欲しがり妹パロ
間違っていたらすみません(> _ <)
「おねえさま、ずるいわ!」
私の部屋の扉を開けるなり、妹は叫んだ。
あまりの勢いに、私は問いかけることしかできなかった。
「ど……どうしたの? ココアメロン。何がずるいのですか?」
「ずるいわ! おねえさまばっかり! 私も欲しい~!」
ココアメロン。
私の可愛い妹。
愛らしい仕草。人懐っこい笑顔。
おねだりされると、つい何でも与えてしまいたくなる。
甘やかしてはいけないと、わかっていてもつい。
今日は何を欲しがるのだろうか。
「おねえさまのその髪飾り、新しく買ってきたのですか!? ずるいですわ! おねえさまばっかり!」
妹が言っているのは、私が町で買ってきた髪飾りのことだ。質素だが、実用性の高さが気に入っている。
まさか妹がこれを欲しがるなんて……。
私は心を落ち着かせて、妹に声をかけようとした。
「あのね、ココアメロン、この髪飾りは……」
「なんだ。騒々しい」
「ココちゃん、どうかしたの?」
見上げると父と母がいた。
妹の声が聞こえたようだ。
「お父様! お母様! おねえさまばっかりずるいの! 私もあの髪飾りが欲しいの~!」
妹は父と母に訴えた。
「まあ、ココちゃん。髪飾りなら新しく買ってあげるわ」
「そうだぞ。似合うものを探してやる」
「いやよ! いや! あれがいいの! 私もおねえさまの髪飾りが欲しい~!!」
「あらあら……」
仕方ないわね、という表情をして、母は私に言った。
「ココちゃんに髪飾りを譲ってあげなさい。お姉ちゃん」
「……え?」
「そうだな。お前は町で新しいのを仕入れてくればいい」
「お父様までっ!」
「そうよ、おねえさま! おねえさまは新しいのを買えばいいじゃない!」
「でも……」
素直に従わない私を、父は不機嫌そうな目で見る。
「なんだ。可愛い妹の頼みも聞けないのか」
「そういうわけでは……」
私は、正直に話すことにした。
「あのね、ココアメロン。この髪飾りは、タダじゃないんですよ」
「なっ何よ! お金の話!?」
妹は不安げな表情を浮かべた。
父と母も驚いている。
「お姉ちゃん、そんなに高い買い物をしたの?」
「いくらしたんだ。その髪飾りは」
私は深呼吸をして、言った。
「この髪飾りは、金札一枚するのですよ」
「金札一枚!?」
「そんなに高いのか!」
「こちらの髪飾りは、シンプルな見た目ながら反射テープがついているので、夜道の散歩も安心なんですよ。もちろん、昼の散歩にも使うことができます」
「そう、そんなに便利なら、金札一枚でも……」
「うむ……」
「で、でもっ、おねえさま? もう少し、お安くできませんか?」
妹が上目遣いで聞いてくる。
なんて愛らしいのだろう。
私はこの姿に弱い。
「それでは、こちらの髪飾りに、CDを一枚お付けしましょう!」
「ええっ? 反射テープのついた髪飾りに、CDが一枚ついてくるんですか!? すご~い!!」
妹の表情が華やぐが、遠慮がちに再び聞いてきた。
「でも、おねえさま。CD一枚だと、家族でケンカになりませんか?」
「そうですね、わかりました。それでは、CDを二枚つけて、金札一枚といたしましょう」
「夜道の散歩も安心の反射テープがついて、昼でも大活躍の髪飾りに、CDが二枚ついて金札一枚! やす~い!」
「お一人様二点までです」
「よかったわね。ココちゃん」
「さあ、満足しただろう」
父と母が妹を連れ出そうとする。
扉を通りがかって、妹の目があるものをとらえた。
「おねえさま? あれは?」
「あれ? ああ、ドアストッパーですよ」
「ドアストッパー!?」
妹の目が驚愕に見開かれる。
「ずるい! おねえさまばっかり!」
「ココちゃん? ドアストッパーならお母様のをあげますから」
「私だっておねえさまみたいに、ドアがバッタンバッタンするのを防ぎたい~! ずるいずる~い!!」
泣きそうな妹に、私は声をかけた。
「でもね、ココアメロン。こちらの商品、タダじゃないんですよ?」
「また、お金の話……!?」
「こちらのドアストッパーは、反射テープがついているので、夜道のドアにも安心です。もちろん昼間でもご使用いただけます。また、防水機能がついているので、お風呂でも楽しむことができるんですよ。充電式なのでどこへでも持っていくことができます。旅行先でも、安心なんですよ」
