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地味に過ごしたかったのにヤンデレ王太子に囲われた  作者: 水瀬みずか


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第43話 対辺境伯家

 王太子は、

 辺境伯家を弱らせる計画から存在そのものを辺境から消すことを謀っていた。



――過日の国賓を招いての晩餐会の前日


そのために選んだ相手は、剣でも軍でもなく、隣国の大使だった。

 王城の奥。

記録に残らない小さな応接室で、王太子は穏やかな笑みを浮かべて向き合っていた。


「我が国は、争いを望まない。あなたの国も、同じでしょう?」

大使は慎重にうなずく。

「ですが、国境には常に緊張がある。それを生んでいるのが……辺境伯家だと?」

王太子は、否定も肯定もせず、ただ静かに紅茶を差し出した。


「辺境伯家は優秀です。だからこそ、強すぎる。時に、王の意思よりも、彼ら自身の判断で動くことがある。」


それは、反逆とは言わないものの、独立に近い自由だ。


「もし、国境という概念そのものが穏やかに消えたとしたらいかがでしょう?」

王太子は、淡々と続けた。

「我が国と、あなたの国が争う理由を失えば、辺境を守る役目も自然と消える。」


大使は息をのむ。

「……属国、という形ですか。」

「いえ、友好的な保護です。」

王太子は、にこやかに言い換えた。


・軍事同盟

・関税の緩和

・王族同士の縁組の検討

・内政への不干渉を条件とした保護

書類の上では、

どれも善意と平和に満ちていた。

だが、その裏にあるのは、

たった一つの結果。



――国境が、事実上、意味を失う。

――辺境伯家の役割が、消える。



大使は、ゆっくりと署名した。

「……あなたは、平和を作る人だ。」

その言葉に、王太子は微笑んだ。

「ええ。平和は、とても便利です。不要なものを、静かに消せる。」



数か月後。

歴史的な友好条約が発表された。

隣国は、名目上は独立を保ちつつ、実質的にこの国の庇護下に入った。

人々は歓声を上げた。

「半永久的な平和が訪れる!」

「国境が安全になる!」

「王太子殿下、万歳!」


だが、ただ一つ、沈黙を強いられた家があった。


――辺境伯家。

国境の緊張が消え軍備の縮小が進み、辺境という言葉そのものが、地図や記憶から薄れていく。

そして、王城から正式な通達。



「辺境伯家の役割は、時代の変化により再編される。」

それは、解体と同義だった。

王太子はその報告を受けながら、静かに目を伏せた。


(これで、レオンハルトは――

辺境の剣ではなくなる。ただの、王家の庇護を必要とする貴族の一人になる。)

そして、シャーロットに並ぶ資格もまた一つ消えていく。

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