を新たに買い足していただいたお客様にのみ、月々のお支払い金額を安くいたします!」


「購入したあとに、『ドラ』をキャンセルして、『ゴ』と『ゴン』を買い足して、『ゴゴンゴン』様にしたら、月々のお支払いが安くなるの~? お財布に優しい~! すごいすご~い!」


「さらに、お友達紹介キャンペーンも開催中! 期間内に紹介されたお友達が『ゴゴン』を購入すれば、紹介した方、された方、どちらにもブルーレイディスクをプレゼントいたします!」


「お友達紹介キャンペーンに参加して『ゴゴンゴンゴゴン』様を完成させたら、ブルーレイディスクがもらえるの~!? お友達にも喜ばれる~! うれしい~!」


「お一人様五点までです」




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― 新着の感想 ―
〇ぱねっと とか 諸々tv通販的なのがツボりました(*^^*) タダで奪われるのではなく何気に支払う事を受け入れている妹がちょっと不憫(笑) 他の作品も拝読させていただきます・*・:≡( ε:)
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