「旅行先でも充電できるのね! すごいすご~い!」
「こちらのドアストッパー、初回購入特典として、特別にDVDを三枚プレゼントいたします」
「昼も夜も使えて、お風呂や旅行にも持っていけるドアストッパーに、DVDが三枚も付いてくる……! こんなに素敵な商品なら、銀札五枚くらいするんですの? おねえさま……?」
私は慌てて首を振った。
「いえいえ、そこまで高くはありません! こちらの商品は、銀札一枚でのご紹介となります!」
「や、やす~い! おねえさま大好き~!!」
「お一人様三点までです」
髪飾りとドアストッパーをピカピカ反射させた妹が、私に抱き着いてくる。
この笑顔を見られるなら、いくらでも譲ってやりたいと思える。
至福のひとときだ。
「失礼。お邪魔だったかな」
家族ではしゃいでいると、廊下から声がかかった。
「ドラゴン様……」
「やあ。そろそろ時間だから、来てしまったよ」
ドラゴン様は私の婚約者だ。今日は婚約者同士のお茶会なのに、うっかり待たせてしまった。
「申し訳ございません。すぐに向かいますわ」
「おねえさま! ずるい!!」
妹が叫んだ。
さっきまで機嫌がよかったのに、どうして?
「おねえさまばっかり婚約者がいて、ずるいわ! 私にもほしい!」
「ココアメロン、婚約者は物ではないのですよ? それに、あなたも大きくなったら……」
「ずるいずる~い! おねえさまの婚約者がいい! 私もドラゴン様がほしいの~!」
こうなったら妹は止まらない。
両親も気まずそうにしている。
私は覚悟を決めて、妹に言った。
「でもね、ココアメロン。ドラゴン様は、タダではないんですよ?」
「また、お金の話!?」
「ドラゴン様には、前と後ろに一枚ずつ反射テープがついています。これなら夜道のドラゴン様も安心です。もちろん、昼間の散歩でもお使いいただけます」
「前だけじゃなく、後ろにも反射テープが!? すごいすご~い! 便利~!」
「軽くて持ち運びもラクラク。キッチンの壁にも、簡単に取り付けるとこができます」
「キッチンの壁や天井にもラクラク取り付け。ドラゴン様を確認しながら、料理ができるんですね! 家事が楽になりそう~!」
「もちろん充電が可能ですし、乾電池にも対応しています。キャンプなどのアウトドアや、緊急時にも安心してご使用いただけるんですよ」
「電気が使えない緊急時でも、乾電池で動くなんて、安心~! たよれる~! すご~い! かっこいい~!」
「……でも、こんなに多機能なドラゴン様だと、金札が何枚あっても足りないんじゃないですか? おねえさま~……」
妹が不安げに見上げてくる。
ドラゴン様も固唾を呑んで見守っている。
二人に不安な表情をさせるわけにはいかない。
私は妹の手を取り、安心させるように告げる。
「大丈夫です! 今回は特別に、お父様を下取りに出すことで、銀札五枚分値引きいたします!」
「え~っ? お父様を下取りに出すと、銀札五枚も値引きになるんですか~!?」
「私を下取りに出すと、銀札五枚も安くなるのか~!」
「さらに初回購入特典として、SDカードを八枚お付けいたします」
「SDカードが八枚も! いっぱい使える~! おねえさま、ありがと~!!」
「さらに、お買い上げ後にドラゴン様の『ドラ』をキャンセルし、『ゴ』と『ゴン』を新たに買い足していただいたお客様にのみ、月々のお支払い金額を安くいたします!」
「購入したあとに、『ドラ』をキャンセルして、『ゴ』と『ゴン』を買い足して、『ゴゴンゴン』様にしたら、月々のお支払いが安くなるの~? お財布に優しい~! すごいすご~い!」
「さらに、お友達紹介キャンペーンも開催中! 期間内に紹介されたお友達が『ゴゴン』を購入すれば、紹介した方、された方、どちらにもブルーレイディスクをプレゼントいたします!」
「お友達紹介キャンペーンに参加して『ゴゴンゴンゴゴン』様を完成させたら、ブルーレイディスクがもらえるの~!? お友達にも喜ばれる~! うれしい~!」
「お一人様五点までです」




